楽しい事なら 何でもやりたい、知らない場所なら 何処へでも行く・・・
などと鼻歌交じりに車を走らせ、常陸太田市新宿町の源氏川堤防にやってきました。
茨城県常陸太田市新宿町1163番地~1382番地
ドジョウやクチボソが泳ぎそうな、細い流れの両側に築かれた堤防の上に赤いヒガンバナが列をなしていました。
周囲の風景の広がりの中でヒガンバナ見ると、それほどのことはないと思えるのですが、近寄っていくと、その数がとんでもないことに気付かされます。
この場所のヒガンバナは、近くに住む星野良孝さんが2007年頃から堤防を整備しながら球根を植え始め、今では10万本を数えるそうです。
堤防両岸の約300メートル程を、年に5回程除草作業を行ったそうですが、自分の畑でもない場所に費やした、今日までの労力を想像するだけで、ため息が出そうになります。
この場所のヒガンバナを眺めながら、先にご紹介した梅津福次郎さんを思い出しました。
この場所にヒガンバナを育てた星野良孝さんも、先の梅津福次郎も、生まれ育った故郷と郷里の人々を想う気持ちは同じです。
私は今まで多くのヒガンバナ群落を見てきましたが、その多くが、花を見に来る人々の笑顔と地域の賑わいだけを考え、私利私欲を離れ、額に汗を流した人達の努力の賜物でした。
誰もが子や孫に無償の愛を注ぐように、周囲の人々の為に、そして自分の満足感の為に、多くの人達が額に汗を流し続けてきました。
そして、そのような場所に、今巡り合えた喜びを、このブログで上手くお伝えできると良いのですが。
さてさて、そしてこんなことを書くのは口はばったい野暮の極みですが・・・
私は、星野良孝さんや梅津福次郎のような生き様を見習いたいとは思いますが、しかしそれは、私が自分の満足感のためだけに山登りを趣味にするのと同じレベルの話と思うのです。
と言うのも、私の周囲の方達は真面目すぎる人が多くて、
私利私欲を離れて汗を流した方を褒めると、そのような人がエライ人、そうでない人は凡人だから、みんなエライ人になれるよう頑張ろう、みたいな話になりがちです。
あの人はエライ、エラクナイって誰もが安易に口にしますが、エラクなければ価値がないと話がすり替わった瞬間、人間を値踏みする議論に繋がる可能性があります。
この堤防にヒガンバナを植え続けてこられた星野良孝さんは、郷里を綺麗な花で飾りたい、郷里を活性化したい思いで作業を続けられたのだろうと思えるのです。
雨にも負けず、風にも負けず、雪にも、夏の暑さにもまけず、欲はなく、決して怒らず・・・
星野良孝さんはそんな方のように思われ、私もそうありたいものです。
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