こんにちは。
いつもながら本当にご無沙汰ばかりですみません。
ブログを書くような時間は全くないまま11月になってしまいました。
さて、かなり間が開いてしまった続きです。
この間、ずっと溜めていた日経Bオンラインに目を通していると、私が書こうとしている題材にドンピシャの記事がありましたので、そのコピペを交えながら進めます。
「次の内閣の物流行政を読む」 2009.8/11の記事です。
まず、前置きが面白い。
<引用始>
日本の物流の国際競争力は、この10年間で無惨なまでに劣化した。1995年までアジアナンバー1の貨物輸送量を誇っていた成田空港は、まず香港にその座を明け渡し、韓国の仁川に追い抜かれ、2007年には上海の浦東にも負けて、現在はアジア4位に転落している。
海上輸送網の軸となるハブ港湾も日本から消えた。日本の主要港のコンテナ取扱規模は今では、シンガポールや中国(上海、香港、深センなど)、韓国(釜山)、台湾(高雄)より、ヒト桁も小さい。マレーシア(ポートケラン、タンジュンペラパス)やタイ(レムチャバン)の後塵まで拝している始末だ。
日本の港に寄港する基幹航路の便数は年を追うごとに減少している。そのため、荷主企業は日本で生産した製品を北米や欧州に輸出するのに、いったんほかの国のハブ港まで輸送して大型船に積み替えなければならない。それだけリードタイムとコストがかさむ。ハブ港の存在は、その地域の輸出競争力に大きく影響するのだ。
中国はもはや別格としても、経済規模で日本よりはるかに劣るアジアの新興国に、なぜ物流で負けるのか。
原因の1つは政治家の利益誘導だ。アジアの物流強国はいずれも国策としてハブ港に投資を集中させている。ところが、日本は政治家たちがそれぞれ自分の地元に国の社会資本整備費を呼び込むことに奔走し、投資が分散した。それによって国が衰退しようとも、身内が潤えば政治家は自分の立場を守ることができる。
省益を優先する国土交通省の罪も重い。管轄する事業者を保護して、その見返りに天下り先を確保する。既得権を維持しようとするあまり、利用者不在、荷主不在の政策をずっと続けてきた。
実際、航空貨物や港湾事業者の業績は、昨年のリーマンショック前まではずっと堅調だった。日本の空港や港湾の相対的な地位は低下しても、国際貨物の絶対的な物量はグローバル化によって増えている。新規参入を規制することで、既存の事業者はその恩恵を丸ごと享受できた。
割を食っているのは、物流サービスの最終的な利用者である荷主企業、ひいては国民だ。利便性の低いサービスと割高なコストの負担に加え、日本の立地競争力が低下したことで、荷主企業は生産拠点を海外シフトさせた。国内の雇用が必要以上に失われた。 <引用終わり>
黄色背景の部分が非常に的を得ている!
こういう事が国交省に限らず、どの分野にでも多く存在する事だろう。
そしてその中身なんだが、
この方の記事だと、
物流現場では事実上、派遣が一切使えなくなる。物流現場の採算性は、日々の物量の波動への対応が大きなカギを握る。短期派遣は、そのための1つの手段として利用されてきた。しかし、今後は正社員か直接雇用のパートで現場を回すしかない。
安定雇用の維持と物量の変動への対応を両立させるのは至難の業だ。現場では作業をストップさせないため、仕方なく物量の多い日に合わせて人員を確保することになる。物流コストの6割を占める人件費負担が増大する。
物流コストの上昇はサービス料金に転嫁されて、製品価格を押し上げる。それを吸収できない製品や物流現場はやっていけなくなる。労働需要が減少すれば、労働者にとってもマイナスだ。
という説明があるが、
実際の現場中小企業(物流企業の8割以上は50人以下の中小企業である)では、物流コストを上げていては勝負にならないから同業皆が疲弊しドンドン共倒れになっていくと推測しているのです、私は。
そして、肝心な高速無料化に関しては、
そういう諸事情の中、荷主企業自体が疲弊しきっているので、物流コストの引き下げに躍起になっている状態です(それが悪いとは思っていません。企業として当たり前の事です)
そういう状況下での高速無料化、暫定税率廃止です。
荷主企業がこれに便乗しない筈がありません。
まず、高速無料化ですが、
そもそも企業の物流コストの引き下げの為にやる訳ですから、無料化になれば企業は運賃の見直しは必ずやってきます。
そこで、我々実際の物流企業に降りかかってくるのが高速代金の請求が出来ない事に関わる利益低下と便乗値下げという懸念です。
一口にトラック輸送と言っても、デイリーなルート配送もあれば、往復1泊2日の中距離輸送から往復4泊5日の長距離輸送、そして当日全線高速の中距離輸送など、商品やその商品の供給タイムによって様々です。
その高速利用料も一ヶ月では莫大な金額になりますが、ハッキリ言って荷主から頂く高速料と実際に使った金額との差額で利益を出しているのです。
というか、その差額でしか利益を出すところが無い状態の運賃水準になってしまっています。
例えば、ある荷主の商品輸送にかかる出荷時間と着時間では「このルートではこの区間は高速を使わないと間に合わない」という輸送があるとします。
我々は、その1回当たりの必要高速料×月間回数を距離運賃に上乗せした運賃契約を結ぼうとします。(そうすればイチイチ高速の利用明細の領収添付の必要がないからです)
しかし、実際はもっと短い区間の高速利用で済ませ、その差額で利益を確保します。
もっと言うと、我々運送業者は運送業者専用のETCカードを持っていて、社全体の月間利用額の〇〇%割り引いて請求がきます。
その差額が利益で、それでしか利益が出せない程の運賃水準にまで下がっているのが物流企業の現状です!
高速無料化となれば、当然今まで頂いていた高速料金はゼロになる訳で、我々の利益を出すところは殆どなくなってしまう事と同じ意味なのです。
勿論、はじめから高速利用の無い輸送には関係の無い事ではありますが、高速利用しない輸送のシェアが低い運送業者は死活問題になり兼ねませんよ、これは・・・。
そして暫定税率の廃止ですが、
暫定税率の廃止に伴い、上記記事の中でも触れていましたが、「運輸事業振興助成交付金」というのも廃止されるでしょう。
物流業者は交付金の打ち切りと共に、それに伴う荷主企業からの値下げ要求のダブルパンチを見舞うことになります。
実質、暫定税率分の燃料価格は下がる訳ですから、交付金は無くなっても仕方がありませんが、燃油コストダウンにも荷主企業が黙っている筈は無いですよね。
ルート配送的なデイリー輸送ではあまり要求されないかもしれませんし、されても小さい額なので構いませんが、中長距離輸送では1運行(往復)500Km以上走る訳ですから、リッター4Kmでも125ℓ以上の燃料を焚くので、500Km運行で2000円程度の燃油費ダウンにはなります。
それを荷主企業は2500円・3000円酷い場合は5000円程度の値下げ要求をしてくるのではないかという懸念です。
日経BOLの記事にはこうありますが、
昨年の軽油高騰場面では、トラック運送業界に燃料サーチャージ制度を普及させるため、国交省がその算出方法を示したガイドラインを発表し、荷主に対しても圧力をかけた。従来の自由化政策から一転し、行政が運賃カルテルを指揮した格好だ。
とんでもないですよ!
ガイドラインなんてそんなモノ、何の役にも立ちませんでしたよ。
昨年の原油高騰時には、私も(そんなガイドラインなどが出る前から)各取引企業にお願いしてまわった燃油サーチャージ制ですが、応じてくれた企業なんて殆どありませんでした。
我社に限らず、県内の物流企業の殆どがそうです!
なにが「荷主に対しても圧力をかけた」だよ・・・
法での罰則規定がないガイドラインなんて何の役にも立たない事をやっただけで、運賃カルテルを指揮したなんて大袈裟な事言ってんじゃないのよ。
要するに、全国の自動車運送業で8割以上を締める中小物流企業においては、
● 高速料の差額でしか利益確保が難しい程、運賃水準が下落している状態での高速無料化となれば、死活問題となる。
● 暫定税率廃止による実質燃油価格ダウンに伴う更なる便乗値下げ要求
この2点で体力の無い運送業は壊滅的な打撃を受ける事になると推測しています。
ウチはなんとか乗り切る構想は頭の中にはありますが、息細々とやっている所などはかなりの数淘汰されてしまうでしょうね・・・。
というか、こういう事は運送業に限らず、多かれ少なかれどの業界でもあると思うんですよ。
結果的に企業の収益は落ち、法人税の大・大・大幅ダウンして国の税収はドンドン下がりますよ。
他国に相手にされない温暖化防止対策ばっかりやってないで、企業に対する景気対策を本当にしっかりやらないと、早期解散って事もありますよ、気持ちの悪い鳩ポッポさん(笑)
口ばっかりの鳩山首相及び民主党政権ですが、
本当にろくな事しかやりませんな・・・。
という訳で、民主政権での負の一部にしか過ぎない、ダメ政策の例でした。
チャンチャン!
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます