2月26日
『人間の条件』(上・下)森村誠一 2003年
初読。
名作『人間の証明』から始まった棟居刑事シリーズの一作。
人違いで殺されたと思われるOL刺殺事件を追ううちに、5年前の棟居刑事の妻と娘が殺された強盗殺人事件との関連が浮かび上がる。
そして、その背後にはカルト教団の影が…
この怪しげなカルト教団はオウム真理教を彷彿とさせるが、いまひとつ小説としては面白くない。
やはりぼくにとっては『青春の源流』(1984年完結)が不動のベストのようだ。
2月28日
『蛍』 麻耶雄嵩 2004年
初めて読む麻耶雄嵩。
名前だけは知っていたけれど、ミステリ作家だとは、ましてやメルカトル鮎シリーズ(読んでないけど名前だけは知っていた)の作者だとは知らなかった。
そしてまた、あの京大ミステリ研出身だとも。
さて、この作品、見事なまでに典型的な「嵐の山荘」もの。
登場人物はみんな名前がなぜか長崎県の地名。
予想通り、大雨に閉ざされた山荘の中で殺人事件が起きる。
犯人は山荘の中にいる。
それが仲間の中にいるのか、それとも未知の部外者がいるのか。
読んでいて、地の文の視座が揺れているのが気になっていたのだが、やっぱり。
この作者の他の作品も読んでみたくなった。
それから歌野晶午の『葉桜の季節に君を思うということ』も。
2月29日
『祝祭と予感』 恩田陸 2019年
初読。
恩田陸を初めて読んだのは、2003年4月13日、『象と耳鳴り』だった。
一読して気に入ってしまい、その後、1か月半足らずの間に8作品読んでいる。その中で一番好きなのが『ネバーランド』だった。
その後も、『ライオンハート』、『ドミノ』、『夜のピクニック』などが心に響き、2009年4月までの6年間に27作品を読んでいた。
以上、細々と続けているぼくのブログを調べてみた。
さて、この作品、『蜜蜂と遠雷』のスピンオフ短篇集だった。
最後の一篇、「伝説と予感」で、ユウジ・フォン=ホフマンが風間塵の才能に出会うシーンがよかった。
この本には、恩田陸が書いた音楽に関するエッセイがまとめて収録されているのだが、その中で小学6年生の時に聴いた『展覧会の絵』についてふれている。ピアニストはリヒテル!
あの名盤、いわゆる「ライブ・イン・ソフィア」だ。
恩田陸はこう書いている。
「あまりの衝撃に、弾けもしないのに楽譜を買ってもらった。」
ぼくも学生時代に京都の「アルペジオーネ」という喫茶店でこれを聴いて、衝撃をうけた。誰の演奏なのかレコードのジャケットを確認しに行ったらリヒテルだったのだ。
恩田陸とリヒテルでつながったのが嬉しい。
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