店主のだらだら草子

スローライフを目指すi-sumi.com店主の気ままな日記

お盆です

2007年08月14日 | スローライフ
数日前の話です。
京都ではお盆の前に、先祖の精霊さん(おしょらいさん)をお迎えする行事があります。古くから葬送の地であった鳥辺山の麓にあって、あの世とこの世の境域と考えられたところから六道珍皇寺のあたりを「六道の辻」と呼ぶようになったとか・・・。京都の魔界のひとつと呼ばれる場所です。
ちなみに六道とは人間の生前の善悪の行いによって導かれる冥界とされ、天上・人間・修羅・畜生・餓鬼・地獄のこと。


去年の記事にも書いたのですが、今年は少し足を延ばしていろんなところを回ってきたのでご紹介します。

TOPの画像は「迎え鐘」。水塔婆を持って鐘を鳴らします。
「ご先祖様、お迎えにきましたよ。」という合図です。



今年は母親と一緒に行ったので、暑さを避けて夕方から六道珍皇寺へ行ってきました。
皆さん思いは同じなのでしょうか。

ず~っと先まで列ができていました。
あんまり長いので先に食事を済ませてからと思い、近くで1時間ほどかけてゆっくり食事したあと、もう一度きましたがまだ同じような列・・・

仕方がないので並びましたが、やはり「迎え鐘」を搗くまでに1時間ほど並びました。
それでも後から後からどんどんと列はできてきます。
京都の方の信仰心も捨てたものじゃないですね。



閻魔堂。正面から移すのは気が引けてしまったので横から。
閻魔様が少し見えています。
六道参りのこの時期(8/7~8/10)だけ扉が開かれます。


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マウスオンで画像が「幽霊子育飴」に変わります。
中身を写すのを忘れてしまいましたが、べっこう飴のような感じです。

「幽霊子育飴」の由来
今から約400年ほど前のこと。六道の辻近くに飴屋があって、そこへ夜な夜な飴を買いに来る女性がいました。
その人は顔が青白く、きまって夜に買いにくるので、不思議に思った店主が後を尾けてみると、その人は墓場まで行って墓の前で すぅっ と消えてしまいました。

店主はびっくりして近所の住職に相談に行き、次の日住職と一緒にその墓場まで行きました。そうしたら、その墓場から赤ん坊の声が聞こえる。
お坊さんがその墓を掘り起こしたら、なんと飴をしゃぶった赤ん坊が土の中から出てきた。それでその墓の主を調べたら、一寸前に出産直前で亡くなった若い女の墓だったそうです。

どうやら、死んだ後子供を出産して、お乳が出ないから幽霊となって飴で子供を育てていたらしい。
店主は赤ん坊を救い上げて家に連れてゆきました。すると次の日から青白い顔の女性は飴を買いに来なくなりました。

この女性は死してなお赤ん坊のことが気になって、幽霊となり 飴を与え続けていたのです。ちなみにこの救い出された赤ん坊は寺に預けられ、やがてりっぱな高僧になったそうです。

それ以来このお店で売られる飴は巷の噂となって「 幽霊の子育て飴 」という名前がついたのだとか。


このお店は数年前に六道珍皇寺の向かいから、もう少し西へ行った六波羅蜜寺の近くへ移転しています。
六波羅蜜寺でも萬燈会によって精霊を迎える行事があります。
このお寺は有名な仏像がたくさんあることでも有名ですが、今回は夜だったので見ることはできませんでした。リンクのHPに詳しく紹介されています。



ここもすぐ近くにある西福寺。
ここでも精霊のお迎え行事があります。「子育て地蔵尊」にも多くの方が参拝されていました。
このお寺ではご詠歌が流れていたり曼荼羅図がたくさん掛けてあったり、その雰囲気は「京都」そのもののような気がします。
京都へおこしの方には、ぜひこういう時期に来ていただいて、観光ではない京都の伝統に触れていただきたいと思いました。

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6 コメント

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さすが京都! (ジョルジュ)
2007-08-15 13:12:27
なお話の数々、楽しく拝読しました。
オベンキョーになります。
オベンキョーって、好きでやってると 
楽しくて 際限なくて 本当に嬉しいです(笑)。

お盆さまをお迎えするのに「迎え鐘」があるんですね~。
当地や実家の近所では聞いたことがないから 関東にはない風習かも?

去年の記事にもあった「水塔婆」というのが気になります。
お塔婆は良く知っていますが それは板塔婆、3尺とか6尺とかの 細長い板ですね。
水塔婆? どのような姿・形のものなのでしょうか?
まさか水でできてるはずはなし。
???な私です。
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ジョルジュさま (scops)
2007-08-15 13:31:24
京都には長いこと住んでいる私も知らないことがまだまだどっさりとあります。
興味を持ってみていくとホントに面白いです。

「迎え鐘」は冥土まで聞こえるそうですよ。関西だけの風習なのかもしれませんね。

水塔婆は1mmもないうすい木板です。ここに戒名を書いてお墓などに供えます。宗派によって違うんでしょうか?
板塔婆はお墓の後ろに立てかけますが、水塔婆は○○家って書いてある前に水塔婆用の受けがあって、そこへ供えます。
こんなものです。
http://www.kyoto-wel.com/item/IS81324N00054.html
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scopsさん ()
2007-08-15 21:14:41
今晩は、お盆の行事には疎い私です。でも幽霊子育て飴の由来となった話しと同じような話しを、小学3年生のとき街からきた女先生に話しを聞かせて貰った記憶があります。

京都らしい風習ですね。お盆にご先祖様が帰ってくると言うのは同じ考えのようですが、向かえ方はそれぞれ違っていますね。お母様とお迎えに行かれたんですか。親孝行ですね。
もし鐘をつきに来てくれなかったら、帰る家がなかったら寂しいですよね。

死後の世界は知らないけど、いつまでも先祖と心が繋がっているこんな行事良いと思います。
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風さま (scops)
2007-08-16 10:15:45
幽霊子育て飴と似たようなお話は、いろんなところにあるようです。

こういう行事は先祖を敬うことだけでなく、自分のことも見つめなおせる機会のような気がします。
今日の送り火でまたお帰りになるのですが、心配ばかりかけているなと反省の思いを、詫びてお送りしようと思っています。
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scopsさん ()
2007-08-16 23:02:47
今晩は、今日は京都からの中継で送り火をやっていましたね。scopsさんが教えてくれたことと重ね合わせて見入っていました。左右の大文字に 妙法?の文字。舟形?鳥居?今までこんなにあるとは知りませんでした高校生や、若い方達が頑張っていました。

私は先祖の供養をすることで自分自身を納得させている部分というのは有るように思います。
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五山あるんですよ (scops)
2007-08-17 00:18:17
家でTVを見ていた母親に、生中継よかったよ、と言われました。
最後のほうはちょっと見ましたが、火床の生中継やこういう宗教学者の先生の話を聞くのもまた一興ですね。
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