京風流吟詠会 10月の吟は、陸游(りくゆう)作「剣門(けんもん)の道中(どうちゅう)にて微雨(びう)に遇(あ)う」です。
衣上(いじょう)の征塵(せいじん)酒痕(しゅこん)を雑(まじ)う
遠遊(えんゆう)処(ところ)として消魂(しょうこん)せざるは無(な)し
此(こ)の身(み)合(まさ)に是(こ)れ詩人(しじん)なるべきや未(いな)や
細雨(さいう)驢(ろ)に騎(の)って剣門(けんもん)に入(い)る
作者 陸游(1125年~1209年)南宋の政治家、詩人
通釈 旅のちりにまみれた着物に酒のしみが混じって付いている。遠い旅路をゆくと、どこを見ても心がゆすぶられる思いだ。このわたしは、いったい詩人であるべきなのだろうか。糸のように細い雨の中を、驢馬(ろば)にゆられて剣門(注:山の名。四川省剣閣県の北にある。)へと入ってゆく。
旅の途中、自分の人生を振り返って、その感慨を述べている。