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関とおるの鶴岡・山形県政通信

安心して住み続けられる山形県をめざして、住民の暮らし、県政の動き、そして私の考えと活動をお知らせします。

後期高齢者医療制度について討論

2007年09月28日 | 医療・介護・福祉など社会保障
 27日(木)の本会議で、後期高齢者医療制度に関して市民団体から提出された請願を「採択すべきである」という討論をおこないました。

日本共産党市議団を代表して、本請願に賛成の討論をする。
後期高齢者医療制度がどれだけ大変な事態をもたらそうとしているか明らかにする。
第一に、保険料額とその徴収のあり方について。
 全国約1300万人の後期高齢者の内、家族の健保の扶養家族となっているは約200万人=年収180万円未満の低所得者が、新たに保険料を徴収されることになる。
 保険料は、「全国平均で月額6200円程度」を「上回る場合もある」。保険料を滞納すると保険証を取り上げられ「短期保険証」「資格証明書」を発行される。
 今、国保で資格証となった方が、窓口での全額負担ができないために医療を受けられず、重症化し、死亡するという事件が全国で問題となっている。
 「国保同様の保険料の軽減制度がある」などと言っているが、国保で滞納が500万世帯に近づき、正規の保険証を取り上げられている方が百万世帯超、保険証を奪われた方が命を脅かされている現状を何と考えているのか。

 第二に、「後期高齢者の心身の特性にふさわしい診療報酬にする」などと言って、高齢者の医療を差別化し、粗悪化しようとしている。
 病名毎に治療費や治療回数の上限が決められ、それ以上の診療は医療機関の持ち出しとなり、「高齢者には早く退院してもらうしかない」という事態がさらに広がる。
 終末期医療は保険外の自己負担を払える人に限るという政府の考えは、「金の無い者は早く病院から出て行って自宅で死ね」と言うもの。
 「在宅死を現在の2割から4割にふやせば、医療給付費を5000億円削減できる」などと試算する厚生労働省の思想には戦慄すら覚える。後期高齢者医療制度にも貫かれている。

 第三に、保険財政についての国の責任を果たさず、現役世代と高齢者世代の反目を図る仕組み。
 現役世代が払う保険料は、現役世代の医療費に使われる一般保険料と、高齢者医療の支援に使われる特定保険料に分けられ、給与明細に明示される。
 しかし、本来必要なことは、加齢に伴って当然増加していく高齢者の医療費にも、現役世代の医療費にも、国が当然の責任を果たしていくこと。
 老人医療費に占める国庫負担の割合は、1984年度の44.9%から、2004年度には33%に激減、逆に患者負担の割合は1.6%から10.4%に急増。経済大国日本の医療費はGDPの約8%とサミット参加国で最低、OECD加盟30カ国でも22位。
 医療保険制度を危ういものにしているのは、高齢者医療費の増加などではなく、国民医療への責任を放棄する政府の政策


 以上、後期高齢者医療制度がこのまま実施をされれば、高齢者と家族に経済的・精神的に耐え難い負担がもたらされ、高齢者の命すら脅かされる事態が広がる。
 日本共産党は、参議院選挙で掲げた公約を守り、また選挙で示された民意に従って、後期高齢者医療制度の実施凍結と抜本的見直しを求めてたたかうものでありますが、いずれかの時期に、なんらかの高齢者医療制度が実施されるとした場合は、本請願の求める事項は必要不可欠のものと考えますので請願の採択に賛成。
 以上、賛成討論とする。

 新生クラブ渋谷議員が反対討論をおこないましたが、「保険料も低所得の方は年間10800円だから負担にならない」など、市民生活の実情からかけ離れて、ただ政府・厚生労働省の政策を支持する意見でした。
 採決では、日本共産党の私、加藤太一、三浦幸雄議員と、無所属の草島進一議員の4人のみの賛成少数で否決となりました。
 毎回おきまりのパターンですが、「自公政権と対決」を謳う、民主党や社民党も地方議会ではオール与党の仲間という状態は全国共通のようであり、市民のみなさんに知っていただきたいと思っています。


荘内病院職員も大変です~労働組合定期大会に出席しました~

2007年09月27日 | 医療・介護・福祉など社会保障
 26日(水)夜、市立荘内病院の職員労働組合定期大会に日本共産党鶴岡地区委員会の代表として来賓参加し、挨拶させて頂きました。

 同組合は、日本医療労働組合連合会・山形県医療労働組合連合会に加盟する組織として、「医療労働者の生活と権利を守ることと、国民医療を守ることを統一して追求する」という基本方針を持って活動しています。
 私は、一昨年市議会議員選挙に出るまで同連合会加盟の労働組合役員として、荘内病院職組と地域で一緒に活動してきましたし、現在市議会厚生文教常任委員として市立病院の問題をテーマの一つとしていますので、組合の活動には大変注目し期待もしています。

 大会会場で渡された議案書を読んでみて、職員の状況の大変さには改めて驚かされました。
 例えば、看護師の平均夜勤回数は、今年5,6月の調査では、8.6回、8.4回となっています。
 平均月8日以上と言うと、ほぼ3日に1回夜勤をするという状態です。
 私も看護師の妻と10年以上暮らしていますのでわかるのですが、「準夜(私のいた病院では夕方4時半から1時まで)であれば当日午後は身体を休める必要があり、勤務明けの帰宅は早くて2時、日によっては明け方になることもありますが、家族がいれば家族の朝食時には起きることが多く、一日中眠い状態になります。
 「深夜(0時半から9時まで)」であれば、勤務前の夜は8~9時頃には仮眠し、勤務明けは当然夕方まで寝ることになりますが、日中の睡眠というのは浅いことが多く、その疲れは翌日も引きずるというのが実態であり、一回の夜勤は二日間、三日間にも影響する大変な勤務なのです。

 夜勤が月8日以内でなければならないということは、今から40年以上前の1965年に人事院が判定を出しており、その後、医療の高度化、重症患者の増加でかつてとは比べものにならないほど過密となった現在の医療職場で未だ守られていないという事態は極めて異常です。

 また、大会議案書掲載の「2007年春闘働くみんなの要求アンケート集計結果」を見ると、
 時間外労働が20時間以上の人が29.2%
 不払い時間外労働がある人が62.8%
 仕事で「とても疲れる」人が68.5%、「やや疲れる」人が28.8%。

 このような実態が現れていました。
 安全・安心の医療を築いていくためには、こうした状況を改善することが不可欠です。

 私は挨拶の中で、参院選の結果は、小泉・安倍内閣の政治の基本路線が国民に否定されたものであること、国政でも市政でも労働組合の主張に世論の共感が広がっていることを述べ、共にたたかっていく決意を表明しました。
 
 議案書の裏表紙には「団結とは」という文章が書かれていました。
 「自分だけが良い子になろうとして、一人一人が競争しないこと。
  苦しい時にはみんなで助け合い、互いに仲間を裏切らないこと。
  これらのことを毎日毎日みんなで確かめ合うこと。」

  私も組合役員時代に何度も読み返した、夜勤制限闘争の中から生み出された言葉です。
 これからも、多くの市民の皆さんと団結して頑張っていきたいと思います。
                                             

社会保障の充実を求める行動に同席

2007年09月22日 | 医療・介護・福祉など社会保障

 9月21日(金)、鶴岡・田川地域社会保障推進協議会(鶴岡社保協・会長松浦隆氏)の「ミニキャラバン」が鶴岡市を訪れて、国保、介護、福祉の各担当課長と懇談しました。
 
 
 最初に市側から、会が事前に届けた要請書に対して、生活保護、国保、介護保険などの状況説明がおこなわれました。
 会側からは、「介護報酬が低く、労働者の労働条件が保障されないため、職員を募集しても集まらない」「要介護3だった方が、状態が改善して要介護1になったら、介護用ベッドの貸与が受けられなくなった。(生活上必要なのに使えなくて)困っている」「後期高齢者医療制度が実施されると大変なことになる」などの実態報告と対応の要請がありました。 
 私も同席して、会の要望事項について市側に対応を求めました。

 市側の説明で重要と感じたことは、
  ①生活保護の母子加算廃止で、子どもが15才以下の場合
    H18年度20020円→H19年度13350円(H21年度まで廃止)
  ②同じく、子どもが16~18才の場合
    H18年度6670円→H19年度0円
  ③被保護世帯数 H13年度492→H18年度743
  ④介護施設入所申込者(入所待ち)数
   H17年12月588人→H18年12月935人
  ⑤国保の短期保険証(有効期間3ヶ月)発行世帯1186世帯

 そのほかにも色々ありましたが、市民生活の一番厳しい層のところから、困難な事態が広がっていることが示されました。

秋の海







 


繰り返された悲劇~妊婦流産~

2007年08月31日 | 医療・介護・福祉など社会保障

 大阪で妊婦が救急車に乗せられたものの受け入れ先がきまらず、約3時間後に病院に到着する間に胎児が死亡するという事故がありました。
 到着まで時間がかかったことと死亡との因果関係はわかりませんし、救急隊の連絡・搬送システムに不十分な点があったのではとも報道されています。
 政府・厚生労働省も奈良県のシステムの問題にしていくような見解を匂わせているようですが、自らの責任逃れです。
 7月4日のブログにも書きましたが、国が医療費削減のために医師養成を抑制してきたことによる医師数の絶対的不足が根本問題です。

 ☆10万人あたり医師総数(02年)
    日 本     198人・63位 OECD平均まで13万人不足。
        ヨルダン   203人
        イギリス   230
        デンマーク   293
     OECD平均 300
        フィンランド 316
    ドイツ    337
     フランス   337
         カザフスタン    354人
         イタリア    420
 ☆ベッドあたり医師数 100と子当たり(96年)
        アメリカ63.9        ドイツ36.6       日本12   

 流産された女性とご家族の、生まれてくるハズだった赤ちゃんへの思いを想像すると本当に胸が痛みます。
 問題の根本のところに世論が発展し、不幸な事態が無くなるように頑張っていかなければなりません。



   


介護サービスの現状は?

2007年08月22日 | 医療・介護・福祉など社会保障
 22日(水)鶴岡市の介護保険サービスの現状について、共産党市議団として市介護サービス課から話しを聞きました。
 H18年度以降の特徴の説明がありましたが、特に次のような点は要チェックと感じました。 (※は、私のコメントです)

 ①H18年4月の制度改正は、軽度の方ができる限り要支援・要介護状態にならない、
重度化しないように「介護予防」を重視したシステムの確立をめざしている。
  ※果たして、国が進める介護予防でこの一年効果があったか?これからあるか?
 ②新しく創設された地域支援事業を開始した。
    ○介護予防・・運動機能向上、栄養改善、口腔機能向上、閉じこもり予防・支援、認
   知症予防・支援、うつ予防・支援
  ○包括的支援事業・・総合相談、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、
   介護予防ケアマネジメント
  ○任意事業・・介護給付等費用適正化、家族介護支援など
  ※いずれも大いに重要であり、充実させなければならない。しかし、これらの事業
   に投入される公費を削減するというのが国の地域支援事業
 ③要介護認定の増加状況はほぼ計画通り推移しているが、要介護2以上の比較的
   重度の人が多く、給付費が増加している。
  ○「要支援~要介護1」:「要介護2~5」:「合計」で、
    H17年9月 3092人:3561人:6653人
    H18年9月 3121人:3851人:6972人
     増加率   0.9%:8.1%:4.8%
 ④H17年10月からの「ホテルコスト」導入で施設サービス給付費が下がった
  ※「介護の社会化」と言って導入した介護保険制度。3年毎の見直しの度に保険料
   は引き上げられた(これまで2回)。それが、「利用料が重い」と利用できない人が
   増えるとはどういうことか?!
 ⑤鶴岡市は、施設サービス費は平均的で、在宅サービス費が高い。

 現状を良く分析し、取り上げていかなければならないという思いを強くしました。


これでいいのか、国民健康保険~鶴岡市国保運営協議会~

2007年08月18日 | 医療・介護・福祉など社会保障

 17日(金)鶴岡市国民健康保険運営協議会のH19年度第一回会合がおこなわれ、委員として参加しました。
 会議で報告・協議されたことの特徴は、



 1)昨年度の決算が報告されましたが、昨年度税率の大幅引き上げをおこなう時に示された経営見通しと大幅に違った結果になりました。
 当時、「単年度収支6億3千万円の赤字、基金残高2億300万円」と示されていたものが、07年8月時点では「2億800万円の黒字、基金残高16億6千万円」です。
 
 2)保険料が納められない人に発行される「有効期間3ヶ月」の短期保険証の新規催告(「保険料を納めないと発行しますよ」という通知)は、731件。昨年に比べると減ってはいるものの、一昨年度360件の倍
 
 3)H20年4月から、40~74才の加入者を対象とするメタボリックシンドローム    に着目した生活習慣病予防のための特定健康診査・特定保健指導の実施が義務づけられた。各医療保険者は、5年を1期とする特定健康診査等実施計画を作成、実施率等に関わる目標値を設定し計画的に実施していくことになる。

 4)H20年度の(旧6市町村で異なっている)税率の統一に向けての委員の意見聴取。

 以上のようなものでした。私は、
  ①大幅な赤字見通しのもとに税率を引き上げたことは問題。
  ②税率統一では、税率引き下げの検討が必要。
 と発言しました。

 
 今夏、市役所一階一部の窓辺に設置されたつる性植物。
 室温を大きく下げる効果があり、景観も備えた優れた省エネ策です。


 9月市議会では、この国保会計の決算も審議されます。
 重税に苦しむ被保険者の実態を取り上げていく予定です。


 


年金問題、市議会でも闘論

2007年07月26日 | 医療・介護・福祉など社会保障

参議院選挙で年金問題が大きな争点になっています。鶴岡市議会でも先の6月定例会でこの問題について討論がおこなわれました。日本共産党市議団が提案した請願に関して、黎明公明の秋葉議員が反対討論、私が賛成討論をおこなったものです(他に、みどり21の草島議員が賛成討論)。議会から一ヶ月余り経過しましたが、今時参院選に繋がる問題として、ご報告しておきます。
 私の要約です。

(秋葉議員反対討論)
  消えた年金記録とする表現そのものも、いたずらに国民の不安をあおるためにするセンセーショナルな表現。年金が消えたわけではなく、基礎年金番号に統合されていない記録が3億件のうち、いまだ5,000万件残っているということが真実
 5,000万件については、政府与党として対応策を矢継ぎ早に打ち出し、受給資格のある人が受給できないことのないよう、さらには年金制度そのものに対する信頼が根本から失われることのないよう配慮がなされている。
 そもそも、なぜ今回のような年金記録問題が起こったのか。
 第1に、基礎年金番号を導入する際の制度設計と導入後の統合システム上の問題点であり、基礎年金番号の統合をいつまでに完了するのか具体的な計画がなかった点や導入後のチェックシステム、進捗状況の確認などの体制が不備であった。
 第2に、社会保険庁というお役所の職員団体に支配された、やる気のない業務効率の低い組織体質が問題。社会保険庁当局と職員団体との間で交わされた102件にも及ぶ覚書、確認事項、いかにこのお役所が国民の利益よりも労働条件を優先してきたか。
 第3に、国民の立場に立ったサービス精神を欠く職員体質。大事な年金記録を間違いなく年金支給につなげるという責任感の欠如、加入者から指摘されるまで積極的に統合を進めようとしない庁の姿勢、保険料のむだ這い、年金記録ののぞき見など、公務員のモラルの欠如。
 以上のような原因や責任をはっきりさせることが問題解決の第一歩であり、一部政党やマスコミのように実態に目をつぶり、選挙日当てに国民の年金制度に対する不信感をあおるような言動は、厳に慎まなければならない。
 その上で、今回の意見書案である4点の要望項目を見ると、1については現在政府で現役世代も含めて調査対象とすることになっており、安倍総理も1年以内に5,000万件の調査を完了すると発言、これ以上重みのある言葉はない。
 2の年金記録情報を該当者と想定される人に提供するという作業も、1年以内に名寄せを完了させ、それに基づくお知らせも、平成20年度中に完了させることになっている。加入履歴については、明年4月から、年金定期便ですべての年金加入者に、35歳、45歳、58歳など節目の年齢にお知らせすることになっており、政府与党として、この加入履歴のお知らせをすべての年金加入者に拡大するよう検討が進んでおり、近く発表される予定。
 3は、第三者委員会を国が6月中に設置、7月には各都道府県に所在する総務省の出先機関に設置することになっており、証拠書類がない場合でも積極的に受給権を認める立場から、総合的に判断することになっている。
 4も、電話相談はこれまでの6倍の人員を拡充するとともに、社会保険事務所についても従来の第2土曜日だけでなく、すべての土日についても相談窓口を開設するなど、手厚い相談実施体制がしかれることになった。
 以上4項目全部について、既に政府与党で手だてが講じられることになっており、本議会からの意見書として改めて政府に要望する必要はないものと考える。以上、反対討論とする。

関 徹 賛成討論
 国民が苦労して納めてきた保険料が年金の記録にだれのものかわからないものが発生するという、いわゆる消えた年金が、本意見が提案された時点での5,000万件に加えて、新たに1,430万件、国民の不安と怒りはますます広がっている。
 年金制度を信頼できないという声が76%。「いたずらにあおり立てられた」結果ではなく、国民が正しく事態を判断し、心配をしていることのあらわれ。
 意見書案が指摘するとおり、国民には今度の問題では何の落ち度もなく、全く国の責任によって生じた問題であり、国の責任で一人の加入者にも被害が発生しないように、既に起こされた被害には最大限の補償を行う手だてをとることが求められる。
 しかし、今政府与党が示している対策は、そういう責任を果たし得るものではない。反対討論の内容も含めて、対策の誤りを明らかにすることによって、本意見書に賛成する討論を行う。
 政府与党の対策の第1の問題は、未統合の5,000万件について、受給者、加入者の記録と突き合わせの作業を1年でやるという点。それには毎日およそ19万件を処理することが必要。1,000人の職員を配置して、1件を2分で処理しないと終わらないが、そういう人員配置は示されていないし、作業のプログラムが開発されるのが来年の3月などと言われ、実際の作業時間は1年よりずっと短くなる
 調査対象は、生年月日、性別、氏名の3条件で一致したものについてのみであり、作業は名前を照合する、いわゆる名寄せだが、これは既に1度行われた作業であり、その結果、宙に浮いたのが5,000万件と、他に1,430万件。これでは、本当に問題を解決し得る調査にはならないことは明らか。
 第2に、そもそも政府与党は5,000万件についても1,430万件についても、何ら問題のない記録であるかのように述べている。基礎年金番号に統合されていない5,000万件、このうち現在年金受給年齢に達している方が2,880万件、既に死亡した方も少なからずいることが推測される。日本共産党の小池晃議員が参議院厚生労働委員会で、5,000万件の平均加入月数が最低の1カ月だとしても奪われた給付は3兆円を超え、6カ月だとすれば20兆円にも上ると試算を示したのに対し、厚労省はこれを否定できなかった。重大な問題が、現に生じている。
 第3に、未払いが判明した場合、5年以上前までさかのぼって全額払う、積極的に証拠を認めていくとされてるが、問題は、どういう場合に支払うのかが不明確だということ。
 雇用主の証明や銀行通帳の振り込み記録などという例を示しているが、今30年、40年前の記録がないので、多くの国民が支給対象から排除されているということが問題になっている。
 第三者委員会が判断するというだけでは、何の保証にもならない。第三者委員会に示される基準自体が問題。同僚の証言であるとか、もっと幅広い状況証拠を認めることにし、国め側がそれを反証できなければ認めるという態度が求められる。
 第4に、社会保険庁の解体も大きな問題。今回の事態で明らかになったことは、年金という事業が国民から莫大な保険料を預かり、それを何十年にもわたって、間違いなく管理しなければならないという極めて高い社会的責任が求められる巨大な事業であるということ。
 その事業は、国会と内閣という仕組みを通して、国民が基本的に管理することのできる国の事業として行わなければならない。政府与党は、社会保険庁を民営化し、さらに民間企業へのアウトソーシングを推進するとしているが、それによってなぜ事業が改善されるのかということは明らかでない。今、民間企業の不祥事が相次ぐ中、「民間は善、公務は悪」などという決めつけには、何の根拠もない。
 さらに、問題の原因が社会保険庁の労働組合にあるかのように主張しているが、みずからの責任をあいまいにしようという問題のすりかえ。もちろん公務労働を国民によりよいサービスを提供するために改善していくことは、いつの時代でも当然の仕事
 しかし、今回問題になった社会保険庁の問題は、本質は別。この間1985年から2004年の間に社会保険庁長官を経験した7人が公益法人などに天下って得た収入が9億3,000万円にも上るということが、国民の怒りを買っている。
 また、今まさに問題となっている情報処理システムに67年度以来、公費や保険料が約1兆4,000億円も投じられたが、このシステムの運用管理を委託する関連企業4社に、社会保険庁の歴代幹部ら15人が役員や部長として再就職している。(関連企業は、自民党に2億円を超える政治献金)。
 政党・政治家と高級官僚と大企業との政官財の癒着、こういう癒着腐敗構造こそ改めなければならない。社会保険庁の解体が年金事業を国民の関心から遠ざけ、事業を分割することによって、こういう癒着構造を一層拡大するもの。
 以上、最初に述べたようにこの意見書案が提案された時点からさらに問題は拡大し、政府与党実の問題点も次第に明らかになってきた。すべての受給者、加入者に保険料の納付記録を直ちに送ること、社会保険庁解体をやめることなど、本来であればもっと盛り込みたいところだが、そういう点を勘案しても、消えた年金問題について政府与党が真の解決策を打ち出していない今、本市議会が意見書を採択することは大きな意義を持つものであることから、採択に賛成することを述べて討論とする。

 その後、事態は進展し、共産党の主張通り、「全加入者、受給者への納付通知の発送」が認められました。しかし、最大の問題は、年金額が低すぎ、保険料の納付期間が長すぎるという、年金制度の貧しさです。
 この点でも、日本共産党は抜本的で現実的な提案をおこなっています。


医師不足解決を~市議会に意見書を発議しました~

2007年07月04日 | 医療・介護・福祉など社会保障

先週閉会した6月定例市議会について、報告を続けます。
今議会で私は、「医師・看護職員確保対策の充実・強化についての意見書(案)」を作成して、提案しましたところ、全会派の同意が得られて採択となり、鶴岡市議会の総意として関係省庁に送付されました。

案文は、
「高齢社会の進展、医療の高度化・専門化にともなって、保健、医療、福祉に対する需要が増大しており、それを担う医師・看護職員の確保が重要かつ緊急の課題となっております。
 本県における人口10万人あたりの医師数は、全国平均が211.7人であるのに対し、198.8人、庄内ではさらに166.4人にとどまっています(H16年末現在)。
 そもそも日本の医師数が、OECD加盟国の中でも最低の水準にあることが、日本の医療の困難の要因となっていることを想起すれば、庄内の状況はきわめて憂慮すべきものと言わなくてはなりません。
 さらに平成16年度から始まった医師の臨床研修制度の必修化をきっかけに、都市部への医師の集中が進み、地方の病院での勤務医不足が深刻化しております。
 また、看護職員においても、平成17年12月に策定された国の「第六次看護職員需給」見通し」でも、今後いっそう需要増加が見込まれているところですが、さらに昨年4月の診療報酬改定に伴う看護基準の見直しにより、都市部の大病院などへの集中が急激に進み、地方の中小病院等での看護職員確保が困難となっており、地域医療に重大な影響がもたらされています。
 このように、本市を始めとする地域医療の状況に鑑み、医師養成数の抜本的拡大を始めとする医師確保対策の強化、看護職員の養成拡大・労働条件改善など看護職員確保対策の強化を図ることを強く要望します。
 以上、地方自治法第99条の規定により、意見書を提出する。」というものです。

 文中の「平成16年度から始まった医師の臨床研修制度の必修化」とは、「新臨床研修制度」と言われるもので、それによって、従来医学部生の半数以上が大学の医局に残っていたものがその半分程度にも激減したことから、大学が自治体病院などに派遣していた医師を呼び戻す動きに出ました。

 しかし医師不足の根本的問題は、これまでの医師養成数があまりにも少な過ぎたことにあります。
 政府・与党などは、「医師が偏在している」などとして、医師の数が足りないのではないと言い張っていますが、「医師が余って困っている地域」があったら教えてもらいたいものです。

 今から20年前の1986年、厚生省(当時)は、「昭和70年を目途に医師の新規参入を最小限10%削減」という方針を打ち出し、医学部の定員の削減を始めました。
 当時は、与党はもちろん、日本医師会やマスコミなども、一緒になってこれを煽りたてたようです。
 20年前に始められた過ちが、今、災いを為しているのです。
 これから医師養成を拡大したとしても、効果が現れるのは10年も先になります(その間に不足を少しでも補う方策は尽くさなければなりません)。
 政治が将来を正しく見通しておこなわれなければならないことを浮き彫りにする好例(悪例)です。
  
 ※なお、意見書作成・ブログ編集にあたっては、「医療構造改革と地域医療」「日本医療の焦点」「日本医療の展望」などを参考にしました。


「何でも民間」の末路~コムスン問題~

2007年06月23日 | 医療・介護・福祉など社会保障

 介護業界最大手のコムスンが、架空の事業所の責任者やヘルパーの名前を書いて申請し、介護報酬をだまし取った問題は、介護保険制度の根本を問う大事件です。
 コムスンはこれまでも同様の問題をおこしてきましたが、摘発される寸前に当該の事業所を閉鎖することによって処罰を逃れるという、脱法行為を繰り返してきました。

 1997年に法律が制定され、2000年に施行された介護保険制度は、本来、国の責任で行われるべき(それまで、貧弱ではあっても基本的にそう行われてきた)介護を民間企業に市場として解放しようとするもので、しかも、国が費用の50%を負担していたものを25%に縮小し、代わりに国民から介護保険料を徴収するというものでした。

 当時、私は医療労働組合の役員、地域の労働組合の共闘組織の役員として、法案に反対する運動に取り組みましたが、政党としてこの法案の問題点を正確に指摘し、関係者と共にたたかったのは日本共産党でした。
 一方、この法案については、自民党はもちろん、当時厚生大臣を勤めた菅直人氏(その後、民主党党首)など「介護の社会化」などとして推進した政党・政治家の責任は重大です。

 制度が開始されると、鳴り物入りで参入してきたのが今回問題となったコムスンでした。私たちは、「ディスコが介護にやってきた」とあきれながら問題にしたものでしたが、介護が営利資本の儲けの場になったということを表す出来事の一つでした。
 今回の問題で、コムスンの事業を引き継ぐという企業が次々と名乗りを上げていますが、有力企業は、外食チェーン、大手居酒屋チェーンなどです。
 「どんだけ?」。と言いたくなりますね。

 ところで、鶴岡市にはコムスンの事業所はありません。一時期開設されたようですがその後無くなったようです。
 鶴岡の介護では、医療生協を始めとして、農協、社会福祉協議会などの非営利セクターが大きな位置を占めています。市民と結びついたこういう事業があれば、儲け目的の事業の参入の余地は制限されると言うことだと思います。大変心強いことです。

 私は、今年の3月市議会厚生文教常任委員会で、「介護サービスの質の確保の問題」を取り上げましたが、コムスンの無い鶴岡市であっても、引き続き重要な課題として追求していきたいと思います。

 

 


  
  


弱者を守る

2007年03月29日 | 医療・介護・福祉など社会保障

 障がい者の方から生活相談を受けました。
 ご夫婦とも知的障がいのある方で、収入は旦那さんの月10万円程度しか無く、知的障がいのあるお子さんが一人いて、作業所に通っているという家族です。
 奥さんは、少し前まで障がい年金を受け取っていましたが、車が無いため定期に認定を受けるために病院まで行くことができず、「停まっている」ということでした。
  大事なお子さんを作業所に通わせるには月1万円を払わねばならず、バス代が大変なので4~5キロはあろうかという道のりを歩いていくこともあるそうです。
 家賃や公共料金などさまざまな借金があると言うことで、低収入が原因と思われますが、生活のアドバイスをしてくれる人が身近にいたらもう少し何とかなったのではないかと、残念に思いました。

 許し難いのは、経済的に困難だということを知っていて、金を貸し付けたサラ金がいるということです。最近滞納したら督促にやってきたとのことで、随分脅かしていったようです。
 返済能力の無い人、借入の意味がよく理解できない人に貸し付け、脅かしながら少しずつ利息分だけ回収していく、そして「払い過ぎ」になってもわからずに、いつまでも「返済」させられる。
 絵に描いたような極悪商売です。この家族の周りをうろつかないように追放するだけでなく、社会的に糾弾し、懲らしめてやらなければならないと怒りが燃えました。
 
~老舗の酒屋さんで拝見~

 旦那さんは、正直な、まじめな方に見受けられました。奥さんは恥ずかしいのか私とはあまり口をきいてくれませんでしたが、穏やかな方のようでした。辛い暮らしを家族で身を寄せ合って耐えて来たことが察せられました。
  「応益負担」などと言って障がい者施策を改悪し、こんな負担を被せてきた政治、こうした方々を守る社会保障をもっと切り捨てようという政治を変えるために、頑張らねばという思い(やはり、怒りですね)を新たにしました。

 それにしても、この家族の先行きは本当に不安です。頼るべき身内も無く、見守ってくれる公的サービスも覚束きません(今、色々調べているところですが・・)。
ともかく、明日の暮らしが成り立つように、何とかしなければなりません。


~沢山の家族を見守って来たであろう雛人形。今は、どんな時代でしょう?~