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秋篠宮さまのお気持ちはわかるが、皇室の方が政治的な発言をなさるのは控えるべき

2011-12-03 15:27:03 | 根っこのところ

「国体(国の基本的なかたち)を守る」ということは、必ずしも、皇族の方々の意見を忖度したり伺ったりすることでは断じてない。この線は譲れない。

 

読売新聞が11月30日朝刊1面左側にでかでかと掲げた、秋篠宮さまの誕生日記念の記者会見でのご発言は、女系天皇でさえ認めかねないゆゆしきものである。

いや、もっと正確に言うのなら、以下の発言は、読売やその他のマスゴミ、右翼ぶった左翼、あるいは単なるバカが「女系天皇容認」の「道具」にしかねない「火種」になりうるものである。だから、政治的な類については、皇族の方にご意見を伺うのはいけないのだ。それが、私の考える「天皇機関説」という考え方である。

 

皇族は一定数必要・天皇定年制も…秋篠宮さま(読売 2011年11月30日07時25分)

 秋篠宮さまは30日、46歳の誕生日を迎えられた。

 これに先だち22日に開かれた記者会見で、「皇室を維持していくためには、一定の数(の皇族)は当然必要」との考えを示されたほか、天皇陛下の公務の負担に関連して「(天皇の定年制も)必要になると思う」と述べられた。

 また、皇室典範の見直しは国会の議論に委ねられるとした上で、「今後の皇室の在り方を考えるときには、私、もしくは皇太子殿下の意見を聞いてもらうことがあってよいと思います」と述べられた。

 皇族の確保、次世代の皇族の意見反映についての発言は、天皇陛下のお考えとも合致している。政府は25日、皇族女子が結婚後も皇室にとどまることを可能にする「女性宮家」の創設に向け検討することを明らかにしている。長女、眞子(まこ)さま(20)、次女、佳子(かこ)さま(16)、長男で皇位継承順位3位の悠仁(ひさひと)さま(5)の父、秋篠宮さまが自ら一定数の皇族確保の必要性に言及されたことで、政府の検討が加速する可能性がある。

 秋篠宮さまは、陛下の健康状態と公務についての問いに、今年は東日本大震災のお見舞いなどで公務が特別に多かったと指摘、両陛下とも77歳の喜寿を迎えており、宮内庁と医師が連携し健康を維持できる柔軟な対応が必要と訴えられた。

 この発言に関連し、会見の場で「天皇の定年制を設けたらどうかとの意見もあるが」と問われると、「必要になってくると思う。一定の年齢を過ぎれば、人間はいろんなことをするのが難しくなっていきますので、一つの考えだと思うが、(年齢で区切るかどうかなどを)議論しないといけない」と答えられた。

(ここまで)

※会見詳報はこちら

 

なんと言っても、読売記事のここがひどい。

>皇族の確保、次世代の皇族の意見反映についての発言は、天皇陛下のお考えとも合致している。

まるで、天皇陛下と秋篠宮さまのご意見が一致していれば、その方向で皇室典範を変えてもいいかのような雰囲気作りを意図した文である。しかも、「次世代の皇族」という言葉には、誰を次の天皇にするかという「皇統」の問題も必然的に入ってくる。

しかし、以前ここで書いたように、男系天皇という慣例は、天皇家が始まってから今までずっと維持されてきたものであるがゆえに、それ自身が天皇家たる根拠そのものになっている。今の皇族の判断で勝手に変えていいものでは断じてない。

くどいが、それを、「今の天皇陛下と皇太子が女系もかまわないと思っているから」という理由で女系天皇をも認めるような皇室典範改正などの動きが生じるとすれば、日本国憲法第4条に明確に違反する。

 

【日本国憲法】

第4条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。

 

いや、こういう条文が仮になかったとしても、日本という国が民主主義国家である限り、天皇が国政に関する権能を有してはならない。当たり前である。日本は「国民主権」の国なのだから。その国民主権の国の象徴として、天皇陛下は国事行為のみを儀礼として行う。それが天皇陛下の「仕事」なのである。このように、国事的行為を儀礼としてのみ行う存在として天皇陛下なり皇族なりを認識し、扱う立場が「天皇機関説」であると私は考えている。簡単に言えば、天皇陛下には、天皇陛下という「仕事」をしていただいている、ということである。その仕事内容を、天皇陛下自身が恣意的に変えてはならない。なぜなら日本は民主主義国家であるからだ。

 

例外は、体調などの人道的な分野である。私も陛下の体調について心から心配している。ご公務をご公務と思っておらず、ひたすら日本国と日本国民のためにご公務やお見舞いを繰り返して下さる姿には、むしろ胸が痛むくらい恐縮している。だから、陛下の体調を思っての「天皇定年制」などについては、一国民として心から賛成する。

しかし、それと、皇族をどれだけ増やすか、その皇族の資格には女性も含むのかという、皇統に関係しうる皇室典範改正問題は、質が全く別のものである。多くの国民は、この二つをまぜこぜにして、ただ何となく「天皇という存在」をイメージでしか抱いていないのであろう。

それでは、この読売の記事のように、「皇族も賛成しておられるのだから」という論理で、女系天皇ですら出てきかねない。それでは皇統は維持できないのだ。

 

この機会に、一人でも多くの国民に、「天皇の仕事とは何か」ということを、本気で考えていただきたい。天皇、あるいは皇族の「仕事」の中には、男系の皇統を維持するという点が必ず入る。その意味で、女系天皇を認めかねない「皇族の拡大」には断固反対する。しつこいが、男系が維持されうるのであれば、女性天皇は全然かまわないと考える。

 



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