公演は演者と裏方の合同作品。
写真撮影担当のGanは裏方として公演を支えたことを誇りに感じている。
演者と裏方が舞台上に集まっての1枚。
僕は画には写っていないが、この写真自体がGanである。
BREAKTHRU公演は2日間とも撮影した。
これだ!という瞬間を撮ったときには、
心の中でガッツポーズをとっている。
照明と音響が演者をインスパイアし、
舞台のエネルギーがふつふつと沸き立つ瞬間である。
僕はOM-D(旧OLYMPUS)とLUMIXというブランドの小ぶりで軽量なカメラ&レンズを使い、
三脚は立てず全て手持ちで撮影している。
舞台の緩急や演者の呼吸に自分の体を合わせるために、
カメラを固定したくないからである。
そうして撮った舞台写真を観ていただきたい。
「灰色の街」江ノ上陽一。
「婆さんのコロナ禍~ワクチン接種後編~」新関祐子。
「指示の多い料理店」金子聡。
「赤ずきんちゃんと狼のおはなし」中里綾子、是永航、定金来音。
「ROBOT」中里綾子、是永航。
「ねずみ小僧VS銭形平次」餃子R☆CK、小坂部耀佑。
舞台に現れた不思議な世界。
SOUKIパントマイミスト達は、
猛稽古を経てシアターXの舞台上に不思議な世界を現出させた。
僕は稽古の成果発表を撮るつもりはない。
演者が舞台に創り出す不思議な出来事を撮りたいのである。
それは照明や音響、舞台監督、制作などの裏方の情熱あればこそ。
観客もまたいつの間にか不思議な世界を体験するのだ。
台詞のないパントマイムは「言葉から自由」だから演者の身体がイメージそのものになる。
ファインダーから演者の瞳や身体の動きを追い、
不思議な世界から湧き出す清水のように感じられるとき、
僕の全身の気も沸き立つのを感じる。
この舞台写真から、あの日舞台上で起こった「不思議な出来事」を
感じてくださったらこの上ない仕合せです。
最後にもうちょっと。
BREAKTHRUには演者プロフィール撮影から関わった。
江ノ上さんから「灰色の街のイメージで」とのリクエストで撮ったうちの1枚である。
小雨の降る7月の宵闇であった。
この頃から僕もまた不思議な出来事に入り込んでいたようだ。
Gan(写真家)