「WINDの午後日記」

無事に筋腫の手術も終わりました。これからの「人生の午後」をのんびりつづります。

子宮全摘出について思うことあれこれ。

2013-09-29 12:10:05 | 子宮筋腫
手術後に、本当にこれでよかったんだろうかと思ったりすることもあるかと思い、
忘れないように今感じていることを書き留めておきます。

他の方々の発言や判断にあれこれ言いたいといような気持ちではまったくなく、
自分が思い返すためのメモなのです。
もし配慮の足りない表現でご不快に思われる方がいらしたら、本当に申し訳ありません。



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今回、子宮全摘をすることにしていますが
そこにくるまでは、結構長い道のりでした。


私の場合、子宮摘出によって女性性を失うというような喪失感はあまりなく、
というのは、もともと女性性があんまりないというか、全然重視してないタイプで……

オシャレしたり服や化粧品を買うよりは、カメラや欲しいソフトを買うほうがエキサイトする、という性格です。
そんなわけで、女性性の喪失はあまり考えてないんですが
ただ取らなくてもよい子宮を、決定的な理由もなしに摘出してしまうということは、
人として何かアンナチュラルなような、そんな気がしていました。

小学校一年のとき、手術で盲腸を切りましたが、
無駄と思われていた盲腸も、最近は免疫にかかわるから切らないケースも多い、という話をきいたりすると、
同じようなことが子宮に関して起きないとどうして保証できるのか、と思ったりもするのです。

そしてもしかしたら、今後「子宮には今まで知られてなかったこんな働きが!」というような「人体の不思議」的大発見があったとき、「だってもうとっっちゃったよ。とりかえしつかないじゃない」となるかもしれない、
その恐ろしい不可逆性がイヤだというか、
そのときに、摘出しなければ良かった、とすさまじく後悔するような心理状態になりたくないな、というか、そんな感じです。
摘出したことによる実害がいやだというよりも、自分の判断を恐ろしく後悔する状況になるのがいやだというか。

ですから。しっかり言語化された理由がほしかったわけです。
MRI画像をみれば、筋腫が相当に大きいので、
なんとなく子宮ごととらなければダメそうな感じは感覚的にはわかりますが
自分にとっては、この「言語化された」ということが大事で、

コレコレな理由で私は子宮をとりました。医者の説明をきちんと聞いて自分でそう判断しました。

というのがしっかりあれば、
今後、もし医学が進歩して、実は子宮は摘出しないほうがよかったということが知られる事態になっても、
自分で自分を納得させられるのではないかと思うのです。

だけど、今までの病院では、
「全摘出したら、今後癌検診しなくていいから楽ですよ~」(←それだけの理由で臓器を摘出するのはしっくりこない)
「子どもを生まない人にとっては単なる無駄な臓器です」(←今後「単なる無駄」ではないとわかったらどうするの?)
「子宮をとっても、100%問題はありません」(←本当に100%?)

大体こんな説明でした。積極的な理由ではないのですよね。
医学的ですらないような感じです。

「全摘出すれば、筋腫再発の可能性がない」というのはひとつの大事な要素ですが、
私の場合、年齢的に、いまからそれほど大きな筋腫が再発で出来るとは思えないので、
それも決定的な理由にはなりえません。

ともかく、このような説明では、万が一手術して何年もたってから、子宮を取らないほうが良かったという状況に直面した場合でもまったく自分を納得させれらる見込みがなかったのです。

その場合、どうしてあのとき、もっときちんと主張しなかったんだろう、と
絶対自虐的な気持ちになるし、それこそが問題というような気がしていたのです。

「自分は医者に最後まで食い下がることができなかった、その能力がなかった」
「不満はあったけどなんとなく雰囲気にながされてしまった、自分の意思が弱かった」
「無意識に聞き分けのよい患者でいようとして、本質を見失っていた」
「自分は、自己主張すべきときにきちんとできない臆病な人間だった」
「そんな自分が情けない」などなど、
実害よりも、自分を責める気持ちになることの弊害の方が大きいとすら思いました。


そんなわけで、どの病院でも、その部分をかなりしつこく話をしました。
が、どこでもこれといった返事はありませんでしたし、
むしろ、先生にうるさがられたり、不機嫌になられたり、
上記の通り一遍の返事を繰り返して、子宮全摘しかありえません、というところばかりでした。

お忙しいお医者さんとして、また病院の方針として、
全摘の基準があり、それに従うのが当然で、この対応が常識的なのはよく分かります。
それは納得しているのですが、

自分としても自分を守らねばなりません。
術後におそってくる(かもしれない)後悔の嵐から。(たとえそれがほんのわずかの可能性だとしても)
もしそれでうつ状態になったら、その死亡率だって無視はできないのですから。
「自己評価の著しい低下」というのはうつ状態の症状としても認められるものだそうですから、
どうしてきちんと主張できなかったんだろうと、繰り返し激しく後悔して自分を責めた場合
それが、うつの引きがねにならないとはいえませんから。


そんなわけだったんですが、

しばらく前に、ちょっとした変化がありました。


きっかけは人間の話じゃなくて、ウサギの話です。

友人が、家族のようにかわいがっているウサギの避妊手術(子宮摘出手術)を最近しました。
出産を考えないウサギの場合、(賛否両論はあるみたいですが)
子宮をとったほうが、健康に生きられるということでした。

その人は、決して人間の都合を押し付けるタイプの人ではなく、
いつもウサギの立場で考えているような人です
その人が自分のウサギに、子宮摘出手術を選択した。

なんだかそれって、妙に、あ、摘出してもよいんだな。という気持ちになりました。
その人が話してくれたのは、
ウサギにとってのナチュラルは、自分の命を削っても子孫を残すということ。
だからどんどん子どもを産み、そして、自然界では寿命短く、長く生きれば子宮の病気になることも多いと。
この子には、そうした生き方とは違う生き方をしてほしい。
長く元気でいてほしい。だから子宮を取ることにしたのですよと。

生き物としてのナチュラルは自分の命をけずって子孫をのこすことだとするならば、
そういう意味のナチュラルからは既に自分ははずれているんだと実感しました。

40代で、子どもいなくて、自分のしたいことしているんだから、そしてまだまだ生きるつもりなんだから、
原始時代からの人類の長い歴史から見たら、全然ナチュラルじゃないですね。

だから、いまさら、たかが子宮のことで、アンナチュラルだの何だの心配しなくても、
すでに充分アンナチュラルな生をいきているんだなぁ、自分はと。

だから積極的に子宮を全摘出をするのもありなんだな、と。
変に納得しました。ありがとう、ウサギのMちゃん、勇気をもらったよ。


そんなこんなで少し納得したところで、先日書いたように今回手術を決めた病院の診察があったのです。
この病院では、子宮を残す場合は保険外診療になり、手術費が高額になります。
一生懸命交渉したからとか、医者にしつこくくいさがったとか、そんなことには関係なく、
その線引きははっきりしています。
それは、判断材料として、自分としてはわかりやすいです。

そして、子宮を全摘することが100%問題がないわけではなく、
子どものいない人、特に不妊治療などをしてきた人には、
精神的に喪失感がひどくなり、それにより、不調になるケースは実際あるとのことも話してくださり。

でも、お話して、この先生と病院を信頼する気持ちが出てくると、
仮に何かあっても、そのあと頑張ればなんとか超えていけるんじゃないかと思えてきました。
心理的にはいろいろあるとしても、
少なくても医学的には問題がないとこの先生が言うのなら、自分はそれを信じてみよう、という気持ちになりました。

ようやくこんな心境です。

実は、3年前、最初に筋腫が発覚したときにも、まっさきに一度この病院に予約だけ入れたことがありました。
そのときは、別の病院で「手術はせずに、ウチで経過観察をしていきましょう」といわれたので
すぐにキャンセルしたんですが

もし、3年前だったら、せっかくのこの病院でも、自分は納得して手術を受けることはできなかったように思います。
3年間いろいろとさまよい、いろんな先生とお話し、自分の希望する方向を少しずつかため、
その状態であらためて受診して、だからこそ自分の希望もしっかり言語化して先生に伝えることができ、
それに対して先生も、選択肢を示してくださったわけで。

こちらの希望になるべく沿ってくださる、という方針のこの病院の場合、
逆に言うと、方針をおまかせ、ということはありえず、
どうしたういかをこちらが(迷いはしても)明確に持って、言語化する必要があるように思いました。
3年前に自分はそうではなかったと思います。

そういう状態までなんとかこられたのは、今までお話させていただいた先生方全員のおかげですね。
少しずつ鍛えられていったというか。
そういう意味では、すべての病院、すべての先生方に感謝しなくてはならないです。
(ときどき、つい非難めいた口調で書いてしまうのですが、決してそんなことはなく、
病院の方針がいろいろあるというだけのことなのです…)

なので、その病院の方針と自分があっているかどうかが
結局のところ重要なのだなぁと思うのです。

もう本当に、たかが筋腫でここまで大げさで申し訳ない、と我ながら思ったり、
でもやっぱり自分にとってはオオゴトだよなぁ、ちゃんと言うこと言わねばだよね、と思い返したり。

そういう気持ちで日々ゆれますが。
まずは体力つけて、無駄に反省しないで、前向きに行こうと思います。

他人にとって、それがたいしたことじゃないとか、大げさとかどうか、というのは関係なく、
自分の人生において、どうなのか、どうしたいのか、ということに尽きるかな。
ここで、たくさん書かせていただいているおかげで、
その分実生活では、あまり人には言わずに済ませようと思います。
確かに、もっと大変な問題を抱えている人はたくさんいて、
本当に「たかが筋腫」という気持ちもわかるんで。

そんな感じで頑張って行こうとおもいます。
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8 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
大変為になるブログに感謝します。 (chun)
2016-01-22 12:40:30
(すでにブログ記載から日が経ち、過去の記事に戻られる機会があるかわかりませんが
こちらを読ませて頂き、とても感謝したくコメント致しました)
子宮筋腫の為に来週子宮全摘手術をうけます。数ヶ月前検診で貧血、婦人科を受診し、
筋腫が成長し場所がよろしくないため、まずクリニックにて貧血改善し、
総合病院を受診しました。どういう状況になるのか経験者談をいろんなブログで
読ませて頂き為になりました。こちらを拝読し、私がうまく自分の気持ちを論理的に整理が
できずもやもやしていた時に、あ、こういうことだったんだと気づかせて頂き
とてもとても感謝しています。どうも有難うございました。
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Unknown (WIND)
2016-01-24 12:17:53
chunさん

こんにちは。

こんな拙いブログが少しでもお役に立てたかと思うと、
とてもうれしいです。コメントをいただき、ありがとうございます。

筋腫の場合、他の病気にくらべて、緊急性もなく、命に別条もないので、あまり納得いくまでの説明をしてもらえないケースが多いよように感じます。
でも、当人にとっては本当に大きなことですし、その後どうなるのか心配ですよね。

手術から随分たちましたが、その後も特に子宮を摘出したことによる問題はありませんし、急に老けこんだとかそういうこともなく、年相応にはまあいろいろあり歳もとっていますが(笑)、淡々と暮らせています。内臓が圧迫されないせいか、以前より疲れにくい体になったと思います。

chunさん、きっともうすぐ手術ですね。
手術前は、準備もあるし、ワサワサとなにか落ち着かない気分になったり不安になったり、何かと大変だと思いますが、リラックスして、風邪などひかないようにおいしいものを食べてちょっとご自分を甘やかして、元気に行ってらしてください!!
返信する
暖かい励ましに感謝します。 (chun)
2016-01-26 13:07:10
早速の返信、どうもありがとうございます。
今元気でいらっしゃる事や、暖かい励ましのお言葉
本当に嬉しく、また感謝しております。
同じような経験をされた方の言葉がとても
しみいりました。
これから入院です!開腹手術、まだ?どきどきです。
来週には元気に戻るように乗り越えたいと思います。
返信する
Unknown (WIND)
2016-01-30 14:35:10
chunさん

すでに手術を無事に終えられて、日々回復されているころかと思います。!
数日間は身動きも辛いと思いますけれども、元気に戻っていらしてくださいね!
退院直後は多少動けても、どうぞ無理せずにお過ごしくださいませ。
私は退院後「寝ている場合じゃない」と仕事と家事を普段よりも張り切ってやり過ぎた揚句、ひと月位たったとき、ずっとこんなに頑張れない、と急にがっくりきたという間抜けです(笑)
返信する
無事退院しました。 (chun)
2016-02-23 13:50:50
お陰様で無事生還U+203CU+FE0Eしました。手術前後はやはり緊張ばかりでしたが、
どうにか乗り越えて、日にち薬を実感し始めました。
退院後1週間は思ったより動けないなと感じつつでしたが、
2週間過ぎてやっと痛みやだるさに慣れたのか、和らいだのか、
動き出せるようになりました。
アドヴァイスありがとうございます、ついついあれこれ手を
出してしまいがちですが、本当にいいのかと悩みつつですが、
周りに頼りつつ、ちょっとだらだら気味ですが、
後々の事を考え、無理せずに過ごそうと思います。

突然のコメントにも丁寧に返信くださり本当に
ありがとうございました。お陰様で、小心者の自分が
手術前に気持ちが整理できて、手術に臨めました。
ブログに出会えて幸いでした、有難うございました。
返信する
Unknown (WIND)
2016-02-26 09:40:11
chunさん

退院おめでとうございます!!

徐々に回復されているようですね。
順調そうでなによりです。

そうそう今の時期は、罪悪感を感じることなく体を休めることが、一番の回復への近道な気がしますよ。

手術の前は、だれでも不安になりますものね。
私も手術前にはいろんな人にブログで励ましてもらったし、こうやって、またバトンを渡すように何かちょっとでも伝えられるのは、私にとっても、とてもとてもうれしいことです。
こちらこそ、読んでくださってありがとうございます、と言いたいですよ(^^)

どうぞ引き続き無理をせず、のんびり元気になっていってくださいね。
返信する
共感です! (エム)
2016-04-06 20:03:37
同じ病院で、同じ手術をしました。私も、いろいろ迷い、悩みました。いらない臓器はないはずと、いろんな論文も読みましたが、残念ながら?!虫垂のような研究結果はありませんでした。
40代で挙児希望なし=全摘に、全く理解できませんでした。論文にも、必ず、「女性の気持ちに配慮」って記載されているのにて....配慮ない医師ばっかり~
でも、四谷では、全摘より核出をすすめてくれました。だから、この病院に決めました。(^ ^)
自分自身でも学び、医師達とちゃんと話せて、納得できたので、今、涙も喪失感もありません。
結果的に、全摘と言った医師も正しかったことになりますね(笑)
でも、あの医師達には、私の大事な体を預けることは出来なかったですね。
子安先生はじめ、この病院に出会えて良かったです。なんと言ってもごはん美味しいし~

ブログ、とっても共感しました。ありがとうございますm(._.)m
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Unknown (Wind)
2016-04-08 20:16:53
エムさま

こちらこそ、更新も滞りがちなこんなブログにおいでいただき、
共感していただけたなんて、本当にうれしいです。
どうもありがとうございます!

あの病院で手術されたのですね!!!
なんだか、それだけで勝手に戦友のような気持になってしまいます(^^)

確かに機械的に「四十才以上なので全摘です」といわれたのと、
結果的に同じことでも、
自分で納得できたかできないか、というのは、とても大きいですよね。
手術を迷っていくつもの病院をまわった日々で、
そういうことを学べたんだと思います。
どうしてもそうしなければならないなら摘出しますけども、
簡単にいらない臓器といわれることは
どうしても納得できませんでしたよ(^^;)

そうしてたどり着いたあの病院、
そして子安先生には本当に感謝です。
 
ごはん~!!ほんとおいしかったです。
あれ以来、減塩生活続けています(^^)
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