京風流吟詠会 7月の吟は、山岡鉄舟(やまおか てっしゅう)作「金剛山(こんごうさん)」です。
一片(いっぺん)の赤心(せきしん)報国(ほうこく)の情(じょう)
千秋(せんしゅう)の節義(せつぎ)今(いま)に至(いた)るまで清(きよ)し
金剛山下(こんごうさんか)孤城(こじょう)の畔(ほとり)
挫(くじ)き得(え)たり虎狼(ころう)百万(ひゃくまん)の兵(へい)
作者 山岡鉄舟(1836~1888)幕臣、剣術家。
通釈
ささやかとはいえ篤(あつ)い真心、国家のためにこそ一命を擲(なげう)って働こうとする情熱、それゆえにこそ楠公(楠木正成)不変の忠義は、今日に至るまで永く伝えられて、忠臣の名は汚されないのである。金剛山のふもとに孤立するとりでによって寡(か)よく衆に敵し(少数のものが多数のものに勝つ)、あの百万と号する強兵をよくも打ち破ったものである。
【解説】金剛山は、奈良県と大阪府の境にあり、その中心が1125mである。その金剛山の山腹に楠木正成の築いた国見・赤坂・千早の諸城址がある。金剛山を見上げて、楠公の忠義を追懐し、自らの心情を重ね合わせた詩である。