ブログはしばらく休みました。
連休の前半は茨城で被災した叔父のお見まいに出かけ、知り合いの農家の田植えの準備をして、6日~7日、福島市から相馬市、南相馬市、飯舘村、二本松市で調査を行ってきました。おもに、農家の聞き取りが主でした。その前に、下記の情報を東京農工大学木村先生からいただきましたので公開します。
データを見て思ったのは、
南ドイツ程度の汚染(福島の広域での汚染状況に当てはまる)では、
一般的な食品で、
Cs摂取基準を上回るのは、1年目の葉菜類、1番草のみで、
1年目の対策がカギになるということです。
風評被害も、今年、対策をきっちりすることで防げるのではないかと思います。
野獣やキノコ(おそらく日本では山菜も)、川魚の汚染は
より長期に渡り、今後、問題になるだろうと思います。
木村園子ドロテア
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ドイツ南部は1986年4月26日のチェルノブイリ事故後、
4月30日から5月1日の第2波の風にあたり、汚染されました。
西ヨーロッパでは、南ドイツ・オーストリアが最も汚染された地帯で、
その後の経緯がよく残されています。
ドイツ南部の汚染が生じたのは、ほぼ1日間のみで、
大気中の放射線量は、
5月1日18時にピークを示し、その後急速に減少しました。
その時の最大値は、ミュンヘンでは110Bq/m3(およそ5μSv/h)でした。
大気中のCsに由来する年間積算放射量は、
1986年と1987年は50-80 μSv/年でしたが、
1988年には10 μSv/年に、その後も急激に減少していきました。
ドイツ南部、特にバイエルン州が汚染され、
Cs137では最大173kBq/m2の汚染が見られました。
降雨の状況によって、汚染の程度は大きく異なり、
隣接する市町村でも最大10倍程度の差が見られます。
バイエルン州の
畑地土壌のCs137汚染は、耕起を行ったため、
検出限界以下の地域が多くみられました。
南部での最大値は100-320Bq/kgでした。
草地でも、検出限界以下の地域が多くみられましたが、
局所的に土壌の深さ0-10㎝で高い値が見られ
320-1000Bq/kgという値が見られました。
耕起をしないため、同じぐらい高い値は2004年になっても認められました。
一方、森林土壌の落ち葉層は、ほぼバイエルン全州にわたって
320-1000Bq/kgとい値を示しました。
森林土壌深さ0-10㎝も畑地や草地よりも高く、
100-320Bq/kgを示した地域は半数以上でした。
バイエルン州の食品については、
1986年に特に葉菜類で100Bq/kg以上の高い値を示しました。
穀類(収穫は6-7月)も100Bq/kg近い値となりました。
根菜類や夏野菜は10Bq/kgを少し上回りましたが、
ジャガイモや飼料作物は10Bq/kg以下でした。
1987年にはすべての値は10Bq/kg以下となっており、
1989年以降は、2005年まで同様の値で推移しています。
EUの食品の摂取基準は600Bq/kgで、
葉菜類の一部が基準を上回った以外は、
基準内の値となっています。
牧草では、1番草が1986年に1000Bq/kgとい高い値を示しました。
2番草は100Bq/kg以上でしたが、
牛肉、牛乳やチーズは、100Bq/kg以下の値でした。
(それらの飼料を施用しなかったため)
1987年から1990年にかけて値は急激に減少し、
1987年以降は牧草も100Bq/kgを超える値はなくなり
1989年以降は10Bq/kg程度の値となりましたが、
2005年と変わらない値になったのは、1993年になってからでした。
年月によって、あまり変化せず、高い値で推移した食べ物は、
森のキノコ類やイノシシやシカ肉です。
特にXerocomus badius、Leccinum scabrumというキノコは高いCs吸収力を有し
Xerocomus badiusは1000Bq/kg近い値を現在まで示し続けています。
イノシシやシカ肉のCs濃度は、1986年から1997ねんまでほぼ同じぐらいの高いレベルで推移しました。
特にキノコを好むイノシシは、2005年も1000Bq/kgを超える値が見つかっています。
川魚で特に高い値を示したのは、
ヨーロピアンパーチで、
1986-1988年まで1000Bq/kg近い値をとり、
2005年には1010Bq/kgを少し超えた値となりました。
一方、マスは1986年も10Bq/kgを少し超えた値で、
1990年では1Bq/kgに減少しています。