今の産経連載小説には期待している

現在連載中の産経新聞の小説の「熱風団地」がなかなか楽しい。
だいぶ前にやってた前の連載小説「ＫＩＤ」が、私はあまり楽しくなかったんで、嬉しいですね。

熱風団地は、ベサールという架空の国がインドネシアのあたりに存在する設定の日本の話で。
このベサールという国、昔は王政だったんですけど。クーデターが起き、今は独裁者が支配する共和国になってて。
そこの国にかつて君臨していた王様は、ベサールに留まったんですけど。多数の王族が国外に亡命。
その中には、日本人でありながらベサール王妃の一人に選ばれた女性が居て。彼女の息子、つまり王子が現在日本で在日ベサール人として生活しているのですが。
あるとき、ベサール語が喋れるというだけで、特に特殊技能を持たないツアーガイドの男が、よく分からない団体に「ベサール王子を探してくれないか？王様が会いたがってる」って言われる話。
ヒロインとして登場するのが、そのツアーガイドの男が昔ファンだった元女子プロレスラー。謎の団体に協力者として紹介されるんですわ。確か。（ベサールに血縁があるために）
ツアーガイドの男は、昔、結婚を考えていた恋人に二股をかけられていた挙句、捨てられた過去があって。女性に対して苦手意識が強く、もう結構な年齢なのに独身なのですが、そこに昔ファンだった元女子プロレスラーが来るわけですよ。
で、こっちも４０代。

多分話のどっかでくっつくと見てるんですけど、やっぱこういうロマンス要素は欲しいよね。
ワクワクするもの。

ＫＩＤはそういうの、無かったんだよなぁ。
まぁ、問題はそれだけじゃないけどさ。

ＫＩＤは、元自衛隊秘密部隊に所属していたが、政府の無責任な自分たちの運用に絶望し、自衛隊を辞めて何でも屋になった男・ＫＩＤの話なんですけど。
誰が主人公なのかよくわからなかったんだよなぁ。
なんか、緩く登場人物が満遍なく出てた感じで。
悪い意味で、贔屓してないっていうか。

思い入れがさ、溜まって行かなかったのよね。

その問題の凄腕元自衛隊員ＫＩＤの他にも
日本中の情報を一括管理する秘密システム運用に深く関わる男だとか。
日本初女性総理を目指す急進派の若手女性政治家だとか。

主役級のキャラがね、ちょっと多すぎて。

感情移入が溜まらなくてですね、物語の結末で、重要人物が罪に問われるんですが、だから？みたいな感じになってた。

思い入れが無いキャラがさ、思い入れの無いキャラをどうこうしても何も感じないよね。
当時、あまり上手い物語だとは思わなかったですわ。

その点、現在連載中の作品は、主人公でずっぱりですし。
ロマンスもありそうだし。

期待してます。