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仮に韓国は我が国から「竹島をプレゼント」されたら、次は間違いなく対馬を要求すると思います

2019-03-12 20:13:34 | 国際情勢
もし、我が国が韓国に「竹島の領有権をプレゼント」したらどうなるのかを、何回か私なりに考えてみましたが

答えは「韓国は次は対馬の領有権を主張する」だろう


でした。

私たち日本人の多くは知りませんが(あるいは理解できていませんが)、韓国の人たちは基本的には「対馬は本来は韓国領土」であると考えています。

このことは大韓民国により建設された「独島博物館」のホームページ上にも明記されていることです。
http://www.dokdomuseum.go.kr/jpn/page.htm?mnu_uid=781&

2002年8月博物館開館5周年を記念して建てられた4段石造物(高さ:420cm)です。この表石には対馬島が本来韓国の領土であったが、管理しないうちに日本の領土になったという歴史的な事実が記録されております。自然石には世宗實錄(鼎足山本)から抜粋した‘對馬島本是我國之地’ㆍ月印千江之曲から取ってきた‘対馬島は本来わが国の領土’が刻んでおり、五石の4面から日本の古地図、三國史記・靑丘圖、世宗實錄などから抜粋した具体的な歴史的記録が刻んでおります。この表石の建立目的は韓国民族の歴史に対する実体を明らかにして、歪曲された日本の植民史觀を乗り越え、国民の領土意識を鼓吹する一方、長い間しつこく進んできた日本の侵略歴史を明らかにして独島問題に対する警覺心を高めて日本の独島領有権主張の虚構性を知らせることです。





無論、これはいかなる意味でも「歴史的な事実」ではありません。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E5%AF%BE%E9%A6%AC



中国側の歴史書である『魏志』倭人伝にも「対馬国」は倭の一国として登場していますし、古墳時代初期に築かれた出居塚古墳は前方後円墳で、有茎柳葉式銅鏃、鉄剣(部分)、管玉等が出土しておりこれは少なくとも3世紀頃には、この時代の対馬がヤマト王権と深く結びつき、その強い影響下にあったことを示していると考えられてもいます。

くだって鎌倉時代、当時の幕府は対馬にも守護職を置き、当初は少弐氏、その後、12世紀には、のちの宗氏の始祖となる惟宗氏が対馬に入部しています。

以降、宗氏一族が明治維新による廃藩置県に至るまで、一貫して対馬国の統治者であり続け、朝鮮半島に存在した政権が「対馬を支配」することはありませんでした。

もっとも宗氏一族が独自の判断で中世の一時期には朝鮮王朝から官職を与えられた事実ならあります。
外交面では鎖国体制のなか、朝鮮通信使を迎えるなど日朝外交の仲介者としての役割を果たしており、この意味では対馬が琉球王国とも似通った性格を持っていたのも事実でしょう。

また朝鮮半島からもたらされる米が対馬島民の貴重な食糧源だったこともありました。

が、宗氏一族は一貫して日本国の中央政権に服属する立場を取り続けたのは「歴史的事実」です。

そして廃藩置県により、対馬は長崎県に編入されました。

これについて、明治政府と当時の朝鮮王国との間に争いが生じたわけでもありません。

なお対馬の帰属について、まれに敗戦後の我が国にGHQが設定した、いわゆる「マッカーサーライン」を問題に取り上げる人がいます。




また大韓民国は1949年1月7日に対馬領有を宣言し、連合軍占領下で主権が制限されていた我が国に対して対馬返還を要求したこともありました。

が、ご存じの方も多いとは思いますけど、マッカーサーラインは、あくまでもGHQによる統治の都合上設けられたもので、最終的な決定ではないということがSCAPIN677号第6項にも述べられています。


https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/g_taisengo.html


関連の連合国総司令部覚書(SCAPIN)の内容は以下のとおりです。
(1)SCAPIN第677号
(イ)1946(昭和21)年1月,連合国総司令部はSCAPIN第677号をもって,一部の地域に対し,日本国政府が政治上または行政上の権力を行使すること及び行使しようと企てることを暫定的に停止するよう指令しました。
(ロ)その第3項には,「この指令において,日本とは,日本四大島(北海道,本州,九州及び四国)及び約一千の隣接諸小島を含むものと規定される。右隣接諸小島は,対馬及び北緯30度以北の琉球(南西)諸島(口ノ島を除く)を含み,また次の諸島を含まない」とし,日本が政治上・行政上の権力を行使しうる地域に「含まない」地域として鬱陵島や済州島,伊豆諸島,小笠原群島等のほか,竹島も列挙しました。
(ハ)しかし,同第6項には,「この指令中のいかなる規定も,ポツダム宣言の第8項に述べられている諸小島の最終的決定に関する連合国の政策を示すものと解釈されてはならない」と明記されています(ポツダム宣言第8項:「日本国ノ主権ハ本州,北海道,九州及四国竝ニ吾等ノ決定スル諸小島ニ局限セラルベシ」)。
(2)SCAPIN第1033号
(イ)1946(昭和21)年6月,連合国総司令部は,SCAPIN第1033号をもって,日本の漁業及び捕鯨許可区域(いわゆるマッカーサー・ライン)を拡大しました。
(ロ)その第3項には,「日本船舶又はその乗組員は竹島から12マイル以内に近づいてはならず,またこの島との一切の接触は許されない。」と記されました。
(ハ)しかし,同第5項には,「この許可は,当該区域又はその他のいかなる区域に関しても,国家統治権,国境線又は漁業権についての最終的決定に関する連合国の政策の表明ではない。」と明記されています。


これを「自国の領有権の根拠」とする大韓民国側の主張には、かなりの問題があるのは確かでしょう。

が、本題に戻ると

韓国がもし、我が国から「竹島の領有権をプレゼント」されたら

次は対馬の領有権を主張してくるのは、ほとんど間違いのないところでしょう。



ロシアの「北方領土」領有権は国際社会においては支持されていない

2019-01-27 19:23:50 | 国際情勢
一般的にロシア人は、いわゆる「北方領土」(国後、択捉、歯舞、色丹の諸島)について、これは第二次世界大戦の結果、正当な権利として得た自国領土であると認識していると理解しています。

だから、仮にプーチン大統領が日本国に対して、この「北方領土」を返還するなどと言ったら、間違いなく、その政治生命にもかかわる事態となるでしょう。

暴動やクーデターが起こっても不思議ありません。

けれども忌憚なく言わせてもらえば

国際社会は、そうしたロシアの「北方領土」領有権についての主張については、ハッキリと否定的です、

例えばEU諸国はロシアに対して「北方領土」の日本への返還を呼びかけています。

孫引きなので恐縮ですが
https://blog.goo.ne.jp/princeofwales1941/e/f1aab3b739be34e2a4166d8885a329b7

ロシア通信によると、ウラジーミル・チジョフ露外務次官は18日、欧州連合(EU)の欧州議会が今月7日、北方領土の返還をロシアに促す決議を採択したことについて、「ばかげている。欧州議会は別の惑星に住んでいるようだ」と強く反発した。欧州議会の決議は、極東の安全保障強化を東アジア諸国に呼びかけたもので、北方領土については「第2次大戦末期にソ連によって占領された」とし、日本への返還を求めている。北方領土問題をめぐり、主要国で日本の主張を支持しているのは米国だったが、欧州議会が日本支持の決議を採択したのは初めてだった。

「日本政府が南クリル諸島の扱いについて立場を変更する可能性は低い。それに加え、EUと米国の担当者は米国国防相のドナルド=ラムズフェルドの面前でロシアは論争中の四島全てを日本に返還すべきと忠告した(この一文はロシア語版では、「EUと米国は米国国防相のドナルド=ラムズフェルドと欧州議会を通して、ロシアは論争中の四島全てを日本に返還すべきと忠告した」となっている)。プーチンの訪日は今年始めに予定されていたが中止された。11月に予定されているプーチン訪日は両者に何ら利益をもたらさないのではないかという話が出ている。


また中華人民共和国もロシアの北方領土領有の主張については、これを支持せず、例えば中国製の世界地図(例えば新編実用世界地図冊/中国地図出版社発行の地図など)では北方領土は日本領土とされています。

https://hbol.jp/33907?display=b


中にはロシアの北方領土についての主張を支持する国家もあるのかもしれませんけど、例えば台湾(中華民国)を国家承認する少数の国があるからといって、台湾が国際社会から国家として認められているとは言えないのと同様、ロシアの北方領土領有に関する主張も一般的には国際社会から認められているとは言えないでしょう。

それぞれの国家の政治的な思惑はあるとしても、一体、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?

理由は簡単で、ロシアの北方領土領有に関する主張には国際法による裏付けがないからです。

北方領土領有の主張の根拠として、ロシア側はヤルタ秘密協定を挙げますが、当事者ではない日本国の同意を得ない「秘密協定」それ自体には(日本国に対する)拘束力がありません。

次に日本国は確かにサンフランシスコ平和条約において「千島列島」を放棄していますが、その「千島列島の範囲は条約の上では明らかになっていません」。


勿論、実際にはいわゆる「南千島」(国後、択捉)がサンフランシスコ平和条約上の「千島列島」に含まれていたのは、当時の日本国政府関係者の答弁を含め、状況証拠から明らかなのですけど

当のサンフランシスコ平和条約の起草国とも言うべきアメリカは、その後1956年9月7日付けの米国政府覚書でこのような見解を述べています。

「米国は、歴史上の事実を注意深く検討した結果、択捉、国後両島は(北海道の一部たる歯舞群島及び色丹島とともに)常に固有の日本領土の一部をなしてきたものであり、かつ正当に日本の主権下にあるものとして認められなければならないものであるとの結論に達した」


出典;高野雄一『国際法からみた北方領土』(岩波ブックレット)P42

つまりサンフランシスコ平和条約の起草国とも言うべきアメリカ自身が、いわゆる「北方領土」は日本国が同条約において放棄した千島列島には含まれないとの「お墨付き」を与えたわけです。

それが歴史的根拠として見たときにどうなのか?

あるいは地理学上どうなのか?

という議論をするのは実際のところ、大した意味はありません。

要は

いわゆる「北方領土」に対するロシアの領有に対する国際社会の支持はほとんどなく、単に日露の係争地としてしか見られていないというのが現実だということです。

更に悪いことに、当のロシア自身が1993年の「東京宣言」において「領土問題」の存在を認めてしまっています。

https://www8.cao.go.jp/hoppo/shiryou/pdf/gaikou46.pdf

2 日本国総理大臣及びロシア連邦大統領は、両国関係における困難な過去の遺産は克服されなければならないとの認識に共有し、択捉島、国後島、色丹島及び歯舞群島の帰属に関する問題について真剣な交渉を行った。双方は、この問題を歴史的・法的事実に立脚し、両国の間で合意の上作成された諸文書及び法と正義の原則を基礎として解決することにより平和条約を早期に締結するよう交渉を継続し、もって両国間の関係を完全に正常化すべきことに合意する。この関連で、日本国政府及びロシア連邦政府は、ロシア連邦がソ連邦と国家としての継続性を有する同一の国家であり、日本国とソ連邦との間のすべての条約その他の国際約束は日本国とロシア連邦との間で引き続き適用されることを確認する。日本国政府及びロシア連邦政府は、また、これまで両国間の平和条約作業部会において建設的な対話が行われ、その成果の一つとして1992年9月に「日露間領土問題の歴史に関する共同作成資料集」が日露共同で発表されたことを想起する。日本国政府及びロシア連邦政府は、両国間で合意の上策定された枠組みの下で行われてきている前記の諸島に現に居住している住民と日本国の住民との間の相互訪問を一層円滑化することをはじめ、相互理解の増進へ向けた一連の措置を採ることに同意する。



ちなみに、ここでいう「帰属」は「日本への帰属」ではありません。

あくまでも中立的表現となっていますが、これに署名したことはロシア側にとっては失策としか言えないでしょう。

それ以前の日ソ共同宣言では「ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要請にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する」として、国後、択捉にふれなかったのはもとより、あくまでも「引き渡す」という表現に留めていたのに
(ソ連の正当な領土だが、日本国の要請に答えて「譲渡する」と読めるような表現という意味)


この東京宣言では日露両国の間で四島の帰属問題が未解決、つまり日露間に未解決の領土問題が存在することを認めてしまったからです。

この宣言のあとで、例えばロシア側が「北方四島はロシアの主権下にあることを日本側は認めろ」と言ってみたところで、後の祭りです。

我が国としては

でも貴国は東京宣言において両国間の領土問題の存在を認めていますよね?

と指摘すればいいだけの話ですので。

「北方領土」の帰属先については係争中であるというのが国際社会の一般的な認識であり、当のロシアも東京宣言に署名したことで、それを認めてしまっている、というお話です。

フランス人は必ずしも「君主制」を否定しているわけではない

2019-01-04 21:57:53 | 国際情勢
知恵袋でこんな回答を見かけたので、ちょっとコメントしておきたくなりました。

(質問文)
フランス人は国王を自分たちで殺してしまったことに対して、コンプレックスを持ってるんですか?

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10201402620

(気になった回答)

むしろ誇りに思ってますよ
俺たちこそ最初に革命を起こした国なんだと
フランスはアメリカや中国と同じ革命で成立した国なんで、君主制国家を内心馬鹿にしてます
イギリスは逆にアメリカやフランスを歴史の浅い国として馬鹿にしてるんですけど、イギリス自体自国の王様を殺してオランダ王室に乗っ取られた国なんで、この方面をつつかれると反論できないそうです
正直、今時国王だの皇帝だのを担いでる時代遅れの国の方が少数派ですし恥ずかしいですからね

私が言うのもなんですけど

この方、フランスのことをそれほどご存知ではないようです。

まあ、フランス人の中にも個人的にそのような考えをお持ちの方はいらっしゃるんでしょうけど(笑)

言うまでもなく、フランスという国はそんなに単純ではありません。

フランスの代表的な右派勢力の中にレジティミスト(フランス語: Légitimisme)と呼ばれる人たちがいます。
(正統王朝主義者という言い方もあります)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%A0

歴史家ルネ・レーモンのフランス右翼に関する研究によれば、レジティミストたちはヴィシー政権期に政治的な重要性を回復することが出来たという。レーモンに言わせれば、彼らのうちのある者はアルジェリア戦争(1954年 - 1962年)において秘密軍事組織を支援していたし、マルセル・ルフェーブルが1970年に創設した聖ピオ10世会は、特にフランス支部に関して、レジティミスム運動に共感しているという。

ブルボン家「嫡系」の王位請求を支持する集団は第二次世界大戦後に強大化した。その原因としては、まずオルレアン家の王位請求者であるパリ伯爵アンリが政治的に左翼であったこと、そしてブルボン家「嫡系」の王位請求者であるセゴビア公ハイメ(スペイン王アルフォンソ13世の廃嫡された次男で、カルリスタ王位請求者の後継者の一人として扱われた)によるフランス王位に対する積極的な請求活動があった。そして1980年代までに、ハイメの息子であるカディス公アルフォンソはレジティミストの支持を獲得し、ついにブルボン家嫡系の当主として、自分の支持者たちに「レジティミスト」の政治的党派名を返還するように求めたのである。こうした経緯から、スペイン生まれでアンジュー公を名乗るルイ・アルフォンス・ド・ブルボン(カディス公の次男、スペイン語名はルイス・アルフォンソ・デ・ボルボン・イ・マルチネス=ボルディウ)が現在のレジティミストの王位請求者であり、フランスのレジティミストたちにとっての正統なフランス王「ルイ20世」ということになる。1987年、オルレアン家の相続人(および嫡系以外のブルボン家の人々)は、ルイ・アルフォンスと「アンジュー公」を名乗る権利を争い、また彼がフランス王家の紋章を使うのをやめさせるために訴訟を起こしたが、これらの訴えは1989年3月に共和国裁判所によって棄却された。アンジュー公ルイ・アルフォンスは、父方の祖母を通じてフランスの市民権を有しており、また一般的にカペー家の正統かつ嫡系の家長と見なされている。

2006年、フランスのカトリック教会の極端な伝統主義者たちの一派は、教皇ベネディクトゥス16世の神学面での保守性に非常に勇気づけられた。レジティミストたちは欧州憲法に拒絶反応を示しており、フランスの独立を脅かすと認識したものには何であれ強く反対している。現在のレジティミストたちは、その考え方や意見も多様といえる。パリのサン・ニコラ・ドゥ・シャルドネ教会に集まる伝統的カトリック教徒と一緒に行動するような宗教的な人々もいれば、マリーヌ・ル・ペンの国民戦線やフィリップ・ド・ヴィリエのフランス運動の集会に顔を出す政治的な人々もいる。その他の多数派は立憲君主主義者で、スペインやイギリスのような憲法と議会をもつ君主政体をフランスにも導入すべきだと考えている。

ご覧の通り、フランスにはブルボン王家による「立憲君主制」を復活させようという勢力があり、無視できない程度には発言力も持っているんです。


更に言うと、フランスは「現代でも事実上の貴族が存在する」国です。
https://world-note.com/french-nobles/

ご覧の通り、フランス貴族相互支援協会なるものもあり、そこで「貴族の調査、及び認定」なるものも行われています。

少なくいっても、現代フランスにおいても「貴族の末裔」という認定は社会的な価値を持っているということでしょう。

フランスという国にも、かつて存在した「君主制」の余韻は、まだまだ残っていますし

それに価値観を見いだす人たちも少なくないのが現実です。

Yahoo!知恵袋で見かけた南樺太、千島列島、北方領土の「帰属先」についての釈然としないベストアンサー

2019-01-03 21:53:57 | 国際情勢
いわゆる「北方領土」問題について

はじめにお断りしておきますが、こんなことはあらためていうような話でもありませんけど、この文を書いている2019年1月3日現在、なお一般論としては

いわゆる北方四島どころか、千島列島、いや南樺太でさえも、国際法上はロシア領土ではありません。

先の大戦の結果として、そのままロシアが実効支配しているだけの話で、事実上は「帰属未定」です。


ただし、仮にサンフランシスコ平和条約の調印国以外で、ロシアと個別に南樺太、千島列島などをロシア領土と承認した第三国があるとしたら、その国は対象外ですけど、残念ながら私自身はそのような国は知りません。

さて、事実上としたのは、実際には諸説があり
http://www.asahi-net.or.jp/~xx8f-ishr/chishima_karafuto.htm

1、主権日本残留説
 第三国に義務を付与する場合は、その同意なしには義務も権利も創設しない(ウイーン条約第34条)のであり、千島列島(南千島、北千島)の帰属についての平和条約にソ連が署名していないので、主権が日本に残留している。
 日本政府の見解であるとともに平和条約を主導したアメリカの見解でもある。
 田村幸策―中央大学教授(ジュリスト 1955年4月15日号 「日ソ交渉と領土問題」有斐閣)、重光 晶(「北方領土」とソ連外交 昭和58年1月5日発行時事通信社)もこの見解を支持されている。

2、処分権日本残留説
 平和条約では、千島列島をソ連に譲渡することが予定されていたが、ソ連が参加(署名)しなかったので、ソ連との間に平和条約と同一趣旨の条約を締結するまでは日本に処分権がある。したがって、可能かどうかは別として日本が日本人を千島列島に移住させることができる。

3、無主地説
 平和条約で日本によって放棄されたが、これに参加(署名)した連合国などが受取ってはいないので無主の地となった。ソ連がそこを先取(先占)したが、どこの国の領有権(主権)が認められない。
 前原光雄―慶応大学教授(北方領土の法的地位(「北方領土の地位」に所収 昭和37年3月発行  南方同胞援護会(原典は「国際法外交雑誌 第60巻」)、田嗣延(北方領土 昭和53年3月10日発行  時事通信社)の見解である。

4、無主地先取(先占)説
 平和条約で日本によって放棄されたが、これに参加(署名)した連合国などが取ってはいないので無主の地となった。ソ連がそこを先取(先占)したのであるから、ソ連の領有権(主権)が認められる。
 田畑茂二郎―京都大学教授(法律時報1956年10月15日 法律時報社)の見解である。

5、放棄予約説
 平和条約で日本によって放棄されたが、現実にはそれらの地域はソ連が占有している。したがって、放棄しても放棄できない。そこで、放棄するためには先ず、ソ連から返還を受け、その後に放棄することになる。つまり、条約締結時点ではその実質的な放棄が不可能であるので、それは単に予約に止まるとする。
 横田喜三郎―東京大学教授(ジュリスト1955年4月15日号  有斐閣)の見解である。

6、ソ連主権移転説
 (1)無異論帰属説(ヤルタ協定根拠説)
ヤルタ協定を権原として占有しており、ソ連も自国の法律手続きを経てその占有を既定化し、これが国際的に異論なく継続している。
入江啓四郎―愛知大学教授(ジュリスト1955年4月15日号 「ヤルタ協定と領土問題 有斐閣)、高野雄一東京大学教授(ジュリスト
「日ソ共同宣言」1956年12月1日号 「日ソ共同宣言」 有斐閣、国際法からみた北方領土1986年5月20日発行、北方領土の法理(「北方領土の地位」に所収 昭和37年3月発行 南方同胞援護会(原典は「国際法外交雑誌 第60巻」)、の見解である。
 (2)無異論帰属説(条約効力根拠説)
領土の処分を定める条約は当事者国だけでなく、当該条約に参加(署名)しなかった国にも効力を有するので、平和条約で日本によって放棄されたので、平和条約に参加(署名)しなかったソ連にも効力が及ぶ。
臼杵知史北海道大学教授(現代国際法講義(第二版) 平成7年5月21日
発行 有斐閣 杉原高嶺など編)、小川芳彦(経歴不明)―国際法(第三版)
1996年12月20日発行  有信堂 田畑茂二郎など編)らの見解である。

7、現状承認説
 講和条件を定める条約なく戦争が終結した場合には、交戦国間の法的地位は戦争終結当時の状態がそのまま認められ、日ソ共同宣言(1956年10月19日)が領土間題を含めて日ソ間の戦争状態を総て終結した。そして、ソ連が日ソ平和条約締結後に日本に引渡すことを約した歯舞・色丹を除く千島列島はソ連に帰属したとする。
 金子利喜男―札幌大学助教授(「北方領土問題」の経過と将来(「二十一世紀の国際法」に所収 昭和62年10月21日発行)

現状では北方四島、千島列島、南樺太の主権が我が国にあるのか、ロシアにあるのか、それとも「今のところ」どちらでもないのかハッキリせず、国際法学者の間にも統一見解はないからです。

なお、個人的にいうとヤルタ秘密協定を権原としてソ連に主権が移転したとする説は、当事国のアメリカが、その効力を否定していることがネックになると思われます。

さて、以前知恵袋でこのような回答が「ベストアンサー」を獲得しています。
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q14187671734

>南樺太と千島列島は現在、無主の地となっておりロシアが不法占拠しているだけですので、

無主の地とは、誰も支配していない土地と言う意味ですよ。『無主の地をロシアが不法占拠している』と言う理解そのものが、矛盾していまおり、成立しないんですが…
そう言う説はどこで拾って来たんですか?オリジナル作品ですか?

ちなみに、もし、サンフランシスコ講和条約で日本が領有権を放棄したから無主の地になった、と思っているなら、仮にそれが正しければ、一旦無主の地になった南樺太と千島列島に行政権を及ぼしたロシアは、国際法上正当な領土獲得をした、って事になりますね。勿論、実際には『サンフランシスコ講和条約で日本が領有権を放棄したから無主の地になった』って言うのが間違いで、日本は領有権を放棄した以上は、領有権については(自分で調印したサンフランシスコ講和条約を今から無効と言い張らない限りは)日本はもう主張しない、ってだけの事ですけどね。


>サンフランシスコ講和条約自体が無茶苦茶な内容でそもそも有効なのか疑問です。

どこが無茶苦茶と思っているかわかりませんが、調印した後になって“無茶苦茶だから無効だ”と言い出すのは、よほどの根拠がない限りは、“頭がおかしくなった”と思われるだけなんで、まぁそう言う主張はしない方が良いでしょうなぁ…
慰安婦問題について、国内的には再交渉すると言わなきゃならないが、対外的にはそうは言いたくないので、再交渉とも合意済ともどっちともつかない様な発言をせざるを得ない現在の韓国政府を見ればわかるでしょ?

それだったら、日本共産党の様に、千島列島は日本が暴力で奪ったのではないから、カイロ宣言やそれを受けたポツダム宣言からして日本の領土として残るべきであり、そもそも千島列島の領有権を放棄した当時の日本政府がケシカランのだ、の方がまだ多少の理屈はあるんじゃないですかね。勿論、共産党は自分達の政権が出来る可能性を事実上想定していないから、そう言っていられるのだ、と思いますがね…

どうしても南樺太も千島列島も取り返すんだ、って思うなら、いっその事、戦争に負けて取られたのだから、ロシアと戦争をして取り返せば良い、って言った方が、まだ理屈としてはスッキリしませんかね。

まぁ、マジですか?、と思われる事には違いはないでしょうが…

米国などが、サンフランシスコ講和条約で決まった領土変更を根本的に変えようとしてくれる、とホンの少しでも期待するのと、あまりに“マジですか??”の程度が凄すぎて、違いがワカランぐらいです。


個人的にいうと、こちらの回答者の方は「史実」に囚われすぎており、失礼ですけど

この問題についての国際法上の論点に対する理解が不足しているように思われます。

例えば

無主の地とは、誰も支配していない土地と言う意味ですよ。『無主の地をロシアが不法占拠している』と言う理解そのものが、矛盾していまおり、成立しないんですが…

いや、論としては成立してますよ。

実際にも

無主地説
 平和条約で日本によって放棄されたが、これに参加(署名)した連合国などが受取ってはいないので無主の地となった。ソ連がそこを先取(先占)したが、どこの国の領有権(主権)が認められない。


という、れっきとした学者による主張は存在していますし、これは日本国政府の見解でもあります。
(厳密には日本国政府の見解は主権日本残留説ですが、話がややこしくなるので、ここではその説明は割愛します)

http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/hoppo/topic.html

ユジノサハリンスクに総領事館を置くことと、南樺太の法的地位の関係については、以下のとおりです。
南樺太については、ロシアが継続的に現実の支配を及ぼしており、これに対してロシア以外のいかなる国の政府も領有権の主張を行っていません。また、ロシアが南樺太においてこのような施政を行っていることについて、同地域に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄している日本は、これに異議を唱える立場にはありません。日本がユジノサハリンスクに総領事館を設置したのは、このような現実を前提としたものです。
仮に将来、何らかの国際的解決手段により南樺太の帰属が決定される場合には、日本としてその内容に応じて必要な措置をとることになります。

この文から見ても明らかな通り、日本国政府は南樺太などについては「帰属未定」(日本領土でもロシア領土でもない)という立場です。

さて

どうやら文脈から見て、こちらの回答者の方は「ソ連主権移転説」を支持されているようですけど

この方はサンフランシスコ平和条約について、きちんと理解しているのでしょうか?

私は、少なくともこの部分に関する限り、理解出来ていないと思います。

もう少し詳しくいうと、これはサンフランシスコ平和条約の第25条とかかわってくるところです。

第25条

この条約の適用上、連合国とは、日本国と戦争していた国又は以前に第23条に列記する国の領域の一部をなしていたものをいう。但し、各場合に当該国がこの条約に署名し且つこれを批准したことを条件とする。第21条の規定を留保して、この条約は、ここに定義された連合国の一国でないいずれの国に対しても、いかなる権利、権原又は利益も与えるものではない。また、日本国のいかなる権利、権原又は利益も、この条約のいかなる規定によつても前記のとおり定義された連合国の一国でない国のために減損され、又は害されるものとみなしてはならない。

こんなことは常識レベルの話ですけど、ソ連はサンフランシスコ平和条約には参加していませんので、同条約の第2条(c)から利益を受けることはできません。

なお国際法上「放棄」という語は、通常は

放棄の結果、他の国の領土であることを認める

と言う場合に使われますが

こと「北方領土」問題に関していうと
(便宜上南樺太等も含みます)

南樺太や千島列島などを「放棄した」我が国にとり、もはや「日本の領土」としての権原、権利、請求権を主張することはできそうにありませんけど

だからといって同地を実効支配しているソ連→ロシアが千島や樺太の正当な権原などを取得できるわけでもなく

だから南樺太、千島列島、北方四島は少なくとも「事実上」は帰属未定といっても、少なくとも間違いとは言えないんです。

だから、私は当該質問の「ベストアンサー」についていうなら

少なくとも国際法についての理解が足りない回答であるとして評価は出来ないと、ここはハッキリ言わせてもらいます。

長くなったのでここまでにしますが

実はこの件はいわゆる「ダレスの恫喝」と呼ばれるアメリカの日ソ間平和条約交渉への介入とも深く関係しています。

これについては別なところで。

ノルドストリーム

2018-10-17 21:55:45 | 国際情勢
我が国と海を隔てて隣接するロシアは資源大国であり、石油、天然ガスなどの産出国であることはよく知られているところです。

では、そのロシアとパイプラインを通じて資源を輸入すればメリットは大きいのではないか?

ドイツをはじめとするヨーロッパ諸国はそう考え、ロシア側と手を組み、実際にパイプラインを建設しました。

それがノルドストリームです。

https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8E%E3%83%AB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%82%B9%E3%83%88%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%A0


ノルド・ストリーム(のるど・すとりーむ Nord Stream)とは、バルト海底を経由してロシア・ドイツ間をつないだ天然ガスのパイプラインのことである。2005年、ウラジーミル・プーチン大統領がドイツを訪問した際に結ばれた協定をもとにして、海底部に74億ユーロ(約8000億円)、陸部に約60億ユーロ(約6500億円)、の総工費約134億ユーロ(約1兆4500億円)、の費用を投下して、2011年11月8日に稼働を開始した[1]。


近々、第二のパイプラインとなるノルドストリーム2も稼動が予定されています。


このパイプラインの建設についてアメリカのトランプ大統領は、この計画の主導的立場にあったドイツを名指しで
https://jp.sputniknews.com/politics/201807175128496/

米国が北大西洋条約機構(NATO)加盟国としてドイツを守る義務があり、ドイツより多くの防衛費を費やすなか、ドイツがロシア産天然ガスに数十億ドルを支払い、ガスのために新たなガスパイプライン(ノルド・ストリーム2)を敷設する計画であることは全く容認できない


と強く批判しましたが、ドイツのメルケル首相は、この批判を一蹴しました。

が、トランプ大統領はそこで引き下がることなく、更に2018年05月にドイツのメルケル首相に対し、ドイツ政府がガスパイプライン・プロジェクト「ノルド・ストリーム2」を支持し続ける場合、大西洋間の貿易戦争に発展すると警告しています。
https://jp.sputniknews.com/business/201805184891052/

政府関係者らの話によれば、今年4月のワシントンでの会談で、トランプ大統領がメルケル首相に、ドイツは「ノルド・ストリーム2」プロジェクトへの支持を断念すべきだと述べた。その見返りとして、米国は新たな貿易協定に関する交渉を欧州連合(EU)と開始するという。
仮に新貿易協定に関する問題が解決されない場合、EU諸国は6月1日から、鉄鋼とアルミニウムの輸入に対する米国による保護関税に直面する可能性がある。


我が国においては米中貿易戦争ばかりが注目されていますが、アメリカとドイツを主軸とするEU諸国との間もなかなかに緊張感が増しているのが実際のところ。

https://jp.reuters.com/article/global-economy-trade-idJPKCN1LM0JT

トランプ米大統領は先週、ドイツや欧州が、為替相場をユーロ安に操作して輸出や貿易を自国有利になるよう働きかけることで、米国企業に損害を与えている、と改めて攻撃した。

「ほぼ中国並みに悪い。ただ(中国より)小さいだけだ」と、トランプ氏はブルームバーグに語った。


実際には、対米や全体の貿易黒字額では、ドイツの黒字は中国よりも大きい。

もし、米国とドイツの溝が改められることなく拡大すれば、その反動で為替市場のボラティリティーが急上昇する事態が起きかねない。ボラティリティーは現在、史上最低に近い水準にあるが、それが急上昇するならば、世界金融市場の安定を脅かすことになりかねない。


トランプ大統領のいう「アメリカ・ファースト」は、中国のみならず、ロシア、更にはEU諸国をも刺激し、結果として、例えばドイツの中国の急速な接近にも結びついているように見えます。

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56531


2016年、中国はドイツにとって最大の貿易相手国となった。以来、メルケル首相は公式の場で、「中国はドイツにとって一番大切な国」とはっきりと言う。

去年の交易額は、中→独が1000億ユーロ、独→中が860億ユーロ。ドイツのGDPの半分は輸出によるものだから、中国の存在は大きい。ドイツ車も、3台に1台は中国市場向けだ。ドイツ経済は、中国がくしゃみをしたら、風邪どころか肺炎になる。

だから、現在の米中貿易戦争も他人事ではなく、ドイツ人にとっては我が身に降りかかった災難に等しい。しかも彼らは元々トランプ大統領が大嫌いなので、あの大統領のおかげで中国の景気が冷え込むかもしれないと想像しただけで、頭に血がのぼる。

このトランプ憎しが後押しになったのか、今回の政府間協議はまさに独中スクラムの大展開となった。22の経済協力協定も調印された。


米中貿易戦争は、既に単純なアメリカと中国だけの争いではなくなっています。

ドイツ、更にはEU、そしてパイプラインにより結びつくロシアも、もはや当事者です。

アメリカ様が本気を出せば「中国なんぞは一捻り」などと一部ネトウヨは考えているようですけど

このままでは、ちょっとまずいことになるかもしれません。

とりあえず、近未来の予測としてハッキリ言えること

トランプ大統領がいかにメルケル首相を恫喝したところで、今さらドイツは「ノルド・ストリーム2」プロジェクトを断念することはないでしょう。

間違いなく「ノルド・ストリーム2」は完成し、稼働します。

さて、そうなったとき

我が国はアメリカについていけば百年安心といくでしょうか?