社会保険労務士酒井嘉孝ブログ

東京都武蔵野市で社労士事務所を開業している酒井嘉孝のブログです。
(ブログの内容は書かれた時点のものとご理解ください)

労働者死傷病報告

2019年06月26日 11時35分06秒 | 社会保険・労働保険
特定社会保険労務士の酒井嘉孝です。

労働災害の事故が起きると、まずはじめに労働基準監督署に労働者の治療のための手続きを行います(療養補償)。
さらに、仕事を休まざるを得ないほどの事故になると休業補償のための手続きを行いますが休業が3日以内の場合と4日以上にわたる場合とで労基署へ出す書類が異なります。

労災保険で休業補償の給付が出るのは休業が4日以上になった場合です。
休業の3日目までは会社が労働基準法に基づく休業補償を行う必要があります。

従いまして、休業が3日以内であれば労災保険から休業のための給付は行われませんので労災保険の休業補償給付の申請書を出す必要はありません(だせません)。

労災保険で休業補償給付を受けるためには労基署に休業補償給付申請書を提出すると共に、労働安全衛生規則による「労働者死傷病報告(休業4日以上)」(様式23号)を遅滞なく提出する必要があります。
▼「労働者死傷病報告(休業4日以上)」(様式23号)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei36/17-download.html

これら2つの書類は法律(規則)上は別の根拠に基づいてますが、休業補償給付申請書のみ提出すると労基署から「労働者死傷病報告も出してください」と言われます。

労災保険の休業補償給付は被災した労働者が受け取るもの、労働者死傷病報告は会社が労基署へ『労働災害が発生した』旨の報告なので趣旨は別です。労基署でも休業補償給付申請書は労災担当、労働者死傷病報告は安全衛生担当が受け取ります。

休業3日以内の場合は休業補償給付申請書は出せませんが、「労働者死傷病報告(休業4日未満)」があり、労基署への報告が必要です。
▼「労働者死傷病報告(休業4日未満)」(様式24号)
https://shinsei.e-gov.go.jp/search/servlet/Procedure?CLASSNAME=GTAEGOVMSTDETAIL&menSeqNo=0000005894&id=4950000010185

ただ、休業4日未満の労働者死傷病報告は1月から3月、4月から6月、7月から9月、10月から12月の分を最後の月の翌月末日(1月から3月までの分だったら4月末)にまとめて提出することになっていますので4日以上の「遅滞なく」よりは緩やかです。
書く内容も4日以上に比べるとかなり簡略になっています。

この労働者死傷病報告を提出しないことは労災隠しを指摘されることにもつながりますのでご注意いただきたいと思います。

毎年7月10日までの2つの届出について

2019年06月18日 13時11分28秒 | 社会保険・労働保険
特定社会保険労務士の酒井嘉孝です。

労働保険の概算・確定保険料申告(年度更新)とともにこの時期は健康保険と厚生年金保険の算定基礎届を提出する時期でもあります。

算定基礎届は4月5月6月に支払われた賃金を平均し、という作業なので6月の賃金が固まらないかぎり書類作成をすることができません。6月25日が給与の支払日である会社も多いと思いますのでそれを7月10日までに届け出るというのはけっこうタイトです。

しかも労働保険の年度更新も同じ日の7月10日に期限が設定されているのが厄介ですが業務の進め方としては3月までの賃金集計である労働保険の年度更新をなるべく早く済ませ、算定基礎届を集中して取り組む形になると思います。

なお、労働保険料の申告については遅れや遡り、届出漏れについて延滞金や追徴金の制度があります。算定基礎届の方は特に延滞金や追徴金などの罰金的な制度はありません。

だからといって算定基礎届を遅れてもよいわけではありませんが、給与日の締め支払い日の都合などで届出が間に合いそうにない場合は早めに届出先の年金事務所や健康保険組合へ相談されることをお勧めいたします。

この年イチの業務は通常業務がある中でかなり圧迫しているという声を聞きます。年度更新と算定基礎届だけでも社会保険労務士へ委託されれば業務の軽減につながります。

労働保険概算・確定保険料申告書

2019年06月04日 16時59分34秒 | 社会保険労務士について
特定社会保険労務士の酒井嘉孝です。

5月末になると各労働局より各会社へ労働保険概算・確定保険料の申告書が送られます。いよいよ労働保険の年度更新の時期となりました。

昨年4月から今年の3月までに支払った賃金額を集計して労働保険料(労災保険料+雇用保険料)をかけて確定保険料、そして今年の4月から来年3月までの見込みの賃金額を算出してそれに労働保険料をかけて概算保険料を記入します。

納められた保険料を基に労働災害、通勤災害の給付、失業したときの給付、育児休業給付金などが支払われます。

社会保険料や税金と違い、労働保険料は各個人に着目していません。個人からすれば給料に応じて雇用保険料が給料から天引きされていますが、労働局から見るとだれからいくら雇用保険料を取っているということについては見ていません(なお、労災保険料は全額事業主負担)。

労働局はその会社が従業員に賃金を総額いくら払ったことを申告すればそれに保険料率をかけてその会社の従業員全員分きっちり保険料をもらっているという考え方です。
どんぶり勘定的な感じもしますが合理的でもあります。

ただ、毎年従業員の方の賃金額を集計するというのは途方にくれている方もいらっしゃるのではないでしょうか。

社会保険労務士はこの毎年の労働保険年度更新の集計・申告も業務としております。
社会保険労務士に依頼いただければ労働保険料の申告に含めるべき賃金なのか、本当ははずしてもいい賃金なのか、逆に含めなくてはならない賃金なのか判断することもできると思います。