社会保険労務士酒井嘉孝ブログ

東京都武蔵野市で社労士事務所を開業している酒井嘉孝のブログです。
(ブログの内容は書かれた時点のものとご理解ください)

業務災害(労災)について②

2018年02月26日 21時51分50秒 | 社会保険・労働保険
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

先日投稿した業務災害についてで『労働者が仕事中にケガをした際は健康保険組合が発行した健康保険証を使って病院にかかることはできません。』と書きました。
ですが、例外もあります。
その例外は事業主が仕事中にケガをした場合です。

労災を離れ健康保険の話になりますが、平成26年の改正で従業員5人未満の事業主が役員会など事業主としての仕事をしている際にケガをした場合は健康保険を使って治療して良いことになりました。
中小企業の事業主の方は労災の特別加入の制度があり、特別加入をしていればその事業主の方が労働者的な仕事をしている際の補償があります。ですが特別加入をしていても事業主的な仕事をしている際のケガは補償がされなかったわけです。どこからも補償されないので民間の保険に入るか健康保険、労災保険を使わずに治療を受けるしかありませんでした。
最近の改正で従業員5人未満の事業主という限定付きですがその穴が埋められました。

もう一つの例外に健康保険の任意加入被保険者となっている場合の仕事中のケガがあります。
会社を辞めた方はその会社が適用を受けている健康保険組合から抜けることになりますが、2年間限定で任意継続することができます。
そして、任意継続した場合は原則として次の会社に入ってその会社の健康保険に入るか、保険料を納付しないか、2年間経つまで抜けることができません。
ですので健康保険の任意継続中に独立開業となれば開業後に事業主としての業務中にケガをすることも考えられます。
その際も従業員5人未満であればその会社(事業)の業務中にケガをした場合でも例外的に任意継続している健康保険証を使って治療を受けることができます。

ですが実際の医療機関がこのことを知らず、仕事のケガ=労災と考えるケースもあるようでその際はどうその医療機関に話すかですが。。。この点はどう周知していくか課題です。

社会保険労務士の仕事(就業規則の作成・届出)

2018年02月21日 21時56分28秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

社労士の業務の一つに就業規則の作成、変更手続きがあります。
新規作成で10万円から30万円程度の料金設定をしている事務所が多い気がします。

就業規則は従業員が10名以上となった場合作成しなければならないもので新規作成、変更した場合は労働基準監督署へ届け出なければならないものです。
また、就業規則作成には労働組合や従業員を代表する方の意見をつけなければならない(同意を得なければならないわけではない)とされています。
更に、作成・変更した就業規則は従業員へ周知を行わなければなりません。
これらの手続きを踏んでいないため、会社と従業員が紛争となるケースもあり、慎重に進めなければなりません。

厚生労働省のHPには解説付きの「モデル就業規則」も掲載されているので、それを会社に合わせて作成し直し、最寄りの労基署に問い合わせて手続き方法を聞いて届け出れば就業規則がなくて行政から指導を受けるということはなくなります。

厚労省HPモデル就業規則

http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11200000-Roudoukijunkyoku/0000118951.pdf

社会保険労務士が就業規則の作成変更に携わる際は就業規則に内在した会社と従業員との紛争の火種を残さないようにするのはもちろんですが就業規則の規定に漏れがあることにより従業員の方に不利益が出ないようにすることも考えていきます。
10万円〜という金額は小さい金額ではありません。それに見合った仕事をしなければならないと感じます。


なお、日本行政書士会は就業規則の「作成」は社会保険労務士の独占業務ではないとの主張をしているようです(監督署への「届出」は社会保険労務士の独占業務)。

https://www.gyosei.or.jp/wp-content/uploads/2016/03/bd95d070fa1d536383c2181b092be4f1.pdf

この文書中に全国社会保険労務士会連合会を指して「全社連」と言っていますが我々は「連合会」と呼んでいるのでちょっと新鮮に感じました。

業務災害(労災)について

2018年02月19日 21時57分02秒 | 社会保険・労働保険
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

労働者が仕事中にケガをしたら労災になる、というのはわかっている人が多いと思います。

では、労働者ってどの範囲をいうんでしょうか。
また、仕事中ってどこからどこまでをいうんでしょうか。

これをすぐ答えられる人は普段から労災保険に関わっている人だけだと思います。

最初の「労働者とは」ということころからですが、労働者とは会社や事業主に雇われている人です。すなわち勤めている人のほぼ全員が仕事中にケガをしたら労災保険からお金が出るということになります。
ただしですが、自営業者、同居の親族は「労働者」であっても労災保険の適用にはなりません。また大雑把に言って公務員の方も労災保険の適用から除外されています。公務員の方は他で補償する法律があるから除外となっています。

次に「仕事中」とはどこからどこまでをいうんでしょうか。
労災におけるいわゆる仕事中の災害は『業務上の事由による災害』とされていますが、それを大雑把にいうと事業主の支配下(あるいは管理下)にあって業務に従事しているときとされています。
ですから始業時刻前であるとか定時後であるとかは関係ありません。
しかし、昼休み中に昼食をとるために職場を離れた外の定食屋で転んでケガをしたというのは業務に従事していたわけではないので労災にはなりません。

また、労働者が仕事中にケガをした際は健康保険組合が発行した健康保険証を使って病院にかかることはできません。
治療費は労災保険から全額病院に払われるためです。
「労働者が」「健康保険組合が発行した健康保険証を使って」とわざわざ書いたのは自営業者の方が国民健康保険の健康保険証を持っている場合、仕事中のケガも国民健康保険の健康保険証を使うからです。

労災は入り口からこんな感じですから労災はかなり奥が深いです。
何回かに分けて書いていきたいと思います。

平成30年3月5日から使用する新しい社会保険の届出用紙②

2018年02月17日 17時25分12秒 | 社会保険・労働保険
社会保険労務士の酒井嘉孝です。
先日、3月5日から使用する社会保険関係の届出用紙について書きましたが、厚生労働省のHPに一括して記載されたページがあると教えてもらいましたのでご紹介したいと思います。

年金分野でのマイナンバー制度の利用について(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000193798.html

平成30年3月5日から使用する新しい社会保険の届出用紙

2018年02月15日 21時59分51秒 | 社会保険・労働保険
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

3月5日から健康保険・厚生年金保険の資格取得届、資格喪失届、被扶養者異動届について新様式を使うことになります。
見た目もA4横だったものが縦に変わります。

やはりマイナンバー欄が加えらているのが気になりますが届出自体はこれまで通り基礎年金番号の記載で良さそうです。
事業主の記載欄に「個人番号の記載に誤りがないことを確認しました」とも記載されています。

そのほかで変わった点は住所の記載でしょうか。

これまでは実際に住んでいるところを住所欄に記載し、住民票の住所を備考欄に書いていました。

ところが新様式では住民票の住所を記載し、ねんきん定期便などを住民票住所以外に郵送してほしい場合は、住所変更届を出すように記載されています。

資格取得届見本(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/kou_1.pdf

資格喪失届見本(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/kou_2.pdf

被扶養者異動届・国民年金3号届(厚生労働省)
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/kou_6.pdf
※被保険者は事業主に届を出すときは国民年金第3号被保険者もマイナンバーを出すように書いてありますね。