Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

「ルパンの娘」横関大のミステリ

2016-12-19 11:16:55 | ミステリ小説

                         
                                  

どうもすっかりこのブログをサボってしまいました。カメラに夢中になってこちらにまで神経がいきわたりませんでした。

写真を撮るということはけっこう奥が深く、いろんなシチュエーションに取り組んだりしているうちにこのブログを書く時間がとれませんでした。ちょっと反省しつつ久しぶりに今日は書いていこうと思っています。

でも普段はいつもミステリを読んではいます。しかし読み終えた後に、いやこれは面白かったなぁといったものに出会えていなかったのも事実です。

それほどのモノでもないのにここに書くというのもちょっと主旨から外れますし、そういったこともあってしばらく更新が疎かになっていました。

さて、今回の本は横関大という人の作品です。この人は2010年に「再会」で江戸川乱歩賞を取って作家デビューをした人です。

警察一家の息子と泥棒家族の娘が出会って恋に落ち、ふたりが結婚するまでの紆余曲折に殺人の謎を絡ませたミステリとして書かれています。

シチュエーションだけ見れば昔の赤川次郎の世界です。あり得ないようなバカバカしいシチュエーションですが家族全員が警察官でその一家の息子の刑事が恋人とする女性は図書館で働くまじめな女性です。

娘自体は真面目ですが泥棒一家に育っただけあって、祖父から仕込まれたスリの技術は一流という漫画チックな設定です。

お互いのことで仕事とか家族のことはまだ秘密にしていた二人ですが、彼が娘を両親に合わせるために家に連れていきます。そこで初めて彼が警察官であることを知り驚きますが自分の家族のことは

到底話せるものではありません。彼の職業を知り彼との結婚を夢見ていた彼女は諦めざるを得ません。そんな時ひとつの事件が起きます。河原で見つかった死体は顔がつぶされていました。

捜査に加わった彼はホームレスらしい被害者の男の正体を調べますが、警視庁のデータベースから指紋が一人の人物に該当することが判明します。

しかし、そこで彼は不審に思います。物取りにしろ何にしろ殺しておいて顔を潰す理由は何だろうと。

この殺人の裏にはいろいろと手の込んだ理由があるのですが、どんでん返しが二度三度とあって捻りが効いています。

物語の進行もスピーディで、軽い文体ですがそれでいて説得力のある文章で描かれるストーリーはけっこう読ませます。

主人公の二人の彼と彼女もキチンとした人間として描かれており魅力あるキャラクターに仕上がっています。

ドタバタコメディのような味付けですがミステリの部分もしっかりしているので、設定からチープな内容と感じるかもしれませんが意外と拾い物なのではと思います。

明るく楽しいユーモアミステリがお好みの方にはおススメ出来ると思います。