(1)下に載せた「復刻にあたって」(寺崎昌男)に「日本の近代学校教師のメンタリティを知る大きな手がかりを見出すことができよう」とあります。
(2)この点、御料局・帝室林野局に入局してくる下級職員の履歴を見ていると、小学校を出て一時教員をやったという経歴を持って入局してくる下級職員がけっこういます。このことから、御料局に入ってくる人は、それなりに成績優秀者だったということも言えそうですが、これはいま措いて、その教師には、師範学校を出た正教員もいましたが、地方での多くは受業生・訓導・準訓導・代用教員などでした。
(3)しかし、彼らは、教育実習とか、教員としての基礎知識を身に着ける養成期間を経ることなく、在学中に成績がよかった程度のことをもって頼まれたり、抜擢されて教壇に立っただけのようです。
そして、もともと教員志願ではありませんし、経験も乏しいデモ・シカ教師ですから、常に転職先を考えていて、より良いところが見つかれば、年度の途中でも短期間で転職した例が見えました。
(4)ちなみに、明治後期には、日露戦争で徴兵されて戻ったところが、戦後不況などもあって職にありつけなかった人が多数いたために、『就職案内」という斡旋本がすでに刊行されています。その中には、「自己営業の企業」ではない「資本なしの職業(月給取り)」として次のものが順にあげられています。
1番目「各学校の体育教師」
2番目「小学教員」
3番目「普通文官」
4番目「陸軍録事〔書記などの事務〕」
5番目「森林主事〔山林の巡視・調査・庶務〕」
6番目「通信事務員」
7番目「税関監吏」
8番目「巡査」
9番目「台湾総督府の警部及警部補」
10番目「看取」
11番目「車掌及運転手」
12番目「船員」
13番目「貴衆議院守衛」
14番目「大臣官邸門衛」
などがあげられています。全部を載せる必要はなかったかもしれませんが、ともかく、おもしろい。見られるように、教員は1・2番目、筆頭に揚げられています。
ちなみに、5番目ですが、山林局に一度に入って国有林の監視役人になり、いくらか山林の知識を得てから御料局に入ってくる人も結構いました。この点はまたいずれ。
(5)教育は、臣民教育というような為政者の側からみた教育の一方で、デモ・シカ教員の目から見てみる必要もありそうですね。
今日は、タブレットと紙の教材のことを書いたところ、長くなりすぎて、結局削りましたから、少しバランスが悪い・・・。
(6)わたしは、教育は、タブレットや電子機器ではなく、紙の本や辞典をメインに使ってやるべきと考えています。このことはまたいずれ書きます。

多摩川べりで(3月30日)
【コレクション 205 小学校】
このパンフの大きさはB5判4㌻です。B4判の用紙を二つ折りしてできています。
全体は、
1㌻ 下の掲載
2㌻ 下に掲載 ここに寺崎昌男「復刻にあたって」と「第1巻第1号の表紙」があります。
これで概要がわかるかと思います。
なお、「巻頭より」の後半が途切れています。
3㌻ 2㌻と同様なので略
4㌻ 刊行案内 造本:B5判 総頁:約16,500頁 揃定価:590,000円
1995年 大空社
1㌻

2㌻

以上です。
今日はここで。明日はお休みします。

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