森博嗣氏の久しぶりのミステリらしいミステリと言える内容の本です。
インターポールの事務職員が遭遇するミステリアスな連続殺人。海外が舞台になっていますが、このストーリーでは日本よりもその方がより自然に受け止められます。
周到に張り巡らせた伏線とミスリードが上手くかみ合っており、これは最後のシーンで犯人が予想どうりだったと云うことはちょっと難しいのじゃないでしょうか。
その意表をついたオチに至る過程が物語としての面白さにかかってくるのですが、氏の筆の確かさで主人公が係る人々との関係やセリフの楽しさが読む楽しさをさらに高めます。
事件の真相は「フム!」と云うものですが、是か非かはともかく一貫したストーリーの確かさで最初の事件から最後の真相が明らかになるところまで飽きることなく読み進めます。
各章の冒頭に引用されているオスカー・ワイルドの「サロメ」の一節も、読み終えてみれば真相に至るヒントにもなっていると気付くわけでその遊び心も楽しいものです。
氏の作品はどっしりとした重さのあるミステリではないのですが、その辺も氏の持ち味として洒落たセリフやシチュエーションで読ませてくれる自分好みの作家の一人となっています。
軽く読める本が続いていましたが、これはミステリとして十分中身の濃い内容でテクニックが光る作品です。
玄冬舎創立20周年記念特別書下ろし作品です。
インターポールの事務職員が遭遇するミステリアスな連続殺人。海外が舞台になっていますが、このストーリーでは日本よりもその方がより自然に受け止められます。
周到に張り巡らせた伏線とミスリードが上手くかみ合っており、これは最後のシーンで犯人が予想どうりだったと云うことはちょっと難しいのじゃないでしょうか。
その意表をついたオチに至る過程が物語としての面白さにかかってくるのですが、氏の筆の確かさで主人公が係る人々との関係やセリフの楽しさが読む楽しさをさらに高めます。
事件の真相は「フム!」と云うものですが、是か非かはともかく一貫したストーリーの確かさで最初の事件から最後の真相が明らかになるところまで飽きることなく読み進めます。
各章の冒頭に引用されているオスカー・ワイルドの「サロメ」の一節も、読み終えてみれば真相に至るヒントにもなっていると気付くわけでその遊び心も楽しいものです。
氏の作品はどっしりとした重さのあるミステリではないのですが、その辺も氏の持ち味として洒落たセリフやシチュエーションで読ませてくれる自分好みの作家の一人となっています。
軽く読める本が続いていましたが、これはミステリとして十分中身の濃い内容でテクニックが光る作品です。
玄冬舎創立20周年記念特別書下ろし作品です。