急に読みたくなって大岡昇平の小説をまた読んでいる。
まだ新幹線もなかった昭和の30年代。中学を出て働く人もすぐ結婚する人も別段変わり者ではなかった。普通のことだった。
小説を読むと貨幣価値も今の十分の一くらいのようだ。例えば呑み屋のツケを集金に行くとして850円とか1200円とか。
男も女も23才くらいでもう世の中をしっかり渡っていたし40そこそこの未亡人が老後は娘夫婦にみてもらう事を考える。
平均寿命も短かったからか、子どもは今よりずっと早く大人になったわけだ。お金持ちってのはそこらにあんまりいなかった。
それにしても出っ尻鳩胸ってのも今は使わない言葉だなあ。
でも思うのは、早く大人になっても心は純粋だった。
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