3月の吟題は、杜荀鶴(と じゅんかく)作「夏日(かじつ)悟空上人(ごくうしょうにん)の院に題するの詩」です。
三伏(さんぷく)門を閉じて一衲(いちのう)を披(ひら)く
兼ねて松竹の房廊(ぼうろう)を蔭(おお)う無し
安禅(あんぜん)は必ずしも山水(さんすい)を須(もち)いず
心頭(しんとう)を滅却(めっきゃく)すれば火も亦(また)涼(すず)し
一年中で最も暑い時節。山門を閉じ、僧衣を着る。住まいをおおってくれる松や竹もない。
心中から暑いという雑念をはらいされば、火中にあっても涼しさを感じるものだ。
結句は、修行をつんだ人のみが知りうる境地である。