そわかんぼはお風呂が大嫌い!だった。
入れようとすると「いや~!」と泣き叫び、一生懸命抵抗を示す。
お風呂場になんとかダマしダマし連れて行っても、体に石鹸をつけると「いや~いや~!!」と、近所に虐待かと疑われるような大声を上げる。
髪の毛を洗おうものなら、泡をつけた途端に、私にしがみついて離れない。
そわかんぼの髪も流せないし、自分も髪も体も洗えないままお風呂から上がらなければならなくなる。おもちゃも色々買ったけど、そんなもの対して役に立たない。狭いお風呂でぎゃーぎゃー泣かれると、音が響いてこっちの耳が痛くなる。せっかくのリラックスタイムなのに却って疲れる・・・まるで「風呂行」 あ~、垢では死なないんだから、無理にお風呂に入れることはない!
というわけで、実は今年の4月くらいまで、そわかんぼのお風呂は週一か二日。アメリカだったらネグレクトで訴えられてたかも~
いや、そういう問題じゃないって
一応、体は毎日濡れタオルで拭いていたのだけれど、なんだかやっぱりねえ・・・。
しかし風呂嫌いでも、温泉は大好き。広々としてマイナスイオンの恩恵も受けられて気持ちがいいのか、我慢して体も洗わせてくれる。
毎週土曜はオットのジゲンリュウの稽古で実家に帰るので、出来るだけ温泉に連れていくようにしていた。
そんな状況が変わったのは、徐々に暑くなり始めた頃。
まだおむつが取れていなかったそわかんぼの、股の間が蒸れてしまったのだ。
「おかあさん、ひーひーする」とちっちゃな宝物を押さえるそわかんぼ。
「暑くなってきたから、毎日お風呂に入らないとまたひりひりするんだよ。お風呂は毎日入ろうね!」と、言ったところ、しぶしぶながら毎日お風呂に入るようになってきた。
そんなある日、そわかんぼの髪と体を洗っていたところ、急に泣きそうな顔をして、
「おかあさん、めめにじゃーってしないで」
と言ってきたのである。?
「めめにおゆかけないでね」
?
「めめにおゆじゃーってしないでほしいの」
!! そういうことだったのか!!
「そわかんぼは、頭からお湯かけるのが嫌だったの?」
「いやだったの。めめがじゃーっていたいの」
髪を洗って頭からお湯をかけるのが、相当苦しかったのか・・・。
プールで同じくらいの年の子が頭からお湯をかけているのをみて、試しにそわかんぼにも同じようにやってみたら大人しくしてたから、こちらとしては楽だしそうやってたけど、ほんとうはとっても嫌だったんだ。言葉で伝えられないから、泣いて嫌だと訴えていたんだ。ああ~、ごめん!すまんかった!そわかんぼ
「ごめんね、おかあさん、いままで気付かなかったよ。だからお風呂イヤイヤだったんだね。これからは髪の毛洗ったらねんねしてお湯かけようか」
「うん!」
そわかんぼは嬉しそうに私の膝に寝て、目をつぶって髪の泡を流す間気持ちよさそうにしていた。
その日を境に、そわかんぼはこちらがびっくりするくらい、お風呂好きに変身!
お風呂に誘うと自分から、よいしょよいしょと服を脱ぎ、椅子にタオルをしいて私が体を洗い終えるまでは‘あしゆ’をしながらお気に入りのおもちゃを洗面器に入れ、適当に物語を作りながら「そのときでしゅ!」と楽しく遊んでいる。
自分で体や髪を洗ったり、お湯で体を流そうとしたり、成長めざましい。
最近は、お風呂場で靴洗いなぞしていようものなら「おかあさん、ふくぬいで!」と裸ん坊になって、飛び込んでくる。プール大好き、水遊び大好き、噴水や水溜まりをみると、入りたくてたまらない様子。これもお風呂を楽しめるようになったからか。
そわかんぼが自分の気持ちを言葉で伝えられるようになったから、こうして楽しいお風呂タイムを過ごせるようになったけれど、気づけないままでいたら、親子共々この暑い中で「風呂行」を続けていたことだろう。
私は頭でっかちなので、なかなかそわかんぼのサインに気付いてあげられなくて、そわかんぼにも私たち親にも、お風呂の楽しみを長いこと奪っていたな、と思う。
たかがお風呂、といってしまえばそれまでだが、毎日の営みをいかに楽しく味わっていけるか・・・その積み重ねで、人生ってもの凄く差がつくような気がする。