陽の目をみることのないオヤシラズ

齒醫者へ行かうと外に出たら、ちらほらと小雪が舞つてゐた。
道理で寒い筈だ。
日が出てゐるので、まだ氣分は樂だが。

昨年末から續いてゐた齒醫者の治療がとりあへず終つた。
けふは總仕上げとでも云ふのか、齒を裏側まで綺麗に磨いてくれた。
お蔭で齒の裏はデフォルトの色を取り戻してゐる。
タバコのヤニで汚れたままだつた齒も、これで喜んでゐることだらう。

齒醫者に通ふ原因となつたのはオヤシラズ。
左下のオヤシラズが齒莖の中でごろりと横轉してゐるらしい。
そいつの角が齒莖を突き破つて、穴があいてゐる。
そこから黴菌が入つて化膿したのだ。
オヤシラズくんは、このまま私が消えてなくなるまで、ずつと齒莖の中で陽の目を見ることなく、横たはつてゐるのだらうか。


１週間ほど前に音波振動齒ブラシをヤフオクで落札して使つてゐる。
これがスグレもので、振動で齒垢を浮せてブラシでこそぎとるらしい。
なかなか快調に使つてゐる。
それでもダメなのは齒と齒の間。
けふ、先生がドリルのやうなブラシで齒と齒の間を掃除してしてくれたのだが、これがまた氣持ちよい。
齒醫者の受付で、そのドリルと液體齒磨きを買つて來た。

これで毎日、齒のお手入れをしよう。
さう思つて、買つて來たものを洗面所にしまはうとした。
すると、埃だらけの齒間ブラシ（絲のやうなやつ）が出て來た。
何年か前に、同じやうなことを考へたらしい。

「のど元過ぎれば熱さ忘るる」