京風流吟詠会8月の吟は、楊万里(ようばんり)作 夏夜(かや)涼(りょう)を追(お)うです。
夜熱(やねつ)依然(いぜん)として午熱(ごねつ)に同(おな)じ
門(もん)を開(ひら)いて小立(しょうりつ)す 月明(げつめい)の中(うち)
竹(たけ)深(ふか)く樹(き)密(みつ)にして虫(むし)鳴(な)く処(ところ)
時(とき)に微涼(びりょう)有(あ)るも是(こ)れ風(かぜ)ならず
作者 楊 万里(1124~1206年)南宋の詩人。
通釈
夜になっても気温が下がらず、まだ日中のような暑さだ。そこで、門を開けて、月明かりのもとで、しばらく立って涼んでいた。門前には竹がうっそうとはえ、樹(き)がぎっしりと生い茂っている。そこで、虫が集まって鳴いている。そのとき、涼しい風が吹いたようだ。だが、これは風ではないのだ。
解説
夏の夜、涼を求めて外に出て、虫の鳴く声に涼しさを感じたという詩である。