そのままガーデン

雑草を生かしてガーデニングしたい。時間をかけずに庭を楽しみたい。自然そのままの庭の記録です。

ゆりかご 2

2015-07-23 14:31:22 | エッセイ

7月23日  

ゆりかご  

一日目、葉柄をかみ、しおれさせる。しおれた葉を縁から巻きはじめる。
その上に二枚の葉を巻きつける。何度も巻き返し、巻きを強くする。
最初は一匹で作っていたが最後は二匹で仕上げていた。
煙草三本分くらいの大きさのものが多い。
日がたつと表面の葉は枯れる。
「ねぇ、オトシブミがゆりかごを作ったよ。見て」
と夫に声をかける。
「この中に虫が入っているのか。キンチョールかけて退治するか」
まったく繊細さに欠ける人である。男は敵をやっつけたくなるのだろうか。
オトシブミが小さな体で二日間かけて作った子どもを守る巣なのである。
薬をかけないでね、と頼んだ。

毎朝ゆりかごを数える私に、夫はゆりかごに番号を付ければ、と言う。
いい案である。短冊を下げたら七夕のようでたのしいだろう。
短冊がなかったので小さな荷札にいろはを書いて目印にした。
十三あって製作途中のものもある。

いばらくして、ゆりかごの中を覗いてみたくなった。
一番小さくて茶色が濃いものを枝から取って開ける。
かわいた葉をめくっていく。
しっかり巻いてあって、剥がしにくい。
きれいにめくるつもりだったのに、破れた。だんだんに緑の葉になっている。
芯になっている葉はやわらかくて美味しそうだ。
ゴマ粒大の白いものが二つ。これがオトシブミの卵だろうか。
葉を巻きなおそうと思っていたら強い風が吹いて飛ばされてしまった。
せめてどこかで幼虫になってほしい。

オトシブミの名の由来は「落とし文」。
手紙をわざと気がつくように落としておいた、落とし文である。
昔の手紙は巻き紙に書き、それに似た巣を作るからと名付けられたそうだ。
一か月で丸い穴をあけて出てくるまでに葉柄は風でちぎれただろうか。
出てくる虫の大きさはどれくらいだろう。
ゆりかごは枝から離れて、落とし文になるだろうか。









オトシブミが作ったゆりかご。


つたないエッセイを読んでいただきありがとうございました。










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