その1からの続きである。
今をときめく、京都大学助教の小出裕章氏のおかしさは、以前当ブログで以下のように示した。
週刊新潮に「『放射能ヒステリー」を煽る『武田邦彦』の正体」という記事が(当ブログ 2011.07.25)
朝鮮の核問題(2003.06.14 京都大学・原子炉実験所 小出裕章)(PDF)
小出裕章が万年助教なのは、反原発派だから「原子力ムラ(笑)」から睨まれて昇進できないからではなく、単に学問的な論文が書けないから万年助教なのだということがよくわかる。その証拠に、この「論文(なのか???)」には参考文献一覧すらない。すなわち、従来の学問的研究の成果を踏まえ、その上にどのような知見を積み重ねるかという学問の基本的姿勢が全く存在していないのだ。その証拠に、原子力とは全く関係ない「星条旗が示す米国の成り立ち」というサブタイトルで、「アメリカ合衆国」を「アメリカ合州国」と修正させることができない日本社会こそが歪んでいるなどと書いてご満悦だ。
・・・アメリカ「合衆国」の表記と、原子力研究は、何がどう関係しているの?反原発派の諸君よ、だれか教えてくれよ。(ここまで)
今回の彼の発言にもおかしな点がある。
>水野「また、具体的にですね。沖縄国際大学に米軍のヘリ、ヘリコプターが墜落した事故が、ありました。あれが7年前ですかね」
>小出「7年前の8月13日です」
(中略)
>小出「はい。まあそれは私はかなりの量だと思いますし、普通の方々が吸入していいという、まあ、1年間にこれ以上吸入するなという量に換算すれば、550人分というそういうものがあの時に何処かに無くなってしまいました」
>水野「えー。ストロンチウム90、が、これ以上は吸入してはダメという量の550人分」
>小出「はい」
・で、その後、沖縄国際大学近辺で、ストロンチウム90を吸入したことが原因だと思われるような、骨がんまたは白血病患者、または死者の有意な増加は観察されたの??
この、一番重要な質問を、聞き手の二人はどちらも、全く行わない。この意味では司会者らも司会者失格である。
次に重要な質問はこれだ。
・ストロンチウム90の、「これ以上は吸入してはダメという量」は何グラム???
しかし、これもどこにも書かれていない。にもかかわらず、
>小出「が無くなってしまったのです。だから私は大変なことだとその時は思いましたし。ずーっとそう思っていましたけれども、今、進行している福島原子力発電所の事故で言えば、え、それが1兆人分のまた、また何万人分(※何万倍の言い誤り)という、そういうようなものがすでに原子力発電所から放出されてしまっている、のです。」
と、根拠もなく、断定的に宣言できるのはなぜなの?しつこいようだが、これのどこが「科学者」の態度なの???
・・・というか、「1兆人分」とか出ている時点で地球上の人口の数十倍だろうに。その何万倍って・・・地球上の全員が速攻で骨がんまたは白血病にならなきゃいかんくらいのストロンチウムが福島原発から放出されたんかい???
・・・
・・・・・・おれも、おれの周りでも、骨がんまたは白血病で仕事を辞めたヒトは一人も出てきていないが???あの事故からもう7ヶ月以上経つというのに。
しかしながら、「反原発ムラ」の人々にとっては、小出裕章というauthorityが発言したことは、根拠がなくても「authorizeされた発言」として、「真実」と受け止められ、流布される。その「流布役」を買って出ているのが、先に挙げた"tamikotea2"と名乗る、ヤフー知恵袋の「原子力災害」の「カテゴリマスター」なのである。
もうすでに、小出氏が言うほどのストロンチウムが空中に放出されたのであれば、今回のニュースのような、
「横浜で195ベクレル/キログラムのストロンチウム!」
などは、足の小指の垢にすらならないほどの微量である。この量に、ストロンチウムを吸入摂取した場合の実効線量係数である、7.7×10の-5乗をかけると(ソースはここ)、トータルの内部被曝線量は
195×7.7×0.0001=0.15mSv
となる。しかもこの内部被曝線量はトータルであるから、被曝量としては全く問題ないレベルである、ということになる。
しかも、このストロンチウムが、もともと土に含まれていたものである可能性も現在調査中であるので、福島原発由来のものでなければ、その危険性はさらに低くなるだろう。
という、現実的かつ定量的な議論をすることもなく、
・論文をまともに書く気がない「助教」が「根拠のないデマ」を垂れ流し、
・「とにかく危険だ!」と煽りたがる「自称、善良な市民」がその「デマ」を「小出さんが言いました!」という「のし」をつけて流布する。
・以下、お話送りゲーム状態で、デマばかりが拡散してゆく。ツイッターなどで。
まあ、見事な「反原発ムラ」の連携プレーである。「原発ムラ」の連中も、もっと見習わないと(笑)。
最後に、定量的な視点をふまえた、ストロンチウムの正しい怖がり方について、これまたいろいろ調べた結果見つけた記事へのリンクを貼っておく。これについても、また考える点が出てきたら記事にする。
ストロンチウム汚染を「正しく怖れる」ために(JANJANブログ 2011年 5月 27日 04:13 カメクジラネコ様)