Mのミステリー研究所

古今東西の面白いミステリーを紹介します。
まだ読んでいないアナタにとっておきの一冊をご紹介。

『そしてミランダを殺す』ピーター・スワンソンのミステリ

2018-07-01 09:23:02 | ミステリ小説


                 

ヒースロー空港のバーで離陸までの時間を潰すテッド

隣に見知らぬ若い女が座った テッドに「こんにちは」と声をかけその素敵な飲み物は何と聞いた

家の近所のバーでこんな女が隣に座って飲み物のチョイスを褒めてくれたら 男は人生が変わろうとしているぞと思うものだ

でも空港のバーではルールが違う こっちは妻の一件で相変わらずむかむかしていて それどころじゃなかった

このような出だしで物語は始まります 出発時間が二時間遅れとなりその時間まで二人は飲みながら話しを続けます

テッドは酔いもあり一週間前に妻の浮気を知った 殺してやりたいなどと喋ります 女は面白いわねと言います

テッドは30代後半のIT長者という身分で今世においてはもう働く必要のない資産を持っている男です

自分の名前はテッドとしか教えなかったし もう相手の名前は忘れているうえ一生の間に彼女にまた会う可能性はほとんどない

そんな赤の他人と話をし飲んでいるのは心地良かった ただ想いを口にするだけで怒りの一部は消えていくような気がした

女は言います 「それであなたはどうするつもり」 「僕の本当の望みは妻を殺すことだよ」 「そうすべきだと思う」彼女は言った 


章ごとに一人の人物の視点で物語が進みます  しかし何となく展開の予想がつくのは第一部までです

第二部からは予想外の展開となります そして刑事の視点で進む章が入る第三部  これほどの面白さとは読む前には思いもしませんでした

最近読んだ本の中では一番の面白さです 無理が無くとても素直に物語に入り込んでいける文章の上手さ 人物への感情移入のしやすさ

そして予想を裏切る展開が続く面白さ 小道具の使い方 ミステリの要素をしっかりと詰め込んだ犯罪小説です

あまり話題になっていなさそうですから これが本当の掘り出し物です 本といっても趣味嗜好品です でも同じアンテナを持っている

人であればきっと満足して貰える筈と確信します

スリリングでエキサイティングなこのストーリー タブーを破ってちょっとだけネタばらし

あの映画「太陽がいっぱい」のラストシーンのような結末が待っています(笑)


                                                          

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