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『夜半亭発句帖』に登場する俳人 

2006-08-02 13:27:34 | 夜半亭レポート
 『夜半亭発句帖』に登場する俳人     

 〔序 文〕 

○巴人(はじん)--延宝四~寛保二年(一六七六~一七四二)。早野氏。別号、竹雨・宋阿・郢月泉・  夜半亭など。下野国烏山の人。江戸に出て其角・嵐雪に師事。後上洛して、十年の間に京で俳壇的勢  力を築く。再び、江戸に帰り、日本橋石町に住む。編著『一夜松』など。〔蕪村事典〕      
○其角(きかく)--寛文元~宝永四年(一六六一~一七〇七)。榎本氏、のち宝井氏。名侃憲。通称、  八十八・平助・源蔵・源助。別号、晋子・螺舎・狂雷堂・宝・渉川など。芭蕉門。編著、『虚栗』・  『花摘』・『雑談集』・『焦尾琴』など。〔蕪村事典〕                    
○嵐雪(らんせつ)--承応三~宝永四年(一六五四~一七〇七)。服部氏。通称、彦兵衛、嵐亭治助・  雪中庵・玄峰堂など。芭蕉門。其角と併称される江戸蕉門の重鎮。編著『其袋』など。〔蕪村事典〕
○百里(ひやくり)--高野氏。勝春、市兵衛と称した。俳諧舎堂、雷堂の号がある。初名茅風。江戸小  田原町の魚問屋。嵐雪門。享保一二年(一七二七)五月一二日没、享年六二歳。編著、銭龍賦(せん  りようのふ)(宝永二)・遠のく(宝永五)・続たれが家(宝永七)。〔其角全集(勝峯晋風編)〕  『蕉門諸生全伝(曰人編)』にもその名が見られる。                  ○阿誰(あすい)--箱島氏。下総関宿の人、巴人門、郢月泉の号を巴人から与えられた。安永七年(一  七七二)没。〔蕪村事典〕             ○大済(たいさい)--中村氏。常陸下館の人。雁宕の縁戚の下館の風篁の分家に当たる。宝暦八年(一  七五八)没。〔下野俳諧史(中田亮著)〕
○雁宕(がんとう)--安永七年(一七七三)没。砂岡(いさおか)氏。通称、四氏衛門。別号、茅風庵  伐木斉。下総結城の人。巴人門で蕪村若年の友人。蓼太との間に俳諧に関する論争がある。〔蕪村事典〕                                            
〔春 之 部〕 

○一方(いつぽう)--北川氏。別号、西角庵・湖塵窟・鵲翁。剃髪のあと行雲と称する。京都(西堀川  通り元誓願寺上町に住す)の人。〔誹諧大系図(春明編)〕                  
○淡々(たんたん)--延宝二~宝暦一一年(一六七四~一七六一)。松木氏。初号、因角、のち渭北。  大阪の人。江戸に出て、初め不角門のち其角門。上京して半時庵を営む。その後、大阪に帰り、上方  俳壇に絶大な門戸をはる。句集『淡々発句集』など。〔蕪村事典〕               
○嬰利(えいり)--長嶋氏。別号、松下庵。享延元年(一七四二)没。〔俳諧家譜(丈石編)〕    

〔夏 之 部〕 

○祇空(ぎくう)--稲津氏。青流、石霜庵、竹尊者、阿桑門、玉笥山人、空閑人、紫竹道人、竹堂の諸  号がある。大阪より江戸に下って蕉門特に其角に私淑した。のちに飯尾宗祇の人格を慕い、祇空と改  名した。享保一八年(一七三三)没。編著、東奥紀行(宝永三)、みかへり松(正徳三)など。〔其  角全集(勝峯晋風編)〕  
○高峨(こうが)--蕪村の処女撰集の『寛保四年宇都宮歳旦帖』に「高我」の名で登場する。
○重雪(じゆうせつ)--重井氏。露月編の『卯月庭訓』などにその名が見られる。
○蔽牛(へいぎゆう)--江戸座俳諧集『百千万』などにその名が見られる。〔江戸座俳諧集四(鈴木勝  忠校注)〕 
○破笠(はりつ)--小川氏。宗宇、平助と称した。夢中庵、笠翁、卯観子の号がある。福田露言門、の  ちに芭蕉門に入る。江戸の人。蒔絵及び象嵌の技に秀で破笠細工と称された。延享四年(一七四七)  没。〔其角全集(勝峯晋風編)〕  
○楚由(そゆう)--阿誰の息子の淅江編の『その人』(安永二年)に蕪村・几董らと並んでその名が見  られる。また、蕪村の処女撰集の『寛保四年宇都宮歳旦帖』にも登場する。
○潭北(たんぽく)--延享元年(一七四四)没。常盤氏。名、貞尚。別号、百花荘。下野国烏山の人。  医を業とする。〔蕪村事典〕
○露月(ろげつ)--露沾門。豊島氏。名、治左衛門。宝暦元年(一七五一)没。編著『卯月庭訓』など  がある。ここには宰町号の蕪村の初出の句が収載されている。〔江戸座俳諧集四(鈴木勝忠校注)〕○凍泉(とうせん)--(未詳)                                
○羅人(らじん)--山口氏。別号、蛭牙斉。宝暦三年(一七五三)没。元文二年(一七三七)に一日万  句興行をし、その賀集に巴人の句が収載されている。〔俳諧家譜・穎原退蔵著作集第一三巻〕 
○千之(せんし)--大原氏、のちに望月氏。別号、露分軒・近隣子。京都の人。蕪村の処女撰集の『寛  保四年宇都宮歳旦帖』にその名が見られる。〔誹諧大系図〕                  
○囿星亭(ゆうせいてい)--(未詳)
○嘉祥(かしよう)・丁周(ていしゆう)--(未詳)
○吏登(りとう)--天和元~宝暦五年(一六八一~一七五五)。桜井氏。初号、李洞。別号、人左・斑  象、のちに嵐雪・乱雪。江戸の人。嵐雪門。句集、吏登句集。〔蕪村事典〕           
○立志(りゆうし)--高井氏。幼名、犬松。初め松雨軒立詠と称した。別号、和階堂、松翁子。父立志  (貞門)の跡を継いで其の二世となる。江戸の人。宝永二年(一七〇五)没。編著、都の枝折など。  〔其角全集(勝峯晋風編)〕  
 〔秋 之 部〕 
○百和(ひやくわ)--(未詳)
○千虎(せんこ)--元文元年(一七三六)雁宕が京の巴人を訪れた時の郢月泉興行の小刷物の中にその  名が見られる。〔穎原退蔵著作集第一三巻〕 
○氷花(ひようか)--嵐雪門。京都の人。『綾錦』にその名がある。〔江戸座俳諧集四(鈴木勝忠    校注)〕。
○三蝶(さんちよう)--『しぐれ碑』にその名が見られる。〔註解夜半亭発句帖(皆川晃編著)〕
○我尚(がしよう)--雁宕の父。我尚の姉妹が早見晋我に嫁いでいる。〔下野俳諧史(中田亮著)〕 
○巣父(そうふ)--(未詳)
○貞佐(ていさ)--桑岡氏。通称、平三郎。名、永房。別号、桑々畔・塩車・了我・平砂。享保一九年  (一七三四)没。江戸の人。一五歳で其角門。剃髪して了我と改める。江戸座の重鎮。編著・『一番  鶏』など。〔俳句辞典(近世)〕 
 〔冬 之 部〕 

○霍梅(かくばい)--(未詳)
○正覚(しようかく)--(未詳)
○竹也(ちくや)--元文元年(一七三六)雁宕が京の巴人を訪れた時の郢月泉興行の小刷物の中にその  名が見られる。〔穎原退蔵著作集第一三巻〕
○万効(ばんこう)--(未詳)

 〔懐 旧 之 俳 諧 百 韻〕 

○存義(そんぎ)--元禄一六~天明二年(一七〇二~八二)。馬場氏。初号、泰里。別号、李井(庵)  ・有無庵・古来庵など。江戸の人。二世青蛾に俳諧を学び、南郭に儒学を学ぶ。巴人・蕪村の撰集に  に数多くその名が見られる。明和七年(一七七〇)から安永初年(一七七二)頃にかけて京都を訪れ  ている。句集『古来庵句集』など。『延宝二十歌仙』の一人。〔蕪村事典など〕。     ○旨原(しげん)--享保一〇~安永七年(一七二五~七八)。小栗氏。初号、其川。別号、百万(坊)  伽羅庵。江戸の人。超波門。『五元集』・『玄峰集』を編纂。『延宝二十歌仙』の一人。〔蕪村事典など〕                                           
〔懐 旧 〕 

○文楼(ぶんろう)--蕪村の処女撰集の『寛保四年宇都宮歳旦帖』にその名が見られる。
○希凉(きりよう)--(雁宕に連なる巴人門か。)
○岱呂(たいろ)--(雁宕に連なる巴人門か。)
○専砂(せんさ)--(雁宕に連なる巴人門か。)
○宋雨(そうう)--(雁宕に連なる巴人門か。)
○其雷(きらい)--太祇に連なる俳人 〔蕪村事典(系譜図)〕
○風篁(ふうこう)--宝永三~安永七年(一七〇六~七九)。中村氏。通称、兵左衛門。下館の人。巴人門。〔蕪村事典〕
○桃彦(とうげん)--其角門の結城の俳人・早見晋我の息子で蕪村の処女撰集の『寛保四年宇都宮歳旦  帖』に「もゝ彦」の名が見られる。のちに二世晋我を継ぐ。その五十回忌追善集『いそのはな』を編む。                              
○文羽(ぶんは)--桃彦と同じく早見晋我の息子で結城の俳人。
○鵑児(けんじ)--(雁宕に連なる巴人門か。)
○田洪(でんきよう)--桃彦・文羽と同じく早見晋我の息子で結城の俳人。蕪村の処女撰集の『寛保四  年宇都宮歳旦帖』にその名が見られる。
○東宇(とうう)--(雁宕に連なる巴人門か。)              ○燕之(えんし)--(雁宕に連なる巴人門か。)              ○巴甃(はしゆう)--(雁宕に連なる巴人門か。)             ○解糸(かいし)--元文三年(一七三九)の巴人が東帰した翌年の夜半亭歳旦帖の中にその名が見られ  る。〔穎原退蔵著作集第一三巻〕
○少川(しようせん)--元文三年(一七三九)の巴人が東帰した翌年の夜半亭歳旦帖の中にその名が見  られる。〔穎原退蔵著作集第一三巻〕
○赤鯉(せきり)--元文三年(一七三九)の巴人が東帰した翌年の夜半亭歳旦帖の中にその名が見られ  る。〔穎原退蔵著作集第一三巻〕。 
○少我(しようが)--元文三年(一七三九)の巴人が東帰した翌年の夜半亭歳旦帖の中にその名が見ら   れる。〔穎原退蔵著作集第一三巻〕。 
○淅江(せきこう)--雁宕・阿誰編の阿誰『反古ぶすま』(宝暦二年)に阿誰男としてその名が見られ  る。阿誰没後、その追悼句集として『その人』(安二年)を編纂。               
○淞江(しようこう)--大済の息子で『夜半亭発句帖』では淅江の次にその名が見られる。
○有佐(ゆうさ)--富岡氏。貞佐門。二世有佐。宝暦八年(一七五八)没。『延宝二十歌仙』の一人。  〔江戸座俳諧集四(鈴木勝忠校注)など〕。                         
○平砂(へいさ)--皐月氏・石川氏。貞佐門。天明三年(一七八三)没。『延宝二十歌仙』の一人。
  〔江戸座俳諧集四(鈴木勝忠校注)など〕。
○米仲(べいちゆう)--岡田氏。二世青蛾門。明和三年(一七六六)没。『延宝二十歌仙』の一人。   〔江戸座俳諧集四(鈴木勝忠校注)など〕。                         
○祇丞(ぎじよう)--三上氏。超波門。別号、復叟庵。宝暦一三年(一七六三)没。江戸座俳諧集『園  圃銀』などにその名が見られる。〔江戸座俳諧集四(鈴木勝忠校注)など〕。          
○買明(ばいめい)--超波門。『延宝二十歌仙』の一人。          ○楼川(ろうせん)--元禄一二~天明二年(一六九九~一七八二)。谷口氏。別号、神田居・無事庵>  江戸の人。祇空門。『延宝二十歌仙』の一人。〔蕪村事典など〕。               
○渭北(いほく)--元禄一六~宝暦五年(一七〇三~一五五)。右江氏。初号、麦天。淡々門。別号、  時々庵。江戸に出て二世青蛾門。淡々の前号の渭北を譲り受ける。『延宝二十歌仙』の一人。〔蕪村事典など〕。                                    
○湖十(こじゆう)--二世湖十。村瀬氏。別号、一黙香・巽窓。延享三年(一七四六)没。甲州の人。  一世湖十に入門、養子となる。編著『続花摘』など。『延宝二十歌仙』の一人。〔俳句辞典(近世)  など〕。                                         
○紀逸(きいつ)--慶氏。本名、土佐。通称、平蔵。号、四時庵・十明庵・自生庵。別号、硯田舎・竹  尊者・短長斉・番流。宝暦一二年(一七六に)没。江戸の人。俳諧を不角に学び、のちに祇空門とな  る。高点付句集『武玉川』初編を刊行する。編著『六物集』など。『延宝二十歌仙』の一人。〔俳句  辞典(近世)など〕。        
○再賀(さいが)--二世青蛾門。『延宝二十歌仙』の一人。
○珠来(しゆらい)--『反古ぶすま』にその名が見られる。         ○万立(ばんりゆう)--『反古ぶすま』にその名が見られる。
○超雪(ちようせつ)--『反古ぶすま』の巻頭にその名が見られる。
○秀億(しゆうおく)--『反古ぶすま』にその名が見られる。
○吉門(きちもん)--(江戸座の俳人か。)                ○嘉廷(かてい)--『反古ぶすま』にその名が見られる。
○栖寉(せいかく)--(江戸座の俳人か。)                ○書永(しよえい)--『反古ぶすま』にその名が見られる。
○柳尾(りゆうび)--(江戸座の俳人か。)                ○庭台(ていたい)--『反古ぶすま』にその名が見られる。
○由林(ゆうりん)--『反古ぶすま』にその名が見られる。
○清泉(せいせん)--『反古ぶすま』にその名が見られる。
○田社(でんしや)--(江戸座の俳人か。)                ○春来(しゆんらい)--一世青蛾。鴛田氏。別号、春来軒・百花窓・牡丹堂。享保一五年(一七三〇)没。初め、東湖門であったが、のちに沾徳門。編著『続江戸筏』など。『反古ぶすま』にその名が見  られる。二世青蛾は前田氏。別号、二柳庵、延享三年(一七四六)没。〔俳句辞典(近世)など〕 
○竿秋(かんしゆう)--松木氏。淡々のあとを継ぎ橋本氏を松木氏に改氏。別号、香稲庵。維駒編『五  車反古』などにその名が見られる。〔俳諧家譜など〕○宋屋(そうおく)--元禄元~明和三年(一六八八~一七六六)。望月氏。別号、百葉泉・富鈴房・瓢  箪居・机墨庵。京都の人。巴人門。巴人が江戸に帰った後、京都巴人門の中心となる。編著・『瓢箪集』・「杖の土』など。〔蕪村事典〕                            
○臨雪(りんせつ)--(巴人に連なる京都の俳人か。)           

           〔 跋 〕 
○蕪村(ぶそん)--谷口氏、のちに与謝氏。名、長庚。字、春星。別号、宰町・宰鳥・落日庵・紫狐庵  ・夜半翁・嚢道人・夜半亭二世。天明三年(一七八三)一二月二五日没、享年、六八歳。大阪の生ま  れ、江戸に出て巴人門に入る。延享元年(一七四四)宇都宮にて処女撰集の歳旦帖を編む。そこで、  それまでの号の宰鳥を蕪村と改める。夜半亭一世早野巴人のあとを継いで、明和七年(一七七〇)に夜半亭二世を継承する。その作品は『蕪村七部集』などに収録されている。〔俳句辞典(近世)〕   

参考文献      
 一 日本俳書体系第五・九巻(勝峰晋風解題)・大正一二年・昭和二年(春秋社)「五元集」・「玄峰集」・「夜半亭発句帖」・「延宝二十歌仙」・「反古衾」          
二 日本俳書体系第一五巻(勝峰晋風解題)・昭和三年(春秋社)        「綾錦(沾涼編)」・「俳諧家譜(丈石編)」・「蕉門諸生全伝(曰人編)」            ・「誹諧大系図(春明編)」 
三 古典俳文学体系第八・九巻(木村三四吾他校注)・昭和四七年(集英社)
  「其角」・「嵐雪」 
四 古典俳文学体系第一三巻(島居清他校注)・昭和四五年(集英社)
  夜半亭発句帖」                     
五 蕪村全集第七巻(丸山一彦他校注)・平成七年(講談社)           寛保四年宇都宮歳旦帖」・「玉藻集」・「五車反古」                    
六 蕪村全集第八巻(桜井武次郎他校注)・平成五年(講談社)          卯月庭訓」・「反古ぶすま」・「その人」                         
七 穎原退蔵著作集第一三巻(尾形仂他編集)・昭和五四(中央公論社)    八 其角全集(勝峰晋風編)・昭和二(長光堂)               九 江戸座俳諧集四(鈴木勝忠校注)・昭和四四(古典文庫)         一〇 日本古典文学全集第四三巻(丸山一彦他校注)・昭和五四年(小学館)  一一 日本古典文学体系第九三二(阿部喜三男他校注)・昭和三九年(岩波書店)一二 俳句大観(鈴木勝忠他著)・平成二(明治書院)            一三 蕪村事典(松尾靖秋他編)・平成二(桜楓社)      
一四 俳句辞典(近世)(松尾靖秋編)・昭和五二(桜楓社)  
一五 註解夜半亭発句帖(皆川晃編著)・平成三(早野巴人顕彰実行委員会)
一六 夜半亭宋阿(早野巴人)の俳諧(中田亮監修・江連晴生著)・平成九(石田書房)       
一七 下野俳諧史(中田亮著)・昭和五三(栃木県俳句作家協会)
一八 蕪村(丸山一彦著)・昭和六二・(花神社)   
                                                                                                                                                                                                                                                                                          


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