社会保険労務士酒井嘉孝ブログ

東京都武蔵野市で社労士事務所を開業している酒井嘉孝のブログです。
(ブログの内容は書かれた時点のものとご理解ください)

特定社労士受験体験記⑤

2019年04月02日 10時57分15秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

特定社労士受験体験記の5回目は試験のことについて書こうと思います。

特別研修の最終日は午前中のみで終わります。午後はいよいよ試験です。
昼食を摂った後、指定された部屋に14時集合です。試験会場は東京の場合ゼミナールと同じ建物内でした。
なお、昼食会場はゼミナール、試験会場と同じ建物内の大きめの部屋が用意されますが、収容しきれていなかったような気がします。


試験会場に行ってみると私の前、さらにその前の人が私と同じグループの人でした。
試験もグループでまとめているのかと思いましたが、ほかでグループでまとめていると聞かなかったので偶然そうなっただけのようです。

14時から試験についての説明、顔照合等があり14時30分から試験開始です。

問題の構成は第1問であっせんの問い、第2問で倫理の問いです。
分量はあっせんが文章量も配点も圧倒的に多い(配点は70点)ですが、倫理では配点30点中10点以上取らないとあっせんでいい点を取っても不合格になります。
なお、総合点は100点中55点以上で合格です。

第1問のあっせんの問いは解雇、雇い止め、パワハラなどのテーマは違えど答え方のパターンはこれまでほぼ同じです。
小問1は「Xの立場に立って求めるあっせんの内容」
小問2は「特定社労士としてXを代理して○○が無効であると主張する具体的事実を5項目箇条書き」
小問3は「特定社労士としてYを代理して○○が有効であると主張する具体的事実を5項目箇条書き」
小問4は「双方の主張内容を踏まえて○○の有効性について考察し法的判断の見通し」
小問5は「X(Y)の代理人である特定社労士して法的判断の見通しを踏まえ現実的解決を図るとしてどのような内容を考えるか」
をそれぞれ記述します。

第2問の倫理の問いはすこしずづ変わってきていて、特に最近は依頼を受けることができるかの結論YES、NOをしっかり述べる方式になっています。小問は2つです。


14時30分の合図と共にいざ問題用紙をあけてみると第1問のあっせんについての問いと第2問の倫理についての問いが続けて書いてあります。

あっせんの問いに答えるにはX(労働者側)の言い分、Y(会社側)の言い分を読まなければ答えようがないにもかかわらず、その言い分が書いてあるページがまるまる無いように見えました。
問題用紙の落丁か乱丁かと焦りました。

なお、そのXとY言い分は、第2問の倫理の後のページにあるのですが、それすら知らない状態で試験に臨んでいたわけです。


私の(初年度の)試験の対策ですが、現在は絶版となっている河野順一先生が出された予想問題集を借りることができたのでそれを中心にやりました。
なお、特定社労士の試験の対策本は河野順一先生が出している過去問の解説本、「おきらく社労士」で特定社労士受験界で有名な佐々木昌司先生がかかれた特定社労士受験ノートのほぼ2種類しかありません。受験者がここ最近は1000人を切っていますので本を出すという意味では市場が小さいのでしょうか。

なお、特別研修中、特にゼミナールでこれらの対策本の話をすると講師の方に明らかに嫌がられました。グループ研修のグループリーダーも『安易に解答を得ようとしている』というの理由で疑問を呈しておられたように思いますし、特別研修の事務局もそのように言っているようでした。ゼミナールの弁護士の方が言うには掲載されている解答例も明らかに間違えているものもあると仰っていました。
とはいえ、過去問をあたるにはほぼこの2種類の本しかないのが現状で、どちらかあるいは両方の本を買っている受講生が多かったように思います。

結論から言うと、予想問題集中心の試験対策は私としては失敗でした。ほぼそれしかやっていなっかった気がします。
話が少しそれていましたが、問題用紙の基本的な構成すら知らなかったわけです。
また、試験の時間配分もしっかりできませんでした。
私の場合、時間がぜんぜん足りませんでした。
試験終了後復元解答をしようにも、書いたことを問題用紙に写す時間はとてもありませんでした。

2時間の試験を終えた後、グループで集まっておつかれ飲み会をし、試験の労を労いあいました。

試験の発表は3月中旬ですが、グループ10人中7人が合格でした(全体の合格率は57%)。私は受験体験記の1回目で書いたように不合格でした。

(4月4日:誤記の訂正と追記をしました)

特定社労士受験体験記④

2019年03月29日 14時36分53秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

特定社労士の受験体験記の4回目はゼミナールについて書きます。

グループ研修を受けてそのグループの総意としてあっせん申請書と答弁書を提出したわけですが、ゼミナールではそれをネタに弁護士が教授役となり授業が行われます。
グループ研修のグループメンバー同士はまとまって座ることになりますが、特定社労士のグループリーダーはゼミナールからは抜けます。

授業といっても「ゼミナール」なので双方向です。というか鋭いツッコミもあるのでけっこう緊張感があります。
グループで起案し提出されているあっせん申請書と答弁書に対し、実際に裁判をはじめ、労働審判、あっせんに携わっている弁護士からのツッコミですからかなりキツイものもあります。

たしか4グループが一つの部屋に入ってゼミナールを受講しましたが、グループによってかなり色が違うなと感じました。
私のグループは弁護士から指名された際はメンバーがほぼ順番に答えていましたが、他のグループは回答専門の人を設定しているグループもありました。傍目から見てギスギスしているグループもありました。私のグループはメンバーに恵まれました。


ゼミナールの1日目はあっせん申請書について、2日目は答弁書、最後の半日は職業倫理についての講義でした。

ゼミナール最後の半日の後はいよいよ試験となります。

特定社労士受験体験記③

2019年03月27日 21時33分07秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

特定社労士受験体験記の3回目はグループ研修について書きます。

グループ研修とは中央発信講義を終えた人同士10人程度でグループになって、あらかじめ出されているお題に基づいて個別労働紛争解決制度のあっせん申請書と答弁書を作ります。

あっせん申請書というのは例えば解雇事案で労働者側が解雇無効を申し立てる場合、『この解雇は不当なもので無効だ』と労働局や労働委員会等へ提出する申請書です。
労働局側で記載例を作っているところもあります。長野労働局個別労働紛争解決制度あっせん申請書記載例集

答弁書というのは、例えば解雇事案だったら『この解雇は不当だ』と労働者側からの申請に対し、対峙する会社側から出す反論をまとめた書面です。

グループ研修では一人一人で作って、案を突き合わせ、最後にグループの総意として案をまとめます。
グループ研修で起案するあっせん申請書は例に出したような簡単なものではなく、分量も多くなります。私のグループでまとめたあっせん申請書はA4の紙に6枚になりました。

研修自体は6時間×3日間ですが、研修の時間内であっせん申請書と答弁書を作るわけではありません。
グループ研修中に検討する課題(検討用課題といいます)が5つ設定され、5つそれぞれにQが3〜5個設定されるのでその討議を行います。
私の時は、第1:パワハラ、第2:配転命令の有効性、第3:懲戒解雇と退職金請求、第4:雇止め、第5:変形労働時間制と固定残業代について検討用課題が設定されました。

要するにグループ研修期間中は<あっせん申請書、答弁書の作成>、<5つある検討用課題の予習>が同時並行で進みます。したがってこの3週間は結構忙しくなります。
研修の日でない平日もグループメンバー同士でメールで案をだしあう事をしていかないととても完成させることはできません。


話が前後しますが、グループメンバー同士のやりとりは最初から想定されているのでグループ研修初日に名刺交換をするよう、受講の手引きにも書いてあります。
また、グループの中にすでに特定社労士として活躍している方がグループリーダーとして入ります。
このグループリーダーは受講生の中のいわゆる先生ではなくて、司会というかナビゲーター役という位置付けになります。
受講生の中からも取りまとめ役を選出します。取りまとめ役の方がグループとしてのあっせん申請書と答弁書を一本に取りまとめます。

グループの総意として一本にまとめたあっせん申請書と答弁書はグループ研修の最終日に特別研修の事務局へ提出します。提出するのは現実的にはグループ研修の3日目です。
3回のグループ研修の最終日に出すので、2回目のグループ研修以外でメンバー同士顔を突き合わせて打ち合わせする機会はほぼありません(平日に集まれれば別ですが現実的には無理でしょう)。
まとめきれなかった場合は郵送で出すみたいな事もあったように記憶していますが、次の週から始まるゼミナールでそのあっせん申請書と答弁書をネタに弁護士が教授役となる授業があり、弁護士も起案されたあっせん申請書と答弁書を読む必要があるため大幅に締め切りを伸ばせるわけでもありませんでした。

ですのでグループ研修3回目の前は取りまとめのための飛び交うメールの量も多くなり、かなり忙しくなります。あっせん申請書と答弁書の取りまとめ役となる方は本当にたいへんだと思います。


この特定社労士受験の特別研修のグループは組み合わせがいいと、強い結びつきになります。私のグループはメンバーに恵まれて、リーダーを含め今でも集まります。つい先日もグループの集まりがあり、私の一年遅れの合格を報告することができました。

(2019年9月22日一部訂正)

特定社労士受験体験記②

2019年03月20日 15時32分05秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

特定社労士受験体験記の2回目は特別研修の申し込みから中央発信講義について書きます。


特別研修についての案内は全国社会保険労務士会連合会のホームページで5月に、そして毎月送られてくる月刊社労士の6月号に案内が出ます。受講の要綱と申込書を取り寄せます。都道府県の社労士会の窓口でももらえます。

受講料85,000円を払い込み、受講申込書を送ると、(たしか)8月下旬にテキスト一式が届きます。けっこうなボリュームです。
中を開け、受講の心得のような紙を見ると予習をしろと書いてあり、参考図書を買って勉強しておけとも書いてあります。
予習といっても何を・・・これ全部読むの?というのが率直な思いでした。


特別研修は、中央発信講義(6日)、グループ研修(3日)、ゼミナール(2日半)の3本立てです。
私は東京会場でしたが、9月の最後の日曜日からスタートでした。スタート日は会場によって違うようです。

中央発信講義は1日約6時間×6日間、一っ所に集まってDVD講義を受けます。
会場は北海道、青森、仙台、新潟、甲府、東京・・・広島、松山、福岡、鹿児島とまあまあ会場は別れていていました。DVDを見せるだけですから会場を確保できれば実施はできそうです。
DVDは必ずしもその年に向け、毎年録画したものではないようでした。中には10年近く前に録画されたものもありました。
出欠確認については厳格に実施されます。1講義15分以上の離席をすれば失格です。つまりは15分遅刻すればその年の特別研修の全日程がおじゃんです。返金もされません。

DVDは、特定社会保険労務士の果たす役割と職責、憲法から始まり、専門家としての倫理、民法、労使関係法、労働契約・労働条件、個別労働関係法制に関する専門知識(解雇、退職、雇い止め、セクハラ、パワハラ、男女均等など)、個別労働関係紛争解決制度という具合に弁護士と学者が講義していきます。

DVDですから指名されたり、豆テスト的なものもありません。

特別研修を受け始めた当時、その他登録で社労士の仲間もいませんでした。
すでに自分の地域などで付き合いのある人同士で毎回受講後、勉強会をやっている人もいましたが、私はまっすぐ家に帰っていました。


なお、中央発信講義の(確か)2日目に試験の要項と試験申込書が配られます。
特別研修自体は途中なので特別研修の受講証についている修了見込証明書をつけて郵送で申し込みをします。
受験料は15,000円です。
(4月3日:試験の申し込みについて追記しました)

特定社労士受験体験記①

2019年03月18日 15時12分13秒 | 社会保険労務士について
社会保険労務士の酒井嘉孝です。

特定社会保険労務士は社会保険労務士の付記資格です。ですので社会保険労務士の試験に合格していて登録している人が対象となります。

この特定社労士になるには試験を受けて合格して登録していくわけですが、試験の前に特別研修を受けなければならないこととなっています。
特別研修が9月の下旬から11月の中旬までほぼ毎週1回(平日もたしか1日指定され、たまにある3連休は休みうち2日間研修のときもあった)1日6時間行われます。
この特別研修を終えた人だけが11月下旬の試験を受けられるという手順となっています。
試験は2時間ですべて記述式です。また、すべてボールペンや万年筆など消せないもので記述することになっています。
この点社会保険労務士の試験はマークシート方式ですから真逆(?)のような気がします。


試験の合格率ですがだいたい55%~65%程度です。
要するに毎年受験者の半分以上は合格しています。

ちなみにですが、私は2度目の試験で合格でした。つまりは初年度は不合格でした(!)
不合格だったのは研修と試験への対策が不十分だった故なのですが、特に研修のイメージがわかないまま取り組んでいたのが初年度の敗因のような気がします。

何回かに分けて特定社労士の受験体験記を書いていこうと思います。
これから特定社労士を採ろうとされる方、特定社労士ってどんな事を勉強してその資格を名乗っているか、特別研修と試験を少しでもイメージをしていただければ幸いです。