レ・ミゼラブル
2012年/イギリス
壮大な歌劇が、胸に迫る
uminekoさん
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 90点
ミュージカルそのものの映画って、ほんと久しぶりに観ましたけど、悪くないですよ。オープニングの囚人の場面、あれはまさにミュージカル向けかな。あと、コゼットとマリウス、そしてエポニーヌが声を重ねながら心情をぶつけあう場面、あそこがよかった。他の方法では到達できないスピード感だと思うな。
重くて辛い二者択一の連続ですけど、出演者の歌唱力がありすぎて、なんだかさわやかな心持ち。でも、内実はずっしりと重い。生と死、絶望と希望が高い密度で共存した時代の名作ならではでしょう。ところで、自分がもっとも感情移入できたのは、エポニーヌなんですけど。皆さんは、いかがでしたか?
最強のふたり
2011年/フランス
何かが溶けていく、そんなやわらかさ
uminekoさん
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 85点
音楽 90点
噂に違わず、いい映画だと思います。気負って観る映画じゃないですよ。なにしろ原題は「Intouchables」、アブないふたり、ってくらいのノリですから。
障害を負ったシニカルな大富豪フィリップと、彼の介護についたスラム出身の黒人ドリス。ふたりが互いに認めあい、成長する様が心地よかった。ボクがとても高く評価するのは、お互いがお互いを100%認めてるわけじゃないってとこ。フィリップもドリスの言いなりじゃないし、ドリスもくすねた卵の置物をしらばっくれてる。でも、それがリアルでしょ?弱さもずるさもぜんぶ受け止めて、それでも信頼するって態度こそ、本物。
ラストのやわらかな終わり方、ボクはありだと思うなあ。しずかで、確かな友情のあり方。
誰かのためにそうなりたい。そんなことも、ふと思う。
幸せへのキセキ
2012年/アメリカ
記憶とか距離とか、いろんなものが押し寄せる
uminekoさん
総合 90点
ストーリー 80点
キャスト 90点
演出 90点
ビジュアル 85点
音楽 85点
いい映画でした。劇場で観ることをすすめます。邦題があまりにあざとくて、ちょっとひるんでしまいましたが、原題のまま観に行ってください。We Bought a Zoo。ほんとに、そうなんですよ。シンプルに。
主人公と子供たち、登場人物の距離感が少しずつ変わっていく、過去も含めて、ね。動物たちっていう、生の根源みたいな存在がきっと、バックグラウンドに横たわるからだろう。それをうまく映像化しているし、とても自然なかたちで取り込んでいる。監督の手腕も二重丸です。
主演のマット・デイモンもかっこいいけど、ちっちゃい女の子のおませさんぶりがいいよね。あと、リリィ役の女優さんも素敵。出演者がみんなちょっとシニカルにくせ者っぽくて、そこがむしろリアリティです。
こころの奥にふわっと灯の灯るような作品。いろんなものがオーバーラップして、そして前向きになれる。ありがとうっていいたいです。
ミッドナイト・イン・パリ
2010年/スペイン=アメリカ
心に染み入るような、素敵な作品でした。
uminekoさん
総合 90点
ストーリー 90点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 90点
音楽 85点
もうちょっとドタバタっぽいコメディかと思いましたが、ちょっとビターな、しみじみといい映画でした。
そうしてみると、邦画にしろ洋画にしろ、泣けるとか笑えるとか、感情の原始に踏み込むような作品が多いんだなって、改めて思う。こんなふうな、ディティールはアバウトだけど(ごめん)、本質から目をそらさないよって作品は、異質だけどこっちが本物だよね。
主人公ギルのあわあわな感じがもどかしくってマル。ヒロインの1人、アドリアナ演じた女優さんもとってもキュートです。ウッディ・アレン監督の手腕なんでしょうか、全体的に落ち着いていて、柔らかい手触りの作品でした。ベタなギャグも許しちゃう。
細かいところはいいんです。現実だって、ファンタジーみたいなものだから。たいしてかわらない。そうでしょ?
ステキな金縛り
2011年/日本
ぽかあんとした気分で見る映画
uminekoさん
総合 80点
ストーリー 85点
キャスト 85点
演出 75点
ビジュアル 70点
音楽 75点
まだ公開初めなので、お口チャックなコメントですいません。前作「ザ・マジックアワー」も荒唐無稽でしたが、それにも増して奇想天外なコメディー。深津さんのかわいらしさ、西田さんのお茶目な部分にずいぶん助けられたのではないかな?館内もけっこう笑いに包まれてた。
ラストの場面は三谷マジック炸裂。自分的にはまずまず高い評価です。ただちょっと雑な場面もあったかな。サービス過剰っていうかね。そのあたり、もう少しシンプルでもいいんじゃないかと思う。
設定がはちゃめちゃなだけに、仕掛けはちょっとでいい。だから、なんていうか、素材はいいのにソースが邪魔、みたいなところもあった。そこはちょっと気になる部分。役者さんをほぼ固定するむずかしさも、ちょっと思った。これ、いらないんじゃないの?みたいな場面もわりとあるんですよね。あそこで、間延びしてしまう。もったいない。
でもま、コメディ映画の王道っていえば、そうかもね。ぽかあんとした気分で見る映画。みんなで見にいって、くくって笑いましょう。間抜けな場面さえ笑い飛ばせる、そんな一日になりますように。
悪人
2010年/日本
孤独ではない、皆そうだから
uminekoさん
総合 85点
ストーリー 85点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 80点
音楽 80点
慈愛と孤独、無垢と欲望の交錯する、素敵な作品でした。そろそろネタばれレビューでもよいと思うんですけど、なんで監督は妻夫木君にこの難役に任せたのか、最後のシーンではっきりわかった。あの表情が欲しかったんだね。それにしても深津さんのおさえた演技がすばらしいです。賞とるのも当然。
個人的には大注目の真島ひかりさんがあんな役になっててちょっとおろおろでしたが、それもまた上手いんですよ。花マルあげたいなー。
愛を知った者だけが。知る哀しみがあるだろう。私たちは、その淵に立っているのにね。当たり前すぎて気づかないんだ。
捕まる瞬間、深津さんに手をかける、妻夫木君のやさしさを思う。彼女を不運な被害者に仕立て、無事に日常に戻れるように。
最後、被害者の父親とニアミスした深津さんが、そのまますれ違ったのがよかった。当たり前だ。善と悪は相容れないし、分かりあう必要もない。
そのリアリティこそを。私は高く評価したいです。
インセプション
2010年/アメリカ
受け入れ切れるかなあ
uminekoさん
総合 80点
ストーリー 75点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 80点
先行上映があったのでちょっとみてきました。これは結構手強い映画ですね。ラストでまっぷたつに分かれそうだなあ。評価が。
ディカプリオが遂行すべき任務とは潜在意識を植え付けること。それをチームで行うんですけど、ディカプリオの潜在意識が邪魔をするって、そゆ理解でいいのかなあ。
ただつながりがね。なぜ主人公は危険な任務に就くのかってとことがよわよわですね。たとえば誰かを人質にとられたとか、自分の名誉回復のためとか、そゆうのあると思うけど、この映画の場合、親権を奪われた子供たちに会うこと、っていうのが、なんとなく拍子抜けしちゃう。本来詐欺師なんですけどね、ディカプリオ。もうちょっと彼や彼の妻のリアルな言動を見せてくれてもよかったかな。
罪の潜在意識が夢の中でさらに物語を紡ぐってとこが、難解さの源泉でしょうね。なにしろ潜在意識だから、シナリオが唐突。でもまあ、しょうがないやって感じ。
ところで渡辺謙はとってもよかった。しゃべりがドコモのCMっぽいとこも、ナチュラルで素敵(笑)。ヒロインの女の子、エレン・ペイジがいいね。彼女がいたからこの映画がリアリティを持てたんじゃないかな。花マルあげたいです。
でもでもやっぱラストだね。ちょっとうなってしまうなあ。自分が演出の側なら、どうだろう。アリだとは思うけどね。というわけでけっこう高得点をつけました。皆さんはどうですか?
少年メリケンサック
2009年/日本
元気の出る、いい作品でした
uminekoさん
総合 90点
ストーリー 85点
キャスト 90点
演出 80点
ビジュアル 80点
音楽 80点
思っていたより、ずっとずっといい作品でした。宮藤監督の作品は、テレビだとなんとなく作り物っぽいんですけど、たぶん演劇とかで映えるんじゃないかな。そう思う。
宮崎あおいさんがうまかったなあ。変顔とか話題だったけど、そこじゃないんだよね。喜怒哀楽のすき間にあるものを、きちんと表現できている。大河でブレイクもうなずけます。
一番すきなのは、みんなでらららって歌うとこ。あれは最高!
ところどころ、暑苦しい(ごめんね)演出もあるんだけど、うまくはまってますよね。ヤング中年たちのどうしようもないかっこ悪さもマルです。
身体の芯のほうが、じんわりあったかくなる感じ。かなり好きかも。
20世紀少年-第2章-最後の希望
2009年/日本
それはないと思うなあ
uminekoさん
総合 60点
ストーリー 40点
キャスト 80点
演出 60点
ビジュアル 70点
音楽 60点
第1章は、あんまり期待せずに行ったんですけど、結構よかったんですよね。配役の妙もあったし。で、初日にいってみたよ。
その分、肩透かしだったなあ。小泉役の女の子はとってもよかった。カンナも自分的には許す。ブルーのジャケットと帽子がとても似合う。
でもね。ミステリーのテイストが全然ないでしょう?それがなー。もっと情報は少なくてもいい。正直、中だるみです。よくある3部作の真ん中(言いすぎ)。
カンナのおせっかいな部分とか、ばっさりだったからなあ。群像劇じゃなくて、カンナの視点から語らせてもよかったんじゃない?感情移入のしにくいつくりだったよね。
コミック愛読者としては、どうにもこうにもというのが結論かな。第3章をみるためのつなぎとしてみておくなら、ま、悪くないかも。
久々にとほほって思った作品でした。やれやれ。
容疑者Xの献身
2008年/日本
献身、の深さを強く思うよ
uminekoさん
総合 90点
ストーリー 90点
キャスト 95点
演出 85点
ビジュアル 90点
音楽 90点
まず。テレビ版も観てましたがキャラクターを借りた別のエンターテイメントでしたね。おそらくこっちのほうが原作のトーンに近いのでは?と思います。読んではいないんだけどね。
つか、よかったなあ。献身って、元来こんなかたちだよね。堤さん演じる数学者が仕掛けるストーリ、あれすごいね。物証とか目に見えるトリックならいろんなアイテムが思いつくだろうけど、容疑者である花岡さんの精神状態までコントロールしようとするトリックはすごい。
彼のプロットは最後には崩れ去るんだけど、それは、彼女の感謝あるいは愛情によるものだ。彼の献身はくずれ、努力のすべてが水泡に帰し、だけど彼は気づくことになる。
献身はむくわれた。痛みと共にね。
誰も幸せにしなかったかもしれないけどさ。
それでいいんだと。思うよ。
イキガミ
2008年/日本
劇場で観れてよかった
uminekoさん
総合 85点
ストーリー 90点
キャスト 85点
演出 80点
ビジュアル 85点
音楽 85点
よかったと思います。コミック読んでいなくてもストーリがわかっていても、これならいけるね。監督さん、画面つくりがとても丁寧。色彩の描き方とか。そこが気持ちよかった。
「死」を扱うだけに、ちょっと間違うと力んだりしそうだけど、それがなかったし。そうだよね。「死」は実は、とても静かだと思うよ。それは、感じる側の問題。
成海璃子さん、天才と呼ばれてる所以がよくわかった。上手いわー。松田翔太さんも雰囲気出てたしね。
押し付けとかそんなんじゃなく、声高に叫ぶでもなく、遠雷のような余韻の残る作品。よかったです。はい。
ザ・マジックアワー
2008年/日本
コメディって、やさしさのことなんだね
uminekoさん
総合 85点
ストーリー 90点
キャスト 90点
演出 85点
ビジュアル 75点
音楽 80点
楽しい、いい映画でした。ちょっといつものメンバー過ぎて、新鮮味がないんだけどね。それもすべてわかった上で楽しむ、ある意味、定型美ってゆうか。
お笑い芸って巷にあふれてるけど、この作品で繰り広げられる笑いは、どこか違う気がする。けなしたり、蹴落としたるするものじゃないんだよね。それはそれで、あったかくていいよね。毒も嫌いじゃないけどさ。
映画をネタにした快作といえば「鎌田行進曲」、あれをちょっと思い出した。映画を作る人って、映画がやっぱり好きなんだろうね。好きなものに没頭しまくっててさ。で、それが最終的にぜんぜん売れなかったとしても、それでも、スタッフや俳優さんたちから愛されてる作品が世の中にはたくさんあるんだろうな。
さておき。綾瀬はるかさんの演技が良いね。佐藤浩市さんは、まあどこまでもできるんじゃないか。妻夫木聡くんも、なんか抜け具合がバック・トゥ・ザ・フューチャーのマイケル・J・フォックスっぽい。
こんなトーンの邦画はあんまりないかもなあ。あれだけ番宣したからけっこう人は入るだろうけど、興行成績とはまったく違う場所で、この作品のもつ「手触り」をとっても評価したいです。はい。
L change the WorLd
2008年/日本
悪くはない、だけどね・・
uminekoさん
総合 75点
ストーリー 70点
キャスト 95点
演出 55点
ビジュアル 65点
音楽 85点
日テレの広報戦略にまんまとのっかって観てしまいました(笑)。一言で言えば、主人公のキャラを楽しむ娯楽映画ですね。もっと知能戦を期待したのですが、最近のハリウッド映画並みの単純明快ストーリー。いや、それ以下だと思います。
主人公がこれまで「デスノート」でみせたぎりぎりの決断を、どんなふうに駆使するのかということが興味だったんですけど、そういった意味では(なんじゃこりゃ?)状態。あと、悪役の描き方が単純すぎ。演技も大げさでつまんない。B級映画もここまでひどくないですね。
名前知らないけど、女の子の演技と松山ケンイチの演技はとってもよかった。それを更によく見せるために、まわりのベテラン俳優さんは「へったぴな俳優」を演じたんだろうな~それしか考えられないな~(笑)。
ぜんぜん、誰も話題にしないだろうけど、自転車で3人が橋を渡るシーン、あれがよかった。あの悲しみはとっても詩的だった。ちゃんとできるじゃん、監督って思ってしまう。ちなみにお父さんの最期が残酷すぎ。死はそんなもんじゃありません。
書いていてだんだん腹が立ってきたのでネタばれにしちゃおうっと。
包帯クラブ
2007年/日本
痛みとはおそらく
uminekoさん
総合 90点
ストーリー 90点
キャスト 95点
演出 85点
ビジュアル 75点
音楽 90点
痛みとはそういうものだよなあ、って、ちょっとしみじみ。
よかったです。日本映画のよいところをぎゅっと絞ったような作品。興行的にはあんまし届かないかもしれないけど、さみしさとせつなさと、前を向く力が同じくらいの強さで同居する作品なんて、なかなかないんじゃないかな。
石原さん、あんなに演技が上手とは思わなかった。テレビにだまされた(笑)。柳楽優弥さん、この人はすごいです。人物描写が並みじゃない。音楽もマル。
小さな物語を、ていねいに追う。そんな世界が必要だってこと。そう思う。
トランスフォーマー
2007年/アメリカ
大味なパーティーケーキ
uminekoさん
総合 40点
ストーリー 30点
キャスト 50点
演出 45点
ビジュアル 60点
音楽 50点
なんてゆうか、大味にもほどがあるですね。悪いけど。
後半の戦闘シーンは、まあすごいっちゃーすごいんですけど、ストーリーとは別の、CGでこんなんできました的な要素が強くって、そのうちそんなに驚かなくなってしまう。だから、ハラハラしないんですよ。
ハリウッド映画の、身もふたもなさが露呈した作品と思います。アメリカ人は好きなんでしょうか。まあ好きかもなあ。