20100610_賢い穗高くん

６月１０日午前２時、いはゆる「草木も眠る丑三つ時」のこと。

このところ早く眠ることを心掛けてゐる私は、ＰＣの電源を落とし、水分補給のために１階に降りて、キッチンで水を飮んだ。
すると、いつもはリビングで眠つてゐる穗高くんが、起き出して來て足許にまとはりついてくる。
珍しいこともあるものだと思つてゐたら、玄關ドアの前に行つて、こちらを振り返る。

「穗高、こんな時間にお散歩はアカン！大人しく眠つてゐなさい」
さう言ひ聞かせて２階に上り、ベッドにもぐりこんだ。
すると、階段を登つてくる音が聞えて、寢室に入り込んでくる。
こんなことは始めてのことだ。
１階に降りなさいと命令すると、途中の踊り場までは降りるのだが、また登つてきて、一緒に來てくれといふかのやうなそぶりを見せるのだ。
まるでドラマで屍體を見つけた犬が飼ひ主に知らせる時のやうに。

これはただごとではない。
一緒に１階に降りると、すぐさま玄關ドアの前に座つて、こちらを振り向く。
どうやら、何がなんでも外に出たいらしい。
その表情にただならぬものが感じられた。

大急ぎで着替へて、一緒に外に出ると、穗高は一直線に電柱へ駈けて行く。
そして、オシッコをし始めた。
永遠に續くかと思ふほど長いオシッコだつた。


穗高はいま、アレルギーの藥を飮んでゐる。
その藥を飮むと、水分をたくさんとるやうになるらしい。
いつもはひるに飮ませてゐるのだが、この日に限つては夜飮ませたので、オシッコをする時間がなかつたといふことだらう。
オシッコに行きたくてたまらないところに、たまたま私が降りていつたので、
「オシッコ行きたいよ～、外にだしておくれよ～！」
と訴へかけてゐたのだ。
あれほど長い時間をかけてオシッコをする程だつたのだから、かなり辛かつただらう。
それなのに、我慢し續けた穗高くんは、なんて賢いのだらう。

彼は、生後２ヵ月ほどで我が家に來て以來、嬉ション以外には一度もオシッコの粗相をしたことがない。
なにせ、我が家に來て１時間、まだトイレを教へる前に、自分からケージに入つていつてオシッコをしたほどなのだ。
なんの藝も出來ない穗高くんだが、それでも私にとつては賢い穗高くんなのである。


＜追記＞
アレルギーの藥、普段は夜で、この日はひるだつた。
ひるに投藥したので、眠るまでに水を飮み過ぎたといふことらしい。