7月26日に起きた神奈川県障害者施設で起きた痛ましい殺傷時件ですが、当会の森本理事のコメントがニュースにて掲載されました。7月27日のNHK・NEWS WEBの記事を下記ご紹介いたします。
神奈川県相模原市の知的障害者施設で入所者などが次々に刺され19人が死亡した事件。事件の重大さだけでなく、容疑者の「障害者がいなくなればいいと思った」という趣旨の供述を巡っても波紋が広がっています。インターネットでは知的障害者の家族などで作る団体が出した緊急の声明に多くの共感が集まるとともに、障害者への無理解や社会の不寛容さを批判する声も相次いでいます。
今回の事件で、逮捕された施設の元職員、植松聖容疑者(26)は、「障害者がいなくなればいいと思った」という趣旨の供述をしたほか、以前から「重度の障害者は生きていても仕方がない」と周囲に話していたことも分かりました。
緊急の声明 多くの共感
事件を受けて、知的障害がある人と家族で作る「全国手をつなぐ育成会連合会」は緊急の声明を出しました。
声明は「容疑者は、障害のある人の命や尊厳を否定するような供述をしていると伝えられていますが、どのような障害があっても一人ひとりは命を大切に、懸命に生きています。事件で無残にも奪われた一つひとつの命は、かけがえのない存在でした。お互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会に向けて共に歩んでいただきますよう心よりお願い申し上げます」と訴えています。
NHKのニュースサイトでは、この声明を伝えたニュースが、ネットでの拡散状況を示す「ソーシャルランキング」で一時トップになり、リツイート件数がおよそ400件に上りました。関係者の痛切な思いが多くの人の共感を呼んだことを示しています。
無理解や不寛容さに異議
ツイッターでも大きく注目された投稿がありました。
「『障害者なんていなくなればいい』という供述に賛同したり理解したりする人が一定数いるけど、障害者と健常者の境界なんて限りなく曖昧。これを許せば『役立たずは死ね』という結論に至るしかない。その『役立たず』にいつか自分も入ることになることには気づかないないままに」
この意見は広く拡散し、27日正午の時点で5000リツイートを超えました。
ツイッターには、このほか、「事件は我々がこれまで障害者をどう扱ってきたかの反映だ」といった投稿や「日本の社会が障害がある人たちに向けるまなざしそのものだ」といったもの、さらに、社会の不寛容さに問題があるのではといった指摘もありました。
障害者からの声も
さらに、障害があるという人たちも声を上げています。
「私は別に障害者として生まれたかったわけじゃないよ」
「私も障害者の1人。この怒り、どこにぶつけるべきでしょうか」
「障害者も頑張ってるし努力しているんです。人より劣ってるかもしれないけど人の何倍も努力しています」
1人1人が輝ける社会を
一方、こんなことばを引用している人もいました。
「この子らを世の光に」
これは、滋賀県にある県立の児童福祉施設「近江学園」の創設者の1人で、昭和43年に亡くなった糸賀一雄さんが残したことばです。
近江学園によりますと、このことばには「障害がある子どもでも、それぞれに個性があり命の輝きがある。それは一見、異質なものに見えるかもしれないし、ほかの人の目には映りにくいものなのかもしれない。しかし、そのささやかな光であっても、1人1人が輝ける社会になってほしい」という思いが込められているということです。
今回の事件について、近江学園の主任専門員、森本創さんは「弱い立場の人が狙われた事件で憤りでいっぱいだ。最近は、地域の人とも交流できるようにオープンな運営を心がけている施設が多く、そうした状況で事件が起きたのは残念だ。健常者も障害者も関係なく、すべての人が大切にされる社会を作らなければならない」と話していました。
抵抗できない障害者を狙った今回の事件。全容の解明はこれからですが、障害のある人もない人も共生できる社会をどう実現していくのか、改めて私たちに課題を突き付けています。
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