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フランス人は必ずしも「君主制」を否定しているわけではない

2019-01-04 21:57:53 | 国際情勢
知恵袋でこんな回答を見かけたので、ちょっとコメントしておきたくなりました。

(質問文)
フランス人は国王を自分たちで殺してしまったことに対して、コンプレックスを持ってるんですか?

https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10201402620

(気になった回答)

むしろ誇りに思ってますよ
俺たちこそ最初に革命を起こした国なんだと
フランスはアメリカや中国と同じ革命で成立した国なんで、君主制国家を内心馬鹿にしてます
イギリスは逆にアメリカやフランスを歴史の浅い国として馬鹿にしてるんですけど、イギリス自体自国の王様を殺してオランダ王室に乗っ取られた国なんで、この方面をつつかれると反論できないそうです
正直、今時国王だの皇帝だのを担いでる時代遅れの国の方が少数派ですし恥ずかしいですからね

私が言うのもなんですけど

この方、フランスのことをそれほどご存知ではないようです。

まあ、フランス人の中にも個人的にそのような考えをお持ちの方はいらっしゃるんでしょうけど(笑)

言うまでもなく、フランスという国はそんなに単純ではありません。

フランスの代表的な右派勢力の中にレジティミスト(フランス語: Légitimisme)と呼ばれる人たちがいます。
(正統王朝主義者という言い方もあります)
https://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AC%E3%82%B8%E3%83%86%E3%82%A3%E3%83%9F%E3%82%B9%E3%83%A0

歴史家ルネ・レーモンのフランス右翼に関する研究によれば、レジティミストたちはヴィシー政権期に政治的な重要性を回復することが出来たという。レーモンに言わせれば、彼らのうちのある者はアルジェリア戦争(1954年 - 1962年)において秘密軍事組織を支援していたし、マルセル・ルフェーブルが1970年に創設した聖ピオ10世会は、特にフランス支部に関して、レジティミスム運動に共感しているという。

ブルボン家「嫡系」の王位請求を支持する集団は第二次世界大戦後に強大化した。その原因としては、まずオルレアン家の王位請求者であるパリ伯爵アンリが政治的に左翼であったこと、そしてブルボン家「嫡系」の王位請求者であるセゴビア公ハイメ(スペイン王アルフォンソ13世の廃嫡された次男で、カルリスタ王位請求者の後継者の一人として扱われた)によるフランス王位に対する積極的な請求活動があった。そして1980年代までに、ハイメの息子であるカディス公アルフォンソはレジティミストの支持を獲得し、ついにブルボン家嫡系の当主として、自分の支持者たちに「レジティミスト」の政治的党派名を返還するように求めたのである。こうした経緯から、スペイン生まれでアンジュー公を名乗るルイ・アルフォンス・ド・ブルボン(カディス公の次男、スペイン語名はルイス・アルフォンソ・デ・ボルボン・イ・マルチネス=ボルディウ)が現在のレジティミストの王位請求者であり、フランスのレジティミストたちにとっての正統なフランス王「ルイ20世」ということになる。1987年、オルレアン家の相続人(および嫡系以外のブルボン家の人々)は、ルイ・アルフォンスと「アンジュー公」を名乗る権利を争い、また彼がフランス王家の紋章を使うのをやめさせるために訴訟を起こしたが、これらの訴えは1989年3月に共和国裁判所によって棄却された。アンジュー公ルイ・アルフォンスは、父方の祖母を通じてフランスの市民権を有しており、また一般的にカペー家の正統かつ嫡系の家長と見なされている。

2006年、フランスのカトリック教会の極端な伝統主義者たちの一派は、教皇ベネディクトゥス16世の神学面での保守性に非常に勇気づけられた。レジティミストたちは欧州憲法に拒絶反応を示しており、フランスの独立を脅かすと認識したものには何であれ強く反対している。現在のレジティミストたちは、その考え方や意見も多様といえる。パリのサン・ニコラ・ドゥ・シャルドネ教会に集まる伝統的カトリック教徒と一緒に行動するような宗教的な人々もいれば、マリーヌ・ル・ペンの国民戦線やフィリップ・ド・ヴィリエのフランス運動の集会に顔を出す政治的な人々もいる。その他の多数派は立憲君主主義者で、スペインやイギリスのような憲法と議会をもつ君主政体をフランスにも導入すべきだと考えている。

ご覧の通り、フランスにはブルボン王家による「立憲君主制」を復活させようという勢力があり、無視できない程度には発言力も持っているんです。


更に言うと、フランスは「現代でも事実上の貴族が存在する」国です。
https://world-note.com/french-nobles/

ご覧の通り、フランス貴族相互支援協会なるものもあり、そこで「貴族の調査、及び認定」なるものも行われています。

少なくいっても、現代フランスにおいても「貴族の末裔」という認定は社会的な価値を持っているということでしょう。

フランスという国にも、かつて存在した「君主制」の余韻は、まだまだ残っていますし

それに価値観を見いだす人たちも少なくないのが現実です。

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