2018年の夏はとても暑く、東日本の6~8月の平均気温は平年比 +1.7℃で、統計を取り始めてから最も高く、西日本も平年比 +1.1℃を記録し、統計開始後としては二番目の暑さだったそうです。
私は夏は暑い方が、冬は寒ければ寒いほうが季節感を感じて好きだったのですが、流石に前期高齢者になって体力の衰えを意識し、35℃を超えるような日は炎天下に出ることを控え、今夏は机に向かい植物のデータ整理に時間を費やしてきました。
しかし、そんなことを続けていると、身も心も委縮し始め、このままでは本当に年寄りになってしまいそうで、新しい刺激に出会う旅への欲求が高まっていました。
9月になると、台風が日本列島を横切り、日本海に秋雨前線が伸びて、東京は雲に覆われる日々が続き、気温も30℃を下回るようになってきました。
ホームグラウンドにしている小石川植物園も、オミナエシやクズなどの秋の草花が咲き出し、優しい色を見せてシュウメイギクが風に揺れ始めました。
9月7日に、最初の花を咲かせたヒガンバナが、16日にはほぼ満開状態となっていました。
そうだ、ヒガンバナを見に行こう、そう思い付きました。
2009年にはヒガンバナを求めて九州へ、そして2011年に山陰山陽地方へヒガンバナを訪ねましたが、関東北部と東北地方のヒガンバナは訪ねきれていません。
車に寝具一式を積み込んで今東京を出発すれば、東北地方で満開のヒガンバナに出会えるはずです。
そしてもう一つ、この数か月関心を持って調べ続けているアメリカスズカケノキが宮城、山形、岩手の3県に存在します。
アメリカスズカケノキは、東京では小石川植物園や日比谷公園などに植栽されていますが、元からその数が少ない上に、確実にアメリカスズカケノキと判断できる木は都内でも10本前後を数えるのみです。
アメリカスズカケノキを確実に識別する方法を確立したいのですが、特徴を見極める為には、更に観察数を増やす必要があります。
ですから、アメリカスズカケノキを観察するためだけでも、上記3県を訪ねる価値はあると考えました。
そして土日と敬老の日が重なる3連休が明けた9月18日火曜日、朝早く走り出した車は通勤ラッシュ前に都内を抜け出し、国道6号線を北上して、茨木県の土浦市を過ぎてから東へと進路を変え、10時半ごろ行方市の西蓮寺に到着しました。
西蓮寺の駐車場には、既に観光客のものと思われる数台の車の姿がありました。
その駐車場の桜の木の下に、赤い毛氈を広げたような曼殊沙華が花を咲かせていました。
正面に見える仁王門は国指定の重要文化財で、1543年(天文12年)に建立されたとのことで、掲示板には「室町時代末期特有の地方色をみることができる。」と記されていました。
なかなかのお寺さんのようです。
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