7月5日14時から東本願寺鹿児島別院「大谷会館ホール」で「第11回東本願寺公開講演会」が開催され、講師:矢崎 節夫氏(金子みすゞ記念館館長)より、「みんなちがって、みんないい」~金子みすゞさんのうれしいまなざし~ の演題で約2時間の講演がありました。
司会者より、東本願寺公開講演会は大谷会館の完成後に年1~2回開催されており、今回アンケートを出してもらった人には案内状を出したいとの話の後に、講師の紹介がありましたが、講師は学生時代に出会った一遍の詩に衝撃をうけ、その作者である童謡詩人「金子みすゞ」の作品を探しつづけ、遺稿をみつけて「金子みすゞ全集」などを世にだして以降、作品集の編集・出版にたずさわり、2003年4月に「金子みすゞ記念館」館長に就任し現在は各地で講演会活動をされているとのことでした。
講演の内容は「金子みすゞ」の生きた時代背景と生い立ち、家庭環境や結婚と離婚、子供の親権問題から自殺にいたる経緯、「金子みすゞ」の詩を発掘するまでの経緯などの話の後に、「金子みすゞ」の詩の紹介と講師の考えについて話がありましたので一部を紹介します。
○「金子みすゞ」の詩の中で、皆に親しまれている「大漁」の詩は、多くの人が浜では「大漁」だと浮かれているが、「海のなかではたくさんの鰮(いわし)のとむらいするだろう」と、弱い立場の側の視点があるので共感をよんでいる。大人と子供の立場で考えた時に、大人にも子供時代があり、子供は大人の新人と考えて、大人が上で子供が下の関係から、子供の立場で物事を考えることも必要ではなかろうか。
○「あなたと私」の関係では、私が先になりがちだが、「あなた」が先の考えに改めることが、仏の悟り「万物と私」の視点で判断し行動することになり、人間関係も円滑にいくのではなかろうか。
○「こだまでしょうか」の詩の紹介の後に、「おはようございます」と子供が言ったときに、大人が「おはよう」と返事したら、上からの目線で返事したことになるので「おはようございます」とこだまのように返事すべきではなかろうか。
○子供が生まれて「父母」になる話、「身、口、意」の話、震災での「被災者」の表現は「代受苦者」(自分に代わって苦労を引き受けてもらっている人の意味)の話、「わかる」の文字を入れ替えると「かわる」になる話、「自分」と「自然」「分身」の文字の話、「辛」の文字の上に一を乗せると「幸」となるが、本当は幸の左側に人偏を入れた倖がふさわし等の文字を通して講話もありました。
その他「お魚」「私と小鳥と鈴」「つもった雪」「木」「どんぐり」などの「金子みすゞ」の詩を朗読して、エピソートも紹介され、この世の中は「金子みすゞ」の優しい視点でみることで変わるのではないかと感じました。
なお、インターネットには「金子みすゞ」の詩が沢山ありますが、私の見たサイトは次のものなので、興味のある人はクリックしてみてください。http://matome.naver.jp/odai/2130103218658331701
講演の様子を写真で紹介します。
開会前の会場全景
講演の開始
ホワイトボードを使って説明する講師
会場からの質問に答える講師
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