社会保険労務士酒井嘉孝ブログ

東京都武蔵野市で社労士事務所を開業している酒井嘉孝のブログです。
(ブログの内容は書かれた時点のものとご理解ください)

10月の最低賃金引き上げと通勤交通費の値上げによる社会保険料のアップについて

2019年11月29日 20時36分01秒 | 社会保険・労働保険
特定社会保険労務士の酒井嘉孝です。

10月に最低賃金が上がり時給単価を上げた会社も多いのではないかと思います。
給与のご担当をされている方にとってここで注意したいのが社会保険料の月額変更(随時改定)です。
固定的賃金の変動があり変動があった月に引き続く3ヶ月の給与の総額の平均を取り標準報酬に2等級以上の差がでた場合随時改定を行うというものです。

これにより固定的賃金である時給単価が上がってその上がった単価をもとに支払われる給与の3ヶ月を平均し、時給単価が上がる直前月の給与を比べて標準報酬の等級表をみて2等級以上の上がった場合月額変更となり、社会保険料が上がります。
(リンク先は全国社会保険協会東京支部の社会保険料等級表です)

10月から上がった単価をもとに支払われた場合は12月の月額変更となり12月分の保険料から上がります。
給与締め支払いの関係で10月分を11月に支払う場合は1月から保険料が上がります。

したがってお勤めしている人の側から見ると、時給単価が上がって張り切っていっぱいシフトを入れると数ヶ月後に健康保険料と厚生年金保険料も上がるので注意してください。


なお、今年に限っての話ですが、10月に消費税が上がり、鉄道各社の運賃・定期券も値上げになりました。
これにより10月支給の通勤交通費から支給額が上がっている場合も固定的賃金の変動となります。
上がった通勤交通費の支給月に引き続く3ヶ月の給与総額の平均をとって標準報酬に2等級以上の上がった場合は月額変更となります。

したがってお勤めしている人の側から見ると、10月から通勤交通費の支給額が上がっている方はシフトを多く入れたり、月給の方でも残業を多くすると月額変更となり12月分か1月分かで健康保険料と厚生年金保険料も上がるので注意してください。

通勤交通費の支払い方は毎月払う、6ヶ月定期券代をある月にまとめて払う、6ヶ月定期券代を6分割して毎月払う、出勤日数の少ない場合などは往復の切符代を払うなど様々想定されます。
また、給与の締めが毎月15日締めの会社などで締めと締めの途中で時給単価や通勤交通費を変えている場合など、月額変更を算出する平均を取るスタート月が必ずしも10月とならないケースもありますのでご注意ください。

※月額変更には様々な条件があります。この記事はごく一般的なことを書きました。よくわからない、と思ったら社会保険労務士の出番ですのでぜひご活用ください。

令和2年4月より雇用保険適用事業所にお勤めの65歳以上の方に雇用保険料の徴収が開始となります

2019年11月05日 11時01分36秒 | 社会保険・労働保険
特定社会保険労務士の酒井嘉孝です。

少し先の話になりますが、令和2年(2020年)4月1日より雇用保険適用事業所にお勤めの65歳以上の方に雇用保険料の徴収が開始となります。
ほとんどの会社で労働者を雇用している会社は雇用保険適用事業所なのでこれまで雇用保険料が免除だった65歳以上の方にも雇用保険がかかるようになります。
労働者側から見ると給料から雇用保険料が天引きされるようになるということです。

平成29年(2017年)1月1日より65歳以上の方にも雇用保険が適用対象となりました。
これには猶予措置があって、平成31年度(令和元年度つまり令和2年3月31日)までは保険料の徴収は免除となっていました。
この免除猶予期間が切れるため、徴収が開始となるものです。
厚生労働省「雇用保険の適用拡大等について」保険料徴収についてはQ3参照

従いまして、会社の人員構成や支払っている給与が変わっていなくても、65歳以上の方がいれば令和2年6月から7月にかけて都道府県労働局へ提出する労働保険年度更新の概算保険料が上がることとなります。
労働者の側から見れば令和2年4月から雇用保険料分手取りが減ることになります。

会社の側からいまから準備することはそう多くはないと思いますが、お勤めの方に「急に給料が減った!」といわれることのないように3月までには準備はしておきたいものです。

なお、平成29年の雇用保険適用拡大によってそれまで雇用保険の給付金の対象でなかった高年齢求職者給付金、育児休業給付金、介護休業給付金、教育訓練給付金なども給付の対象になっています。
もちろん、雇用保険は年齢にかかわらず週20時間以上働く方が対象ですので20時間未満の方はこれまで通り雇用保険の対象となりません。

企業実務11月号に記事を掲載いただきました

2019年11月04日 19時37分36秒 | 日記
特定社会保険労務士の酒井嘉孝です。

日本実業出版社様からお声掛けいただき、「企業実務」11月号に「ビジネスパーソンなら知っておきたい通勤災害のあらまし」を掲載いただきました。物事を文章にして端的にできるだけ深く伝えるためには今後文章力を磨かなくてはと思いました。

文章を書くことは好きなので執筆の仕事は楽しかったです!