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目眩く思想世界擬きと言霊フロンティア
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ラテン語 10/27 きょうのことば

2005年10月28日 11時18分53秒 | Linguistics
Amore,more,ore,re junguntur amicitiae.
愛によって、習慣によって、口によって、物によって友情は結ばれる。

アモーレ・モーレ・オーレ・レー・ユグントゥル・アミーキティアエと読んでください。
最初の4語はAmor,mos,os,resの単数奪格。誰が言ったのか知りませんが、よくできた駄洒落です。
ラテン語に限らず西欧諸語では格や活用を揃えると語調がよくなることがよくありますね。唯一英語だけがそういう豊かな変化を失ってしまっているわけですが・・・そういえば英語の山梨先生の講義ではイタリア人の生き方を表しているMangiare,cantare,amore!(食べよう、歌おう、愛し合おう)というフレーズが紹介されました。イタリア語はよく知りませんが、これも命令法かなんかに揃えるだけで脚韻が踏めるという好例でしょうか。


空耳ついでに

2005年08月30日 12時05分16秒 | Linguistics
流行の『マイアヒ』はルーマニア語のようですね。最初スペイン語かと思っていたが・・・。

で、『もすかう』を歌っていたら何だか無性に独語の勉強を再開したくなった今日この頃。
ミーハー根性で恐縮だが、『第九』とか『野ばら』を原文で歌える人にはすごく憧れる。
実は仏語より独語のほうが好き(ロシア語も好きだが)。独語って歯切れよくてきれいだし、母音体系も割とわかりやすい。一方仏語は気取ってるというイメージがどうも拭い去れないし、発音もいつまでたっても(といってもそんなに長くやってないですが)これで正しいという確信がもてない。ネイティヴですら聞き分けられない母音があるらしいが、それは考え物だ。

そういえばロンドンっ子がlとrを間違えるなんて言われても信じられないが、そういう話を一回有名な映画で見たことがあるような気がする。そう、確か『マイ・フェア・レディ』、ヒギンズ先生の出てくるあの映画だった気がする。気がするだけなので誰か正しいところを教えてくれるとありがたいです。

さらには印欧語の中でさえサンスクリットをはじめとするインド系言語ではlとrの区別は消滅しているらしいので、この問題は日本人だけの悩みというよりも実はアジア的、あるいはもっと全人類的なものなのかなぁとも思う。

ところで京大には少なくとも2年前まではサンスクリット入門という授業があったらしい。
先輩がとっていたのだからそれは確かだ。
先生がやめたのか、そんな授業は今探しても見つからないが、興味津津です。
需要が少なすぎたんだろうなぁ。
ただ、今年はラテン語をとって来年ギリシア語をとる予定なのでサンスクリットの授業があったとしてもとる余裕がない。
ちなみにラテン語とギリシア語は同じ先生が教えている。それもまだ30代くらいの若い先生なのでなかなか驚きである。
サンスクリットの教科書ってあまり手軽で入門的なものがないようで、書店でも語学のところよりもむしろ仏教のところにおいてあることが多い。

だいぶ話が逸れましたが、『もすかう』『マイアヒ』の空耳バージョンばかり聞いてないでたまには原曲を勉強してみるのもいいのではないでしょうか。
とりあえず訳がほしい・・・

数の話

2005年07月17日 01時15分53秒 | Linguistics
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20050715-00000317-yom-soci/
なんか石原知事とフランス人が戦争してますが、なんか史上まれに見る(そうでもないか)バ○vs○カの構図のようですね。あ、言い過ぎたかな。フランス人の気持ちも(なんとなく)分かるし個人的には石原さんは嫌いではないですし言いたいことも分かるんですけど。で、全く発展性のない話ではないなぁと思って調べてみたら、ちょっと面白いことが。

デンマーク語は10,20,30,40まではちゃんと対応する単語があるんですが、
50 は 20が「1番目の半」
60 は 20が3
70 は 20が「2番目の半」
80 は 20が4
90 は 20が「3番目の半」
というふうに数えるそうです。

それから、印欧語ではないけどフランス語の影響が強いバスク語。語彙は全然違いますが、
30 は 20と10
40 は 20が2
50 は 20が2と10
60 は 20が3
70 は 20が3と10
80 は 20が4
90 は 20が4と10


ソースはhttp://www.sf.airnet.ne.jp/~ts/language/numberj.html
バスク語はフランス語と地理的に隣接してるからともかく、デンマーク語ってフランス語となんか深い関係があるんでしょうかねぇ。オランダ語やドイツ語、スペイン語、イタリア語ではこういう数え方はしないんですけど。

あ、上のサイト、ラテン語もなかなかおもしろいので見てみてくださいね。ちなみにラテン語数詞をこないだ習ったばかりで、試験範囲なんです。


すごく面白くはないけど、ほんのちょっとだけ面白いでしょう?

ラテン語7/7 きょうのことば

2005年07月10日 17時28分22秒 | Linguistics
Amantes, Amentes.
恋するものは正気なし。(Terentius)

Amantesは動詞amoの現在分詞amansの男性・女性複数主格が名詞化したもので主語、amentesは第三変化形容詞amensの男性・女性複数主格が同じく名詞化したもので補語。繋辞のsunt(英語のare)が省略されています。英語ならLovers are mad.という感じになって面白くもなんとかありませんが、ラテン語だときれいに韻を踏んでるのが一目瞭然ですよね。

ちなみにamensは語源的には「精神(mens)を欠く(a)」というくらいの意味で、mensは英語のmentalなどにつながります。
Mens sana in corpore sano.といえば「健全な精神は健全な肉体に宿る(Juvenalis)」という意味ですが、MensをAnimus(生命、魂)で置き換えて頭語をとったものがASICSの語源だそうです。原語だとMSICSになるんですね。

ラテン語 5/26

2005年05月29日 18時27分36秒 | Linguistics
木4のラテン語の講義で個人的に面白かった話をしようと思います。

Nuper spectavi sepulcrum : ejus titulus erat : Tu fui, ego eris.
2文目までは「この間墓を見た。その銘は次の通りであった」という意味です。最後の文のtuとegoはそれぞれ英語のyouとIに当たる人称代名詞主格。主格といっても主語ではなく補語で、何故分かるかというとfuiとerisは英語のbeに当たる動詞sum(不定法はesse)のそれぞれ一人称単数完了、二人称単数未来なので、自動的にそれぞれ主語がegoとtuであることがわかってしまうのです。これをちゃんと覚えてないとか調べてないと「汝はあった。我はあらむ」という意味不明な訳になってしまうのですが…英語ならこんな感じです。過去と完了の区別がまだはっきりできませんが…

I was you. You'll be I.
我は汝であった。汝は我とならむ。

なんだか意味深ですが、何を言いたいのかお分かりでしょうか?(僕は分かりませんでした)ポイントは墓の中の人が外の人に語りかけているという点です。つまりこの人(この墓)は
かつては私もあなたのように輝いていた。でもあなたもいずれは死ぬのだよ。
と言っているのです。どうでしょう、なかなかおしゃれな墓碑銘だと思いませんか?4単語にしてこの中身ですからね。ラテン語はすごい。死んでもこういう台詞を吐けたらかっこいいですね。
え?別にそんなことはないって?w

そうそう、この話と絡ませるようですが、memento mori「死を想え」という中世からの有名な警句がありますね。Mr.Childrenを少しご存知なら一瞬でピンとくることでしょう(っていうかラテン語の先生もわざわざミスチルを登場させた)。以下どうでもいい話ですが、mementoはmemini「覚えている;一人称単数」という動詞の命令形なんだけど、meminiは完了形で、実はこの動詞には現在形がないのです。多分昔「記憶する」というような意味の現在形があって、その完了形「記憶した」=「覚えている」だけが残ったということです。変な動詞ですね。