NPO法人 専攻科 滋賀の会

盲・聾・養護学校高等部への専攻科設置拡大、そして広く特別な教育的ニーズを有する青年たちの教育機会の保障をめざす滋賀の会

記事のご紹介

2016年07月28日 23時59分08秒 | 会員募集のお知らせ

7月26日に起きた神奈川県障害者施設で起きた痛ましい殺傷時件ですが、当会の森本理事のコメントがニュースにて掲載されました。7月27日のNHK・NEWS WEBの記事を下記ご紹介いたします。

神奈川県相模原市の知的障害者施設で入所者などが次々に刺され19人が死亡した事件。事件の重大さだけでなく、容疑者の「障害者がいなくなればいいと思った」という趣旨の供述を巡っても波紋が広がっています。インターネットでは知的障害者の家族などで作る団体が出した緊急の声明に多くの共感が集まるとともに、障害者への無理解や社会の不寛容さを批判する声も相次いでいます。

今回の事件で、逮捕された施設の元職員、植松聖容疑者(26)は、「障害者がいなくなればいいと思った」という趣旨の供述をしたほか、以前から「重度の障害者は生きていても仕方がない」と周囲に話していたことも分かりました。

緊急の声明 多くの共感

事件を受けて、知的障害がある人と家族で作る「全国手をつなぐ育成会連合会」は緊急の声明を出しました。
声明は「容疑者は、障害のある人の命や尊厳を否定するような供述をしていると伝えられていますが、どのような障害があっても一人ひとりは命を大切に、懸命に生きています。事件で無残にも奪われた一つひとつの命は、かけがえのない存在でした。お互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会に向けて共に歩んでいただきますよう心よりお願い申し上げます」と訴えています。

NHKのニュースサイトでは、この声明を伝えたニュースが、ネットでの拡散状況を示す「ソーシャルランキング」で一時トップになり、リツイート件数がおよそ400件に上りました。関係者の痛切な思いが多くの人の共感を呼んだことを示しています。

無理解や不寛容さに異議

無理解や不寛容さに異議

ツイッターでも大きく注目された投稿がありました。

「『障害者なんていなくなればいい』という供述に賛同したり理解したりする人が一定数いるけど、障害者と健常者の境界なんて限りなく曖昧。これを許せば『役立たずは死ね』という結論に至るしかない。その『役立たず』にいつか自分も入ることになることには気づかないないままに」

この意見は広く拡散し、27日正午の時点で5000リツイートを超えました。

ツイッターには、このほか、「事件は我々がこれまで障害者をどう扱ってきたかの反映だ」といった投稿や「日本の社会が障害がある人たちに向けるまなざしそのものだ」といったもの、さらに、社会の不寛容さに問題があるのではといった指摘もありました。

障害者からの声も

さらに、障害があるという人たちも声を上げています。

「私は別に障害者として生まれたかったわけじゃないよ」
「私も障害者の1人。この怒り、どこにぶつけるべきでしょうか」
「障害者も頑張ってるし努力しているんです。人より劣ってるかもしれないけど人の何倍も努力しています」

1人1人が輝ける社会を

一方、こんなことばを引用している人もいました。

                                    「この子らを世の光に」

これは、滋賀県にある県立の児童福祉施設「近江学園」の創設者の1人で、昭和43年に亡くなった糸賀一雄さんが残したことばです。
近江学園によりますと、このことばには「障害がある子どもでも、それぞれに個性があり命の輝きがある。それは一見、異質なものに見えるかもしれないし、ほかの人の目には映りにくいものなのかもしれない。しかし、そのささやかな光であっても、1人1人が輝ける社会になってほしい」という思いが込められているということです。

今回の事件について、近江学園の主任専門員、森本創さんは「弱い立場の人が狙われた事件で憤りでいっぱいだ。最近は、地域の人とも交流できるようにオープンな運営を心がけている施設が多く、そうした状況で事件が起きたのは残念だ。健常者も障害者も関係なく、すべての人が大切にされる社会を作らなければならない」と話していました。

抵抗できない障害者を狙った今回の事件。全容の解明はこれからですが、障害のある人もない人も共生できる社会をどう実現していくのか、改めて私たちに課題を突き付けています。

                            

 


 


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

8/6~7全障研全国大会in京都のお知らせ

2016年07月24日 11時40分56秒 | 会からのお知らせ

来る8月6日(土)、7日(日)お隣り京都市において全障研第50回全国大会が開催されます。当会会員の京都教育大学の丸山先生が全障研京都支部長として運営にあたられておりますので、皆さまお声掛けの上御参加ください!

 ◆本大会も50回大会の開催となりましてので、記念すべき大会として基調講演の案文をご紹介させていただきたいと思います。


 今年は、50回を迎える全障研の記念すべき全国大会です。この50年間の研究運動の積み重ねとその到達点を確認し、運動の成果を確信しつつ、しかし現状にある課題を認識し、未来に向かって研究運動をさらに推し進めていく必要があるでしょう3点の課題をまとめたいと思います。

(1)到達点を確認し、実態をつかみ、今日の課題を学びあおう


 「1.全障研50年の歩みから」でも述べているように、結成大会が開催された50年前は、障害者やその家族は厳しい権利侵害の状態にありました。そうした中、全障研は、障害がどんなに重くても、その人らしく発達する権利、生活する権利の獲得の実現をめざして、障害者やその家族、関係団体と連携しつつ、研究運動を積み重ねてきました。
 半世紀を経た現在、障害者の人権や自己実現はだれも否定できないこととして社会的にも広がり、法律や政策の理念に掲げられています。しかし、残念ながら、その内実が実現しているといえません。私たちは、「他の者との平等」を実現する道のりの半ばを歩んでいるといえます。
 ここまで述べてきた各分野の情勢にあるように、障害者の人権保障に逆行する政策が強行されつづけているなかにあって、障害者と家族の生活の上に生じている問題をつぶさにつかんでいく活動がいっそう重要になっています。本大会の分科会で報告、討論されるレポートはその大事な一歩ともなるものです。報告されたレポートをさらに支部やサークルで検討するなど、実態や課題を深く共有しましょう。
 またこのような課題にとりくみむにあたって、障害者権利条約に照らして実態を把握するという視点を強調したいと思います。権利条約には障害者が社会生活を送る上でのあらゆる権利が書き込まれています。その内容は、私たちがめざしてきた発達を保障する社会の到達点を確認する規準ともなるものです。
 同時に、つかんだ実態を政府以外の組織として国連に届ける活動に生かしていくことが求められています。政府が国連に報告する条約の履行状況の内容は法整備などに終始し、実態に踏み込んでいません。政府報告に欠落している障害者・家族のおかれている実態を明らかにして、これを国連に届けるパラレルレポートの作成が日本障害フォーラム(JDF)によってすすめられています。その一角を担う日本障害者協議会(JD)につどい、さまざまな現場での実態や意見をパラレルレポートに反映させましょう。

(2)権利の主体者として憲法を守る研究運動を展開しよう


 全障研は、「障害者の権利を守り、発達を保障する」ため、その実現に向けた研究運動を展開してきました。この50年の歩みは、障害者やその家族が教育、生活、労働などに関するさまざまな権利侵害からの解放をめざして、障害があっても、当たり前の権利を当たり前に享受できる民主主義の社会を追求しようとしたものです。この背景には、政府の行為によって戦争の惨禍を二度と起こさせないことを規定し、すべての人が手に手を取り合い、安心してその人らしく暮らす権利があることを定めた日本国憲法の原則を、障害者問題と関係させつつ実現させたいという強い決意がありました。こうし決意があったからこそ、21世紀最初の人権条約である障害者権利条約の批准に結びついたことは言うまでもありません。
 政府は、いわゆる「戦争法」や秘密保護法などによる「戦争のできる国づくり」へと暴走を始めているだけでなく、TPP締結による国内産業や医療体系の破壊など、安心で安全な生活を国民から奪い取ろうとしています。さらに政府は、軍隊を堂々と保有し、他国との紛争を武力によって解決できるようにする憲法の改悪まで目論んでいるのです。誰もが安心してその人らしく暮らせる発達保障の理念と、かけがえのない多くのいのちが一瞬で奪われる戦争は、けっして両立するものではないのです。
 今年は憲法公布70年です。平和主義、基本的人権の尊重、主権在民を謳い、敗戦のどん底から戦後日本の発展を支えてきた日本国憲法。一人ひとりが権利の主体であり、立憲主義を守る主人公です。いま、改めて憲法を学び、それを生かすとりくみが求められます。
 全障研が加盟する日本障害者協議会は、昨年は「戦後70年と障害者」にとりくみ、今年、2016年秋には「憲法70年と障害者」を企画しています。障害者・患者9条の会も学習会と国会前や街頭でのアピールに努力し、この間千葉や滋賀でも会が発足しています。連携を強めながら平和と民主主義に貫かれた発達保障の道を力強く歩みつづけましょう。

(3)これまで以上のたくさんの仲間とつながって、一歩前に「プラスワン」


 50回を迎える全障研全国大会の中で、京都での開催は4回目22年ぶりです。この間、私たちは、思いを共にする多くの仲間とつながってきました。とりわけ、2011年度から昨年度までの5年間、「全障研5か年行動計画」として、多様なつながりやネットワークを構築しました。その成果は、たとえば、いくつかの支部でベテランと若手がともに支部をつくっていくようなとりくみに表れています。
 多様なつながりは、一つには多様な職種とのつながりです。障害のある当事者、その家族、教育、医療、保健、福祉、労働などにかかわる実践家や研究者が、それぞれ対等の立場で手をつなぎ、協働・連帯しながら研究運動を積み重ねてきました。NPO発達保障研究センターとのつながりも充実しています。二つには世代を超えたつながりです。全障研結成当時を知る経験を積んだベテラン世代から、最近になって障害者問題に関心をもった若い世代まで、幅広い年齢や経験の人が、発達保障を志向して全障研活動に参加しています。第50回大会の合言葉は「プラスワン あなたと次の一歩を」です。機関誌『みんなのねがい』や『障害者問題研究』を普及させ、身近なところで読者会を始めるなどして、積極的に研究運動を前進させましょう。困難で厳しい状況だからこそ、みんなで集まって、なんでも語り合い学び合うとりくみが活力を生み出します。
 全障研はこの50年間、障害者や子どもを出発点として、そのねがいに耳を傾け共感し、総合的・多面的に事実を確かめながら多くの仲間と協働して研究運動を展開してきました。これまでの到達点を確認しつつ、一歩前にプラスワン、さらに多くの仲間とつながりながら前進していきましょう。

 最後に、今大会に向けて、実践や研究の成果をまとめた全障研出版部の新刊が出版されています。初めて大会に参加した方も、まだ全障研の会員になっていない方も、ぜひこれらの本や『みんなのねがい』などを手にとってください。そして全障研の会員となって学習活動に参加しませんか。全国の仲間とのつながりに加わってくださることを呼びかけます。

 以上、お申し込みや詳しい情報はこちらまで→http://www.nginet.or.jp/news/50kyoto/index50kyoto.html

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする