僕が超B級スポット「ハニベ岩窟院」を知ったのは、「探偵ナイトスクープ」で紹介された時だ。 「失楽園地獄」や、「ノーパンしゃぶしゃぶ地獄」などの変な塑像だらけの洞窟で、しかも宗教法人として紹介されたものだから、いかがわしさ十分であった。 院主の都賀田伯馬氏のキャラもなかなかインパクトがあった。
あの時行けば良かったとつくづく思う。
なぜなら、ナイトスクープの放送後しばらくして、院主様が強制わいせつの罪でタイホされてしまったから。
おかげで、時事ネタオブジェもほとんど撤去されてしまった。
しかし、我が家から小松市まで200㌔以上あるんだから、何かのきっかけでモチベーション上がらないと行く気起きないんだよなー・・
などと考えながら、北陸道を快走していた。
今回は1泊2日の北陸旅行である。 泊まりでハニベというのも凄い話だが、これに付き合ってくれる嫁も素晴らしい女性だと思う。
小松ICで降りて、山の方へ向かう。 途中巨大なイオンの前を通って、「どこの街も同じだなー」と思いつつ、ナビの言うとおりにクルマを走らせた。
目的地周辺に到着すると、木陰の向こうからいきなりコレが現れる。
うわさに勝る凄まじいインパクトである。 遠くからは全く見えず、駐車場のそばまで来るといきなり現れるから始末が悪い。
この仏頭、高さ15mもあるのだが、完成すれば全身33mの巨大大仏になるそうな。
院主が例の有様なので完成は果てしなき先となりそうですが。
ちなみにハニベとは、昔の「埴輪」を作る人、すなわち「ハニワ師」が変化したもので、現代で言う所の彫塑家の事だという。 初代院主の都賀田勇馬氏が石切り場の跡地を利用して開洞し、自らが造った多くの仏像を安置したのが始まり。
2代目院主は、ナイトスクープにも出た都賀田伯馬氏。
とりあえず中に入る。 参拝料は800円。 どうでもいいが、B級スポットというヤツは、何故500~800円がほとんどなのだろう。 特に700・800円がスイートスポットだ。
B級スポットなど、内容から言えば200~300円が適正価格だと思うが、値段を半額にすれば客が倍になる訳ではない。
本当に興味のある人だけ見てくれればいいという訳で、多少高めの設定になっているのだろう。
「分かるヤツだけ分かればイイ。俺はもう分かるヤツしか相手にしたくない」(湾岸ミッドナイト風)という訳である。
だからといって、1日楽しめる訳でも無いのに4桁取っては、興味ある人も逃げていってしまうだろう・・・・という事を考えると、700~800円というのは、非常に理にかなってる料金設定かもしれない。
ちなみに上の写真の左側の像は、地元加賀商人の英雄、銭屋五兵衛である。 ここの院主様は、親子2代に渡ってこういう塑像を地元の公園等に寄贈しており、実はけっこう実績のある彫塑家である。 日展等の常連だったようで、少なくとも彫塑家としてはイカサマではない。
入って右側に歩いていくと、小さな池を渡り、そこから結構急な階段で山登りとなる。途中、隆明殿という美術館みたいな小屋があり(院主様のプロフィールも飾ってある)、そこを抜けるとメインの洞窟へと入っていく。
で、いきなり現れるのが上の子供の像。 なんでもお釈迦様誕生の瞬間だそうだ。
生意気なガキにしか見えないが・・・・
ちなみに、洞窟に来る途中に木造のボロ屋があって、その時はスルーしてしまったのだが、後でネットで調べたらそれが「ハニベ道場」だと知って後悔。 写真撮っとけば良かった・・・。
パンフによれば、洞窟の最初は「釈迦一代記コーナー」。
これは断食中のお釈迦様で、アバラの浮き方がすごい。
ハニベは知る人ぞ知る珍スポットだが、作品の出来は素晴らしい。本物だ。
釈迦コーナーが終わると、院主様のアトリエが見えた。 造りかけのブロンズ像が放置されたりしていて、少し今後の創作活動が心配される。
お次は「インド彫刻館」。ここはエロティカルな彫刻が多く、裸の女神様や、男女が凄い体位で絡み合ってるレリーフ等が飾ってある。
坊やも意味も分からず大喜び。
そして次のエリアが、メインの「地獄コーナー」。
ここに足を踏み入れた時、何故ハニベが日本で10指に入る珍スポットなのかを、誰もが身をもって思い知る事となる。
まずは「轢き逃げの罪」。 お土産物屋にあった絵はがきにも使われていたスプラッタシーン。
大阪で3キロも被害者を引きずったという轢き逃げ犯は、こんなモンでは済まないだろう・・・。
これは「食べ物を粗末にする罪」。 食べ物を無駄にすると、自分が地獄で鬼の食料になってしまいますよ、というわけ。
道徳的にはいい事を言ってるのだが、これを子供たちに見せて教育効果があるかどうかは分からない。
で、鬼の食卓に並ぶと。 メニューは当然グロいモノだが、ちゃんと煮物の具が人間の耳の形になっていたり、造り込みは細かい。
で、鬼の食卓専属シェフ。地獄コーナーはほとんど、息子である現院主の作なのだが、どういう感情でこういうモノを造っていたのだろうか。
なんか変に興奮しながらグロい部分を彫ったりしてたら嫌だなぁ・・・
地獄を抜けると、不動明王、エンマ大王と続く。 この辺は父上である初代院主の作。
息子もなかなかやるが、やはり父親の造形は見事だ。
洞窟はこれでお終い。 外に出ると、少しの山登りで涅槃像に出会えるらしいのだが、地獄巡りで流石の坊やも疲れたっぽいので撤収することにした。
80年代までは、本気で巨大大仏を完成させるつもりだったらしく、参拝料や水子供養料で豪遊できるほどだったという。 しかしバブルも弾け、思うようにカネも集まらず、いつしか客寄せのためにB級オブジェ造りに傾倒していったのかもしれない。
「北陸の稀代の彫塑家親子の美術館」として考えれば、なかなか作品の出来からいっても800円の価値はあると思うが、やっぱり「宗教法人も喰ってかなきゃいけないんだよな」というドロドロした部分が見えてきてしまう。 「人が集まるんなら・・・」と、あらぬ方向に暴走してしまう、珍スポットはこうして出来るんだというひとつのパターンを垣間見た気がした。
あと、どうでもいいことだが、パンフには「傘1000本用意してあります」と印刷されている。 雨が降っても大丈夫ですという事だが、1000本は多すぎやしないだろうか・・・・(後編に続く)
2007年10月7日訪問
あの時行けば良かったとつくづく思う。
なぜなら、ナイトスクープの放送後しばらくして、院主様が強制わいせつの罪でタイホされてしまったから。
おかげで、時事ネタオブジェもほとんど撤去されてしまった。
しかし、我が家から小松市まで200㌔以上あるんだから、何かのきっかけでモチベーション上がらないと行く気起きないんだよなー・・
などと考えながら、北陸道を快走していた。
今回は1泊2日の北陸旅行である。 泊まりでハニベというのも凄い話だが、これに付き合ってくれる嫁も素晴らしい女性だと思う。
小松ICで降りて、山の方へ向かう。 途中巨大なイオンの前を通って、「どこの街も同じだなー」と思いつつ、ナビの言うとおりにクルマを走らせた。
目的地周辺に到着すると、木陰の向こうからいきなりコレが現れる。
うわさに勝る凄まじいインパクトである。 遠くからは全く見えず、駐車場のそばまで来るといきなり現れるから始末が悪い。
この仏頭、高さ15mもあるのだが、完成すれば全身33mの巨大大仏になるそうな。
院主が例の有様なので完成は果てしなき先となりそうですが。
ちなみにハニベとは、昔の「埴輪」を作る人、すなわち「ハニワ師」が変化したもので、現代で言う所の彫塑家の事だという。 初代院主の都賀田勇馬氏が石切り場の跡地を利用して開洞し、自らが造った多くの仏像を安置したのが始まり。
2代目院主は、ナイトスクープにも出た都賀田伯馬氏。
とりあえず中に入る。 参拝料は800円。 どうでもいいが、B級スポットというヤツは、何故500~800円がほとんどなのだろう。 特に700・800円がスイートスポットだ。
B級スポットなど、内容から言えば200~300円が適正価格だと思うが、値段を半額にすれば客が倍になる訳ではない。
本当に興味のある人だけ見てくれればいいという訳で、多少高めの設定になっているのだろう。
「分かるヤツだけ分かればイイ。俺はもう分かるヤツしか相手にしたくない」(湾岸ミッドナイト風)という訳である。
だからといって、1日楽しめる訳でも無いのに4桁取っては、興味ある人も逃げていってしまうだろう・・・・という事を考えると、700~800円というのは、非常に理にかなってる料金設定かもしれない。
ちなみに上の写真の左側の像は、地元加賀商人の英雄、銭屋五兵衛である。 ここの院主様は、親子2代に渡ってこういう塑像を地元の公園等に寄贈しており、実はけっこう実績のある彫塑家である。 日展等の常連だったようで、少なくとも彫塑家としてはイカサマではない。
入って右側に歩いていくと、小さな池を渡り、そこから結構急な階段で山登りとなる。途中、隆明殿という美術館みたいな小屋があり(院主様のプロフィールも飾ってある)、そこを抜けるとメインの洞窟へと入っていく。
で、いきなり現れるのが上の子供の像。 なんでもお釈迦様誕生の瞬間だそうだ。
生意気なガキにしか見えないが・・・・
ちなみに、洞窟に来る途中に木造のボロ屋があって、その時はスルーしてしまったのだが、後でネットで調べたらそれが「ハニベ道場」だと知って後悔。 写真撮っとけば良かった・・・。
パンフによれば、洞窟の最初は「釈迦一代記コーナー」。
これは断食中のお釈迦様で、アバラの浮き方がすごい。
ハニベは知る人ぞ知る珍スポットだが、作品の出来は素晴らしい。本物だ。
釈迦コーナーが終わると、院主様のアトリエが見えた。 造りかけのブロンズ像が放置されたりしていて、少し今後の創作活動が心配される。
お次は「インド彫刻館」。ここはエロティカルな彫刻が多く、裸の女神様や、男女が凄い体位で絡み合ってるレリーフ等が飾ってある。
坊やも意味も分からず大喜び。
そして次のエリアが、メインの「地獄コーナー」。
ここに足を踏み入れた時、何故ハニベが日本で10指に入る珍スポットなのかを、誰もが身をもって思い知る事となる。
まずは「轢き逃げの罪」。 お土産物屋にあった絵はがきにも使われていたスプラッタシーン。
大阪で3キロも被害者を引きずったという轢き逃げ犯は、こんなモンでは済まないだろう・・・。
これは「食べ物を粗末にする罪」。 食べ物を無駄にすると、自分が地獄で鬼の食料になってしまいますよ、というわけ。
道徳的にはいい事を言ってるのだが、これを子供たちに見せて教育効果があるかどうかは分からない。
で、鬼の食卓に並ぶと。 メニューは当然グロいモノだが、ちゃんと煮物の具が人間の耳の形になっていたり、造り込みは細かい。
で、鬼の食卓専属シェフ。地獄コーナーはほとんど、息子である現院主の作なのだが、どういう感情でこういうモノを造っていたのだろうか。
なんか変に興奮しながらグロい部分を彫ったりしてたら嫌だなぁ・・・
地獄を抜けると、不動明王、エンマ大王と続く。 この辺は父上である初代院主の作。
息子もなかなかやるが、やはり父親の造形は見事だ。
洞窟はこれでお終い。 外に出ると、少しの山登りで涅槃像に出会えるらしいのだが、地獄巡りで流石の坊やも疲れたっぽいので撤収することにした。
80年代までは、本気で巨大大仏を完成させるつもりだったらしく、参拝料や水子供養料で豪遊できるほどだったという。 しかしバブルも弾け、思うようにカネも集まらず、いつしか客寄せのためにB級オブジェ造りに傾倒していったのかもしれない。
「北陸の稀代の彫塑家親子の美術館」として考えれば、なかなか作品の出来からいっても800円の価値はあると思うが、やっぱり「宗教法人も喰ってかなきゃいけないんだよな」というドロドロした部分が見えてきてしまう。 「人が集まるんなら・・・」と、あらぬ方向に暴走してしまう、珍スポットはこうして出来るんだというひとつのパターンを垣間見た気がした。
あと、どうでもいいことだが、パンフには「傘1000本用意してあります」と印刷されている。 雨が降っても大丈夫ですという事だが、1000本は多すぎやしないだろうか・・・・(後編に続く)
2007年10月7日訪問