何日か前、奈良市の18歳の高校生が「自分の個人情報を事前の承諾なく市が自衛隊奈良地方協力本部に提供したのは違法・違憲だ」として市と国を相手取って国家賠償を求める訴訟を起こしたことが報じられました。
それによると、要点はつぎのようなことのようです。
1.奈良市は、昨年2月に、自衛隊に名簿を提供できるという明確な法令がないもかかわらず提供した。これは違法だ。
2.自衛隊は違法行為で入手した名簿を活用したのは個人情報保護法に違反している。
3.憲法13条が保護するプライバシーが侵害されて募集案内き、精神的損害を被った。
これについて、次の3点の評・コメントがあります。
4.名簿提供問題にかかわって、当事者が「プライバシーの侵害だ」として訴えるのは初めてのことと報道者のコメント。
5.「争いごとは話し合いで解決すべきだと思っている。武器をもって戦う自衛隊に参加するつもりはない。全国で個人情報提供をやめさせるために少しでも役に立てるならと決意した」と当人がコメント。
6.「今は学校でも名簿などを作成しておらず奈良市の行為はあり得ない。・・・護者の承諾もなく未成年を勧誘(求人)した市と自衛隊に怒りを覚える」と保護者のコメント。
行政が自衛隊の求めに応じて名簿を提供し、自衛隊がその名簿で勧誘するということはもうずっと昔からありました。上の1~3は、その通りと思います。私も注目していくつもりです。
というのは、この件は、ないはずの軍隊が、警察予備隊から始まって世界で有数の軍事予算を持つ自衛隊としてどんどん強化されていること、それが、すでに国民の負担や福祉予算の削減などと重なって重要問題になってきているうえ、今後もそれが強化されることが心配されること、すでに武器の製造も輸出ももう閣議でどんどんできる方向になっていること、必要とあれば改憲もできる議会構成になっていること、こういうことを考えると、徴兵名簿もないとは言えないので、大変重要な問題と思うからです。
ポツダム宣言を受諾して、とっくになくなっているはずの軍隊も軍需産業も十分に復活している状況を見ると、ないはずのものがまた出来上がっているのですから、世界に冠たる軍国も徴兵の「杞憂」とは言えないと思います。
実は私も、この件で、身に覚えがあるのです。
もう約60年も前のことです。高崎高校の2年の秋でしたが、友人が、
「弁論大会があるんだけど、出ないか。」
と、声をかけてきました。それで、あれこれと相談して選んだテーマが、
「自衛隊の適格者名簿について」
でした。これは、まさに上の提訴の問題です。
当時は、自衛隊は今よりはもっと規模も装備も小さかったはずですが、アメリカの対ソ・対中政策に組み込まれて、また明治100年を契機とする復古の雰囲気・校長が愛国心を言うなどと重なって、強化が進められていることが言われていました。それで、友人の提案でこれをテーマにしたわけです。
といって、自慢するわけではありません。どこかに原稿が残っているはずですが、たぶん勇ましいばかりで中身は乏しい。上の18歳のようなことにはならなかったわけですから、中身は推して知るべしというところでしょう。覚えているのはつぎの評価です。
審査員I・H先生(数学担当:趣味刀剣:60歳前後)は45点(100満点で)
審査員?・H先生(倫理社会など担当:趣味不明:30代)は75点?
そのほかは亡失。
じつは、今話題のパーティー券・キックバック問題の渦中の人になっている下村博文さん、彼は私の6級くらい下のようです。その点では、まあ偉そうに言うと「下村くん」ですが、下村くんはずいぶん苦労をされて議員になったようですが、あの頃の動きを知らなかったようですね。ちょっと残念です。
1966~7年頃には、すでに高崎駅前で「原理研」運動なども活発にやられていて、口伝えで注意するように言われていました。
半世紀以上たって腐敗のウミが噴き出てきている最近の状況を見ると、上の18歳にがんばれ~と叫びたくなるのを抑えられないです・・・。
これも「後生畏るべし」でしょうか。
損してもモノを言うべし! これ家風かも・・・。
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