市ヶ谷日記

喜寿を超えた老人です。日々感じたことを、過去のことも含めて、書き記しておこうと思います。

安倍首相の真珠湾慰霊訪問。アメリカとの関係において、プラスか、マイナスか。

2016-12-17 | 独吟

 報道によれば、安倍首相は12月26,27日、ハワイの真珠湾を訪れ、犠牲者を慰霊するという。しかも、オバマ大統領とともに。

 このことをトランプ次期大統領がどう受けとめるか、懸念する向きがある。大統領選直後に世界の首脳に先駆けてトランプ氏を表敬した得点を帳消しにしてしまうのではないか、という心配である。

 これまでお世話になった重要人物がその地位を去る時、日本人は、心中でどう思っていようと、相応の礼節をもって見送るのを好しとしている。しかし、これは日本人特有の性情であり、トランプ次期大統領ならびにアメリカ国民がどう考えるかは評価の分かれるところである。

 隣の韓国に対してこれと同じようなことをすれば、将来に消しがたい重大な火種を残す。韓国では、歴代大統領のほとんどが退任した後、批判・侮辱のターゲットになり、不幸な引退生活を余儀なくされる。そうした国の元大統領に近づく人は韓国国民からも蔑みの対象になる。

 中国は、安倍首相が真珠湾を慰霊に訪れるのであれば、南京にも同様に訪れるべきであると主張している。このことは、中国が歴史を正しく認識した後でないと、これまた歪な日中関係を残すことになり、両国の友好関係に災いをもたらす。

 アメリカはどうか。トランプ次期大統領は、当選が決まった後、オバマ大統領に会見した。テレビで見る限り、多少のぎこちなさはあったが、お互いに敬意を払いつつ対応したことは記憶に新しい。そして、先の選挙においてクリントン候補に投票した選挙民が実数で過半を占めており、また、民主・共和の支持者にかかわらず、日本人的な性情を持つアメリカ人(アイルランド系、ポルトガル系の人々)もいることから、アメリカ国民のかなりの多くが日米首脳同伴の慰霊を好意的に見てくれる、と期待してよい。

 日本の宰相・安倍晋三に対する好感度の高まりは日本および日本人に対する考え方の改善につながる。日本人の中には安倍首相の慰霊訪問を屈辱外交として嫌う人もいるが、今後の日本を取り囲む厳しい状況を考えれば、安倍首相の真珠湾慰霊訪問は、アメリカや中国、韓国などとの外交関係において、また我が国の安全保障の観点からも、非常に好ましいことと考えられ、高く評価すべきである。