5月の吟は、嵯峨天皇作「江上(こうじょう)の船」です。
一道(いちどう)の長江(ちょうこう)千里(せんり)に通(つう)ず
漫々(まんまん)たる流水(りゅうすい)行船(こうせん)を漾(ただよ)わす
風帆(ふうはん)遠く没す虚無(きょむ)の裡(うち)
疑(うたご)うらくは是(こ)れ 仙査(せんさ)の天(てん)に上(のぼ)らんと
欲(ほつ)するかと
作者 嵯峨天皇(786年~842年 第52代天皇)
河陽宮(かやのみや 嵯峨天皇の離宮 京都府大山崎町)から見ると、淀川が千里のかなたまで続くかのように流れている。その川の広く豊かな水の流れに、行きかう船を浮かべている。これらの船が風をはらんで矢のように速く、遠くはるかかなたに消えゆく光景は、まるで仙人の乗ったいかだが天に上るさまかと思われる。