NPO法人 専攻科 滋賀の会

盲・聾・養護学校高等部への専攻科設置拡大、そして広く特別な教育的ニーズを有する青年たちの教育機会の保障をめざす滋賀の会

新年の御挨拶

2015年12月30日 21時05分49秒 | 会員募集のお知らせ

新たな年を迎えてのごあいさつ     ~NPO法人「専攻科滋賀の会」~


琵琶湖の朝日琵琶湖、白鬚神社

 NPO法人専攻科滋賀の会々員各位、そして全国から専攻科滋賀の会をご支援して頂いている皆さん、明けましておめでとうございます。       

 専攻科って何?・・・まだまだ世間一般には知られていない専攻科ですが、知的障害児の特別支援学校は全国どこでも18歳で卒業し社会に出ますが、高等部を落第させてでも、もう少しゆっくり社会に送り出したい等、保護者のねがいは切実です。

私たち専攻科滋賀の会ではアンケート調査をしました。その結果、滋賀県内の15の特別支援学校高等部の保護者、同じく教師、さらには卒業後多くの知的障害の仲間を受け入れてきたきょうされん加盟の作業所職員に尋ねたところ、共通して70%以上の皆さんが18歳以降更に2~4年間学ばせたいと願っておられることが判明しました。

 その理由は、知的障害ゆえ18歳で卒業して働くには無理がある。発達が緩やかなのでもう少し時間をかけた教育期間が必要だ、等々当然な答えでした。

 知的障害の子どもたちがあと2~4年間学べるところ、それが「専攻科」なのです。

 私たち専攻科滋賀の会理事会としてはアンケート調査から見えた県民のねがいを実現する為、今年もガンガン動きます。

HP「専攻科滋賀の会」を開いていただくと逐一活動内容を報告しています。

 ご理解して頂けましたら会員(年間会費一口1,000円)となってご支援くださいますようお願いします。

 今年もどうかよろしくお願い申し上げます。      

~2016年1月1日~

~NPO法人専攻科滋賀の会役員一同~        

   立岡 晄  今野 洋  森本 創  坂井清泰  徳田佳弘  西川眞治  福村敏明  村井竜雄  前川秀子

 (以上、理事) 池田里美  門  治 (以上、監事) 

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書評「知的障害者の大学創造への道―ゆたか『カレッジ』グループの挑戦―」

2015年12月30日 20時22分48秒 | 会員募集のお知らせ

当会と連携させていただいている社会福祉法人鞍手ゆたか福祉会(福岡県本拠地に置き、他拠点で専攻科事業を展開)長谷川理事長執筆の出版物が先日刊行されました。

今回は当会の森本理事(滋賀県立近江学園勤務)より、当出版物に関して書評として御紹介いただきます。当会の森本先生とカレッジ福岡の長谷川理事長先生とは学友である事も驚きでしたが、お互いにリスペクトしあう間柄である事は非常に羨ましい限りですね。

下記、御参照ください。


書評「知的障害者の大学創造への道―ゆたか『カレッジ』グループの挑戦―」

長谷川正人 著 田中良三・猪狩恵美子 編 クリエイツかもがわ出版

 先日私のもとに一通の招待状が届いた。日本福祉大学大学院時代のゼミ友で、福岡県を中心にさまざまな福祉事業所を運営している社会福祉法人、鞍手ゆたか福祉会理事長の長谷川正人氏が本を出版したことを記念してのパーティーの招待状である。タイトルは『知的障害者の大学創造への道』、その内容は彼が最近特に力を入れて取り組んでいる「福祉型専攻科」の取り組みについて紹介したものである。実はこの本の中でも紹介されているように、彼が「福祉型専攻科」の取り組みを始めたのは、私との出会いがきっかけである。

 以前よりNPO法人「専攻科滋賀の会」の役員として専攻科づくり運動に取り組んでいた私は、この運動や研究の全国組織である「全国専攻科(特別ニーズ教育)研究会」(全専研)の全国研究集会を2010年12月滋賀県で開催するため、独自のパンフレットを作成し、いろいろな人たちに協力やカンパを呼び掛けていた。当時日本福祉大学大学院で学んでいた私は、ゼミでも指導教授やゼミ友に呼びかけて、パンフレットを配布しカンパをいただいた。その時に「専攻科」の存在を知った長谷川氏はその後「専攻科」について研究し、翌2011年同氏より「福岡市に『福祉型専攻科』を開設するための設立総会を秋に行うので、見晴台学園の藪氏と共にシンポジストをお願いしたい。」との依頼が、突然私にあった。二人とも仕事をしつつ大学院の修士論文執筆の真最中であり、どこにそんなエネルギーと時間があったのかと大いに驚かされたものである。さらに彼の場合は、社会福祉法人の理事長として多くの事業所の運営に携わりながら、2012年4月の「カレッジ福岡」開設に向けての準備や、1月の修士論文の最終提出に向けてのラストスパートと、想像を絶する生活をしていたに違いない。

実際彼も私も、2011年12月に愛知県立大学で開催された全専研全国研究集会には、一日目の全体集会と分科会のみ参加をし、翌日は同じ名古屋市内にある日本福祉大学大学院での修士論文中間報告会に出席をするといった、かなりハードなスケジュールをこなしていた。しかし、彼の頭の中には「カレッジ福岡」の開設を一年遅らせるという選択肢は微塵もなく、社会福祉法人として全く初めての事業の立ち上げと、かなり厳しいことで有名な教授たちを満足させる修士論文の執筆を見事同時にやり遂げたのである。

 このように著者である長谷川氏とのこれまでの交流から、鞍手ゆたか福祉会が運営している「福祉型専攻科」の取り組みについてはある程度理解をしていると思っていた私は、本のタイトルを見て正直少し大げさなという印象もあった。しかし、この本を読み進めるうちにそのような気持ちはどこかに吹き飛んでしまい、読了後はとてもさわやかで温かな感動に包まれたのである。

講演中の長谷川先生(理事長Blogより)

この本によれば長谷川氏は、無認可の作業所から始めて次第に地域の人々の信頼を得て、次に強度行動障害の人たちを受け入れるための小規模グループ棟の入所施設を日本で初めて開設し、その後障害のある人やその家族のニーズに応えるための事業を次々と立ち上げ、そしてこの三年間で「カレッジ福岡」をはじめとした「福祉型専攻科」を五か所も運営しているのである。彼の眼は常に世界に向けられていて、障害福祉の最先端と言われる所へ実際に何度も足を運び、自分の目でその現実を確かめ、その実践はなおも日々進化をし続けており、今は知的障害者の高等教育の実現という未来社会を確実に展望している。そして私がこの本の中で最も感動したのは、おそらくこれが彼の原動力になっているであろう、障害のある人たち自身の成長と彼を信じて支えてくれている仲間たちの存在がこの本の中に散りばめられていることである。それはまさに、「知的障害者福祉の父」と呼ばれた糸賀一雄が、戦後の混乱期に知的障害児と戦災孤児の総合施設である近江学園を仲間たちと共に創設し、その後さまざまな課題に応じて多くの施設を新たに開設し、戦後の障害福祉を牽引してきた姿にオーバーラップするといえば言い過ぎだろうか。実際私は、糸賀一雄の名著『この子らを世の光に』を初めて読んだ時に似た心の震えを、この本に感じたのである。

 今、全国では障害青年に高等部卒業後の豊かな学びを保障するため、障害者総合支援法の自立訓練(生活訓練)事業の制度による「福祉型専攻科」が注目され、毎年増え続けている。また、ゆたか「カレッジ」グループのように自立訓練(生活訓練)事業2年間、就労移行支援事業2年間、計4年間の「知的障害者の大学」と銘打っている事業所もある。その中で長谷川氏たちのゆたか「カレッジ」グループは比較的新しい事業所ではあるが、彼と彼の仲間たちは「カレッジ福岡」の立ち上げに向けて、全国の特別支援学校専攻科や「福祉型専攻科」を訪問し、それぞれの良いところを学び実践する中で、今では全国の「福祉型専攻科」をリードする存在となっている。また、2012年4月に「カレッジ福岡」をスタートさせた後も常に、学生たちのニーズに合わせてカリキュラムを充実させる一方で、「障害の重い青年の学びの場を」というニーズにも応えるため、「普通科」に加えて新たに「生活技能科」をスタートさせた。このような重度障害のある青年への取り組みは、他の「福祉型専攻科」では例を見ない実践であり、そこにはこれまで鞍手ゆたか福祉会が、我が国で初めて作った小規模グループ棟による強度行動障害者専門施設である「サンガーデン鞍手」での実践が生かされているに違いない。「サンガーデン鞍手」は、大規模集団の入所施設が主であった当時、7年越しで厚生労働省や県の担当者を説得し、2003年8月にようやく完成した施設であり、そこでは職員たちがアメリカで学んだ構造化という環境調整や、カードなどの視覚的支援を活用した非言語コミュニケーションが実践されていた。

サンガーデン鞍手

その結果、それまでどこの学校や施設でも安定することがなかった激しい行動障害のある自閉症の人たちが、半年から二年の間にパニックのない穏やかな生活を送れるようになったのである。しかし、その間の職員たちの努力は並大抵のものではなかったはずであり、この努力の蓄積が職員たちの自信と法人としての力量として、その後のさまざまな事業展開の原動力となっていたに違いない。

 長谷川氏が1991年4月に2名の利用者と共に、10坪のプレハブでスタートした無認可作業所が、今では29事業所、総利用者1336名、職員230名の大きな法人に発展した。そして今、ゆたか「カレッジ」グループは国連「障害者権利条約」で提唱されている、知的障害者の高等教育の保障へと新たな挑戦を始めている。そこにはまだまだ乗り越えなければならない大きな壁が、いくつも待ち受けているに違いない。しかし彼ならきっと、インクルーシブな未来社会への扉を開けてくれることだろう。福岡には、一昨年107歳で他界した昇地三郎氏のしいのみ学園をはじめとする実践が脈々と息づいている。昇地氏は糸賀一雄と同じ時代を生き互いに敬愛していたが、糸賀が54歳の若さで他界したのに対して、昇地氏は100歳を過ぎてもなおその知的好奇心は衰えることを知らず第一線で活躍していた。この点では長谷川氏にも昇地氏を見習って、ますますの活躍を期待したいものである。50年後世界はどのように変わっているだろうか。

滋賀県立近江学園 森本 創

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【随時更新】全国における「専攻科設置状況」について

2015年12月12日 12時15分31秒 | 会からのお知らせ

先週、全専研全国大会会場で大和大学小畑先生より「滋賀県内の最新設置状況を共有して欲しい。福祉型のまなびの作業所の専攻科が急増しており把握したい。」との宿題をいただきました。

まずは滋賀県内設置情報を追加・網羅し、せっかくですので全容把握の趣旨で全専研全国大会in三重の大会資料(2~3頁)を参考にし全国の状況も共通項でメンテナンスしてみました。

結果、運営機関(団体)名と学校名が変更しているところも見つかり修正しましたので御高覧ください。また、記載事項に誤りがある個所、あとは大阪をはじめとした記載漏れの専攻科もあると思います。お気づきの際はぜひ「senkouka.shiga@gmail.com」迄共有頂ければ幸甚でございます。

他府県の方々とも共有したいと思います。情報交換のほど宜しくお願い致します。(K)

◆福祉型専攻科の設置状況

◆専攻科を設置する特別支援学校

◆専攻科を設置する高等学校等

※No.4の見晴台学園大学は、No.1とは別になるので別途この表に追加で入れるべきかと存じます。

所感ですが、今後下記情報に各拠点のWEB(URL)や連絡先等を集約すれば、使い勝手が出てくると感じました。

同時に対外周知や啓蒙するためにも各拠点を繋ぐポータルサイトの必要性も感じた次第です。。(K)

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全専研全国大会in三重【動画】

2015年12月12日 09時31分33秒 | 会員募集のお知らせ

先週12月5日~6日に当会メンバーも参加してきた三重県四日市市聖母の家学園で行われました全専研全国大会のオープニング・レセプション動画をアップしました。(短時間ですみません。。)

2015年12月5日専攻科全国大会

*繰り返し再生される場合は動画終了後動画画面左下の  をクリックしてください。

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全専研全国大会in三重に参加してきました

2015年12月07日 13時54分58秒 | 定期勉強会などの記録

▲聖母の家学園廊下でのカラフルな掲示板

先日12月5日(土)~6日(日)にかけて、三重県四日市市聖母の家学園にて第12回全専研研究集会in三重が開催され、307名の全国からの参加者で学園は活気づいておりました。当会からは役員メンバー6名他で臨みました。

1日目は新しくできた講堂での集会で田中良三先生からの御挨拶・発声により開会し、聖母の家学園の先生からの学内での履修等の取り組みの発表、そして同専攻科学生2名からの研究発表披露がありました。

この専攻科A君の発表で全国各地の地図に興味を持ってからのご当地ラーメンの研究、そして、ゆるキャラの研究等「都道府県の県庁所在地と地図」から派生してさまざまな地域資産をテーマ研究されたのは非常に興味深く感銘を受けました。

▲A君の研究発表 キャラクター研究まで発展!

わたしは降壇したA君と「とても良い発表だったよ!」握手してしまいました。(A君は恥ずかしいそうでしたが。。)

続いてのお菓子づくりが趣味のB君の実演もライブカメラ形式でプレゼンされ、会場は多いに盛り上がりました。

▲B君の研究発表 クッキーづくりのライブ中継♪

この全体会の前に公開授業が行われ、お菓子づくりを通じた「経済活動」の学び、「演劇」他が行われ、学生さん同士の関係性を感じる場面も多々あり興味深い時間でした。

▲公開授業「経済」クッキー製造風景

2日目は分科会で私は第1分科会に出席。聖母の家での取組みの具体的事例、そして大阪岸和田のシュレ・オーテの実践報告、それぞれの研究発表がありました。

聖母の家での事例は高・専一環での取組みになり、計画的な履修計画により実践されているという印象でした。特に印象的だったのが「自己選択できる素晴らしさ」を醸成する為、細かい気配りに基づいた支援と、教師側がメンターとして常に意識し誠実に実践されているのが素晴らしいと感じました。

▲聖母の家学園さんの発表風景

そして、シュレオーテさんの発表では個人的に痛感せざるを得ない発表が随所にありました。それは、やると決めたら、半年でも何でもやったる!という気概と達成迄の努力が発表者の先生のコメントには無いものの、裏では「途方に暮れるような場面も多々あったんだろうな・・」と感じれる瞬間を感じてしまいました。そして、「2年で卒業では少ない」という関係者の声もあり、4年制に向け進んでいる事と連動し、「生活介護で行う事により4年制を実現」する事や、単に特別支援学校(養護学校)高等部を卒業してからの青年たちの受け皿という事ではなく、10年間引きこもっていた方が通い出したり、一度就労したあとで、人間関係等でまた戻ってくるパターン等、様々なライフ・シーンの中で、受け入れる幅を持たせることの重要性をヒシヒシと感じました。

▲シュレオーテさんの発表風景

お二方の意見の共通点は、学生本人の自己選択のチカラと、学生本人の言葉の幅が生まれた事による関係性拡大による喜びから生まれる、「まんざらでもない自分を再認識」する事での成長支援が発表テーマが異なれど、同じゴールに結びついておりました。

我々、NPO法人専攻科滋賀の会は、7年前発足し滋賀、関西の方々とサンデー専攻科等の研究会や様々な活動により支援・連携をさせていただき、ここまで来ましたが、いよいよ我々も本格的に事業化というテーマを目指さなくてはならないと痛感させられた機会がありました。

自ら実施するか参画させていただくか選択肢は有りますが、シュレオーテさんの発表コメントの「作りかけの自動車で発進してしまったような感覚」という開学時の所感が非常に印象深く、「それでも何とかなるもんや」という、目標管理型(民間企業でいうゴール迄のリスクヘッジをあえて執る)のマネージメントをされているという事実が、この福祉業界でも非常に大事だという事を感じました。

最後に、小畑先生より大会資料に最近増えている「福祉型専攻科」が32校あるが、各地でそれ以外でも拡大しているので報告が欲しいという宿題を頂きました。確かに我々滋賀でも数件掲載されていない事を、後日小畑先生に報告したいと思います。

また、第一分科会に出席されていた、大阪のつみき作業所さんの若い先生方が「親御さんらのニーズがある為これから専攻科づくりを目指します」という御言葉もあり、情報交換レベルで当会のご紹介もしましたが、このような先生方達のリード役または窓口が組織的に必要だと感じました。

以上、盛会に終わった大会だったと思います。   (K) 

▼番外編/1日目晩の当会メンバーによる「ぶっちゃけ忘年会」も無事盛会に終わりました(いつものように喧喧諤諤;Www..)

▼久々の当会立岡理事長と聖母の家学園辻校長先生の2ショット(辻先生、お疲れ様でした!)


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