岡山県議会は、改姓しなくても結婚できる「選択的夫婦別姓」に反対する意見書案を近く、賛成多数で可決する見通しとなった。全国都道府県議会議長会によると、反対を示す意見書の可決は近年では珍しい。定数55のうち38人を占める最大会派・自民党県議団が主導している。

 意見書案は同制度を「家族の絆や一体感を危うくしてしまうおそれがあるばかりか、親子で異なる姓を名乗ることは、子どもの福祉にとって悪影響を及ぼすことが強く懸念される」と指摘。「拙速に導入すれば、国の将来に大きな禍根を残しかねない」としている。

 議会関係者によると、保守系団体のメンバーらから制度に反対する陳情が県議会に提出された。これを受けて自民党県議団が主導し意見書案をまとめた。陳情は16日の県議会総務委員会で可決され、意見書案は19日の本会議で可決される見通しだ。選択的夫婦別姓をめぐっては自民党内でも賛否は割れているが、男女共同参画に向けた政府の計画づくりにあわせ、議論が活発化している。

 自民党県連幹事長の天野学県議は「制度をめぐって様々な声があるのは承知している。(意見書を受け)国会でさらに議論を深めてもらいたい」と話している。

 共産党県議団の須増伸子県議は取材に「あくまで『選択的』。姓が異なることが嫌な人に害を及ぼすものではない」と主張。「姓が異なることで子の福祉サービスに差が生まれるなら、その制度自体が問題だ」「ジェンダーギャップの解消が叫ばれる中、逆行する動きだ。信じられない」と批判している。

 全国都道府県議会議長会によると、選択的夫婦別姓に反対姿勢を示す意見書は2010年に全国21の県議会が可決。民主党政権下の千葉景子法相(当時)の呼びかけもあって制度導入を巡る議論が起きたのがきっかけだった。岡山県議会も「親子別姓をもたらすことになり、子どもの心に取り返しのつかない傷を与える」と意見書で訴えていた。(吉川喬、菅野みゆき)