週刊 新大土壌研

新潟大学農学部農学科 土壌学研究室の活動日記です 『週刊』を名乗っていますが、不定期に更新していきます

横浜でワークショップに参加します。

2011-05-27 | MN(野中)

下記、横浜国立大学グローバルCOEが主催するワークショップに参加します。

特に、ロシア科学アカデミーのZaitsev士の話は興味があります。

後日、内容を報告します。

 

福島原発事故の土壌汚染影響を考えるワークショップ

 

東日本大震災と、引き続き不安定な状態の福島第一原子力発電所事故は、私たちに大きな不安をもたらしています。なかでも福島原発から放出された放射性物質による広域な汚染に関してどのように対処したらよいのか、冷静かつ的確な判断が求められます。

本集会は、放射能汚染の土壌影響について焦点をあて、緊急にお呼びした招待講演者に話題提供をお願いしています。

放射線医学研究所の吉田博士には、さまざまな生物における放射能の影響と、生態系レベルでの影響について解説をお願いしています。

新潟大学の野中教授には、新潟大学で詳細に研究された大気核実験由来の放射性物質の土壌と作物間の移動についてのお話と、福島事故の影響を受けた農地の利用上の注意についてお話しいただきます。

最後にロシア科学アカデミーのZaitsev博士には、チェルノブイリをはじめとする旧ソビエトの複数の高濃度放射能汚染地域で調査された土壌生物への影響調査の内容をご紹介いただき、福島の将来について考えます。

 

 

開催日時:2011530日(月) 17:30-20:30 

場所:横浜国立大学教育文化ホール中会議室

定員:50

 

 

1.放射能の生態系での挙動とその影響-福島における予測

        放射線医学総合研究所 吉田聡博士

 

2.放射能汚染の土壌影響と農業のありかた

        新潟大学農学部土壌学研究室教授 野中昌法(まさのり)先生

 

3.ロシアの放射能汚染と土壌生態系への影響

        ロシア科学アカデミー生態・進化研究所 Andrey Zaitsev博士

 

4.総合討論

 

広く一般の方のご来場をお待ちしております。

 


ストロンチウムについて 野中

2011-05-26 | MN(野中)

 5月24日は千葉県佐原農産物センターで農家の方向けのお話と農家から現状を伺ってきました。

千葉県の改良普及員の方も参加されて、この農事組合法人では「土」を育む力を大切にして、化学肥料は使わず、農薬は最低限で有機物を大切にした循環型の農業で安全な食料を生産しています。若い後継者が多くいます。

 ところで、昨日、三条の女性からお電話いただきました。その時、原発事故から放出されるストロンチウム90のことを大変心配していました。私はチェルノブイリ事故では40~50Km程度の汚染で遠くには拡散しないのではないかと話しました。

 しかし、1960年代の核実験で、新潟の土壌に蓄積したセシウム137:ストロンチウム90が1:0.7の割合でした。(図参照)

 昨日電話いただいた方の連絡先やお名前を聞いていないのでここで少し訂正します。3月からストロンチウム90の問題は指摘してきましたが、炉心溶融が明らかになったこと、プルトニウムもあったことを考えると、核実験のころのデータも考慮すると、ストロンチウム90をもっと警戒する必要があります。

 今後、ストロンチウム90にも注意して、横山論文も含めて、土壌を含む自然生態系の挙動をこのブログで解説して行きます。

 


ため池の用水が水田に与える影響

2011-05-21 | MN(野中)

これも既に、文章で書きましたが、ため池から流れた用水中や標高の高い水田から低い水田へ流れる用水中からセシウム137が移動することを示しています。

低地水田でセシウム137が蓄積されやすいです。また、当時調査した横山先生は②では用水を多く利用したためセシウム137が多く蓄積したと書かれています。

これから、汚染の可能性がる森林の集水域から用水を利用するときは監視体制が必要です。


野菜への影響(まとめ)

2011-05-21 | MN(野中)

文章で述べてきましたが、野菜への影響を図にしました。

当時、洗浄してもセシウム137は減少しませんでした。大気から降下してきて、葉面吸収の可能性を考えました。

越冬野菜は根からの吸収は考えにくいので大気中の雨や雪から葉に蓄積吸収されたと考えられます。

 


牧草地について

2011-05-20 | MN(野中)

新潟大学の過去の研究を既に紹介しましたが、まとめたものを添付します。

既にブログで、海外の事例も報告しましたが、牧草地の場合は土壌蓄積は少ないです。

放射能の放出が収まれば、牧草収穫後の影響は少ないと考えられます。

したがって、牧草を収穫して保管して、廃棄物処理施設に適切に管理する必要があります。

 


飯舘村農家から頂いたグラジオラス球根が芽を出しました。

2011-05-20 | MN(野中)

5月6日~7日にかけて福島県を調査した時、飯舘村農家Tさんから今年作付できないグラジオラス球根をたくさん頂きました。

8日に植え付けたら、芽が出始めました。

飯舘村農家の思いを大切に、花が咲くことを楽しみにしています。このブログで成長過程をお知らせします。

この農家は補償金の問題ではない、1日でも早く、土に触れて、農の営みを取り戻したいと話していました。

私たちはこの農家の声に対して、専門家の立場から応援したいと考えています。