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書籍名 北斗の人 カテゴリー 歴史小説
著者名 司馬遼太郎 発行年(西暦) 2000
出版者 講談社文庫 値段 600-800円
感想 ☆☆☆☆
アメリカ出張に際して伊丹空港で購入した1册。
異國の地で日本の香のする時代小説を讀まうと思つた。
久しぶりに讀む司馬遼太郎作品である。
この作品は、北辰一刀流の開祖、千葉周作の若き日を描いてゐる。
千葉周作といへば、有名な劍豪であると同時に、合理的な劍術をつくりあげた人物である。
幕末の志士達の多くは北辰一刀流を學んでゐる。
劍術には、悟りを開くとでもいふか、或種の宗教的・哲學的なにほひが附いて囘るが、
千葉周作はそれを振り拂ひ、あくまで劍術そのものに上達するにはどうしたらよいかを追及した。
「それ劍は瞬息 心氣力の一致」。
劍はその速さが大切である、といふことだ。
神田お玉が池に道場「玄武館」があつたことは有名だが、
實は、その隣に儒學者・東條一堂の塾があつたことはあまり知られてゐない。
私もまつたく知らなかつた。
しかし、そのお互ひの相乘效果でともに榮えたといふことがあつたらしい。
いはば、文武兩道のワンストップショッピングである。
若き日の千葉周作、奧州出身者である所爲か口數が少なく、
周圍からは何を考へてゐるのかわからない、といつたやうに書かれてゐる。
そして周圍からは優柔不斷に映つたやうでもある。
しかしながら、芯の強い、自分の夢はなんとしてでも實現させるといふ姿勢は強烈である。
そして、才能は周圍の助力を呼び寄せる。
周作の父親は獸醫であつたが、息子の立身出世のために意を注ぐ。
その甲斐あつてか、周作はその才能を伸ばす環境をかちとつてゆく。
周作の父親が周作に云つた言葉、
「一人の才能が土を割つて芽を出し、世に出てゆくには、多數の蔭の後援者が要るものなのだ。
ところが才能とは光のやうなものだな。ぼつと光つてゐるのが目あきの目には見えるのだ。
見えた以上何とかしてやらなくつちや、といふ氣持がまわりにおこつて、
手のある者は手を貸し、金のある者は金を出して、その才能を世の中へ押出してゆく。」
なかなかの眞理だと思つた。
2004年10月16日(日本時間)、成田空港の「さくらラウンジ」にて讀了。
はるく、というモノです。
「北斗の人」良かったですよね。
アメリカへの出張に、モッテイクにはモッテコイって小説だったと思います。(クダラナイこと書いてすみません)
司馬作品らしい、男っぽい小説だと思いました。
TBさせてくださいね。
よろしくお願いします。
海外に行く時には(そんなに機會はないですけど)、なぜか時代小説を持つて行きたくなります。
「劍客商賣」とか・・・
以前アメリカに1ヶ月行つた時には、淺田次郎の「壬生義士傳」を持つて行き、こころゆくまで泣きました(笑)
ちなみに、司馬遼太郎作品では「燃えよ劍」が大好きです。