できるだけごまかさないで考えてみる-try to think as accurately as possible

さまざまなことを「流さずに」考えてみよう。"slow-thinking"から"steady-thinking"へ

「代講日程調整恐怖症」の原因は

2012-04-03 23:44:56 | ほら穴

貧乏暇なしで、春期講習が続いているので個人的な記事が続く。どうでもいい記事を読みたくない方はスルーされたし。

 

昨日から「爆弾低気圧」が明日来るぞと天気予報で繰り返し言っているのに、この期に午後から行っている予備校では

 

「当予備校は本日、通常通り授業を行いますが、

安全を優先して、来られない生徒さんは後日フォローを受けて下さい」

 

という主旨のメッセージを、今朝からずっとwebのトップページに貼っていた。それだけ「腹が据わっている」風を装っていたにもかかわらず、

午後4時半くらいになって、こりゃ本当に暴風が来るわ!と「判断」した結果、

 

「本日は、午後6時からの授業は休講にします。

振り替え授業は各校舎にお問い合わせ下さい」

 

という決定が下る。

その結果、校舎にすでに出勤していた講師、スタッフ、アルバイトは、

時をほぼ同じくして電車がほぼ全面的に止まった煽りを受け、結局普通に授業をしたときと同じくらい、

いや、普段の授業より遅く別ルートで帰途につく。

 

 

同業他予備校は、昼過ぎには「夜は休講」を決定し、受付も夕方まで、と決めたところが多い。

 

なぜ私が行っている予備校だけが、こんだけ判断が遅いかというと、本部としては「代講の日程調整がとてもイヤ」だからだ。

もう一つ、もう5,6年前になるが、「台風が来ると言って休講にしたが、大外れだった」ことが、この予備校本部が天気予報を信頼する度合いを大きく下げている。

 

・・・代講の日程調整がイヤなら、入会してもらうときの契約書(申込書)に、

「天気などの影響により、欠講分の代講が設定できないときがありますが、ご了承下さい。ただ、できるだけ代講の設定は行います。」

と一文を入れておけばいいだけなのだがなあ。

 

予報の空振りも、「生徒の安全を考えて」という理由であれば、いくらでも正当化できるものなのだから、空振りを根拠に、天気に基づく休講をギリギリまで伸ばすのは、授業があると思って、必死に予備校に来る生徒を増やすという意味で、本来必要がないリスクを増やすだけなのだがなあ。

 

塾でも予備校でも、悪天候であればあるほど「燃えて」必死にやって来る生徒はいる。『ダイ・ハード』シリーズのブルース・ウィリスみたいなものだ。以前中学生を教えていたときにも、台風が直撃したが生徒は皆勤だったときがあった。その時の生徒たちの、

「先生!僕たちは台風でもがんばって来ました!ほめてほめて!!」

感満載の顔は今でも忘れられない。実際に今日も、夜10時近くまで自習していった生徒がいた。しかしそれは予備校にとっては、その生徒が無事に帰宅できないかも知れないというリスクを上げるがために、あまり歓迎できる事態ではないのだ。

 

本来は、生徒さんは、台風などの時は家から出るべきではないのだよ。なぜなら、「塾に、予備校に行かなくちゃ」という「義務感」で塾や予備校に向かう生徒たちの中に、その台風などのせいで、事故に巻き込まれる生徒が出る可能性は無視できないほど存在するからだ。前述したように、「悪天候であればあるほど燃える生徒」の存在を見ればそれは明らかである。例えばそういう生徒がカッパを着て必死に自転車をこいでいるときに、壊れたカサの柄が飛んできて体に刺さる、そういうリスクを考えていないのがこの予備校である。

 

そういう「現実的なリスク」より、この予備校の偉い人にとっては、「休講分の振り替えができなくて、生徒の保護者から休講分の授業料の請求を受けたら困る」という方がよほど「より現実的なリスク」なのだ。

 

うむ。何となく原発をめぐるリスク論と似ているな。誰がどの要因を重く見るかで、結果が180度変わると。

 

繰り返しになるが、

「休講分の振り替えができなくて、生徒の保護者から休講分の授業料の請求を受けたら困る」

というリスクを重く見るのなら、入会してもらうときの契約書(申込書)に、

「天気などの影響により、欠講分の代講が設定できないときがありますが、ご了承下さい。ただ、できるだけ代講の設定は行います。」

という一文を入れれば良いだけである。それをなぜ恐れているのかは私にも分からない。

 

まあ、前述したような事態、すなわち、無理して予備校に来ようとした生徒が事故に巻き込まれ、亡くなるか大ケガをするかしないと、上層部はこういう

「ギリギリになってハイリスクな判断を下す」

クセを直そうとはしないだろう。眼はいつも「直近の収入支出」しか見ることができていないのだから。

 

 

 

あ、今週から始まった「NHKニュースweb24」でも、北朝鮮の「衛星」打ち上げに対して、

「ぶっちゃけ、どのくらいの確率で落とせるの?」

という「ネットの声」が多いようだ。

 

うーん。確率の問題ではない。政府がやろうとしていることは、本気で落とそうということではなくて、万が一日本国土のどこかに落ちても、

「これだけ『最善を尽くした』のだから、政府に『過失』はない」

という「タテマエ」を整えることが第一義的な目的だと思うのだがなあ。

 

もちろん、その「タテマエ」を整えた上で、実際に打ち落とせれば、「実績」にもなるだろうが、仮に打ち落とせなくてそれが本土のどこかに落ちた場合でも、外れたデータが「次」に役立つと考えているだろう。そういう意味で、いずれにせよ、防衛省や政府としてはPAC3配備による「メリット」の方が「コスト」よりはるかに大きい、と判断したのだろう。その判断は合理的だと私も考える。だから、この問題は最終的には「確率」の問題ではないのだ。

 

 


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