

意味深なタイトルですがミステリーです。ホラーとかそう云った内容のものではありません。しかし、本格ものでもありません。むしろ純愛小説的なシチュエーションと展開を見せるストーリーです。社会人でありながら他人との関わりあい方に不器用な男と、眼に障害を持つ女性との奇妙な同居生活が起きます。それは駅のホームでの事件のせいです。彼は職場の男性と上手くいかずトラブルを抱えていました。その先輩がホームから転落し死亡する事故が起きます。同じホームにいた彼は警察に疑われます。このため駅のホームが見えるアパートの一室に忍び込みます。そこには眼の不自由な若い女性が一人暮らしているのを彼は知っていました。息を殺しじっとホームの見える窓辺に潜む彼。彼女の方も人の気配に気付きます。しかし、危険な相手ではないことを悟り気付かないフリをします。こうして二人の奇妙な同居生活が始まりました。相手を思いやり少しずつ心が通い合うところなど、交互に視点を変えた描写で読ませる上手さです。読後の余韻は心地よいものでした。
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