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社会保険労務士酒井嘉孝ブログ

東京都武蔵野市で社労士事務所を開業している酒井嘉孝のブログです。
(ブログの内容は書かれた時点のものとご理解ください)

社会保険労務士の仕事(紛争解決手続代理業務)

2019年03月15日 13時38分31秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

特定社会保険労務士という資格があります。
2007年の社会保険労務士法改正で加えられた制度で、社会保険労務士に裁判外紛争解決手続きの代理権が与えられたものです。

解雇、セクハラ、パワハラなどの労働問題が発生し、それを白黒つけて解決していこうとすると弁護士を立てて裁判をしていくわけですが、その場合解決まで年単位の期間を考えなければならず、費用も労力もかかります。

それを裁判外で迅速に(そして費用も安く)解決できるよう、労働局のあっせんや社会保険労務士会が運営する「社労士労働紛争解決センター」でのあっせんの場において労働問題を解決していく手段があります。そのあっせんの場で会社側または労働者側の代理人となれる社会保険労務士が「特定社会保険労務士」です。

「あっせん」は裁判官が白黒つけて賠償額を決めるというのとは少々趣が違い、お互いが歩み寄って解決していく(お金の場合解決金額を決める)というスタンスで進んでいきます。
また、テレビに出てくる裁判所のように裁判官を中心に会社側労働者側左右に分かれて相対峙するものではなく、別室で進めていくので顔を合わせることもないようです。

その特定社会保険労務士の試験を昨年11月に受験し、その合格発表が今日でした。
おかげさまで合格することができました。
この合格を受けて、特定社会保険労務士となるには全国社会保険労務士会連合会の社会保険労務士名簿へ「付記」されてからなので少し先(最短で5月?)になります。

4月24日追記:付記となったのは4月1日付でした。

社会保険労務士の仕事(市役所等の無料相談会)

2019年02月14日 14時34分37秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

市によっては社会保険労務士による無料相談会をやっています。
私のいる武蔵野市では毎月、お隣の三鷹市は数ヶ月に一度のペースで市役所の1階のロビーの一角をお借りしてやっています。
私は昨年この相談会に4回登板しました(相談会はけっこう好きな仕事です)。

相談会では社会保険や年金、解雇、未払い賃金などの労働問題など幅広くご相談をお受けしています。

武蔵野市と三鷹市は予約制ではないのでその場でいろんな相談をお受けしています。
また、武蔵野市と三鷹市は合同で年に1度ですが社労士のほか、弁護士、公認会計士、税理士、司法書士、土地家屋調査士、行政書士、弁理士、中小企業診断士の方を集めて合同の相談会を行っています(こちらは原則予約制)。

社会保険労務士はまだまだ何をやっているかあまり知られていないので、こういった相談会を通じて社会保険や労働問題でお悩みの方が社会保険労務士を思い浮かべていただけるようにしていければと思います。

社会保険労務士試験の試験科目免除

2018年07月29日 16時59分42秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

社会保険労務士の登録をすると月1回全国社会保険労務士会連合会から「月刊社労士」が送られてきます。
それにそれに社労士試験の試験科目免除指定講習のことが書いてあったのでご紹介したいと思います。

社会保険労務士試験センターのホームページにも試験科目免除についても記載されていますが試験科目の免除がされるのは①労働社会保険関係の事務に関係した公務員10年以上勤務、②日本年金機構や全国健康保険協会、その前身の社会保険庁に15年以上勤務、③厚生労働大臣が指定する団体の役員若しくは従業者、社会保険労務士若しくは社会保険労務士法人の補助者として15年以上勤務というのがありますが月刊社労士で触れているのは③についてです。

科目免除のための講習を受けると最大4科目免除されるようです。しかも毎年受験生を悩ませる労働・社会一般常識も免除に入っています。
普通に試験を受ける場合は9科目ですからかなりのアドバンテージです。

講習は半年間の通信教育と1科目18時間の講義を行い、科目ごとに修了試験があるようです。
結局試験自体はあるんですね。
平成29年度の受講案内(全国社会保険労務士会連合会)

なお月刊社労士には昨年度の実績も出ていて講習申込者は152人で終了された方は111人だそうです。
やはり長丁場を全員全うされるわけではないんですね。

社会保険労務士の仕事(年度更新・算定基礎届)

2018年07月04日 19時10分10秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

社会保険労務士にとって7月10日は労働保険の概算・確定保険料の申告(年度更新)、社会保険の算定基礎届の提出とダブルで年イチの業務が来るため、4月と並んでかなり繁忙な時期です。

年度更新は前年の4月から今年の3月までの給与を積み上げ、労働保険の料率をかけて労働保険料と労働者の人数を申告します。
こう書くと簡単そうですが雇用保険には年齢によって免除があったり、出向者のカウントの方法など独特のルールがあるため、これらを専門にやっている方がいないと結構面倒くさい仕事です。
ただ、1年度の給与が固まる3月ないし4月から7月10日まで比較的期間があるので比較的準備を整えておくことは可能です。

算定基礎届は4月、5月、6月の給与を書き出してその平均をとって届け出を行うというものです。
算定基礎届は社会保険加入の社員の方全員について一人一人算出しなければならないことと、6月の給与確定から7月10日まで期間が短いのでこの短期間に全社員の計算を行って届け出を完遂することはかなり忙しさとなります。

総務人事担当の方にとっては労働保険や社会保険の計算ばかりが仕事ではないばかりか、事業主の方がこれらの作業をやられているとすれば多くの時間をそこに割かれることになります。また、労働保険と社会保険の積み上げを行う対象となる賃金は微妙に異なります。これらの判定も社会保険労務士が精通している分野であり、本来は除くべきものを除いていなかったり算入すべきものを算入していなかったということも防ぐことができます。

社会保険労務士にとって年度更新と算定基礎届は本業ですのでぜひご活用をいただければと思います。

社会保険労務士の仕事(脱退一時金の請求)

2018年06月17日 12時04分28秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

日本で働く外国人の方が増えていますが、多くの外国人の方は日本の社会保険や年金の制度を知らずに加入しているのではないかと想像しています。
健康保険はともかく、年金は最低10年払い込まなければならないのでもともと短期間日本で働くこととしていた方にとっては取られっぱなしの単なる税金のようなものになってしまっています。

それでも不幸にして障害となってしまった場合には障害年金の対象となるので全く意味がないわけではもちろんないのですが、日本での仕事を元気に終えて帰る方のほうが多いと思います。

国民年金にしろ厚生年金にしろそういった短期間加入して母国に帰る外国人のために脱退一時金の制度があります。

日本国籍を有しない、国民年金に6ヶ月以上加入していた、厚生年金に6ヶ月以上加入していた(国民年金+厚生年金で6ヶ月ではない)、老齢年金や障害年金の受給資格がない、日本から離れて2年以内などの条件を満たせば脱退一時金の請求が可能となる可能性があります。

脱退一時金の請求が日本年金機構に認められれば年金を払い込んだ満額ではないにしろ返ってきます。
(なお厚生年金の脱退一時金は脱退一時金として返ったきた額の約20%を税金で収めなければなりません。。。)

なお母国と日本との間で社会保障協定が結ばれている場合は日本での年金加入期間が母国の年金に加えることができることもあるので脱退一時金の請求は慎重に行う必要があります。
脱退一時金を請求するとその間は年金に加入していなかったことになるため、通算することができなくなります。

脱退一時金を扱う社会保険労務士は障害年金等に比べると今のところ数は多くありません。ですが社会保険労務士は将来の老齢年金受給の可能性や社会保障協定などの制度を加味しその方に適した脱退一時金の請求のお手伝いをすることができます。