拝啓 陸の孤島から

いいことがあってこその 笑顔じゃなくて
笑顔でいりゃいいこと あると思えたら それがいいことの 序章です

あおぞら

2005年11月17日 21時06分14秒 | 日々の話
生徒が「絶対いいから読んでみて!」というので読んでみたんだけど・・・。

数ページ読んで「またか…」という感じが最後まで拭えなかった。
「Deep Love」から連なる、ジャンル不明の悲惨な話。
小説ではない。ドキュメンタリーでもない。
そうこれは……「おしゃべり」だな、って思う。
長い、長い、300ページを超える身の上話。

構成や修辞技法、詳細な心理描写など全くといって無く、
(時折、場面転換の後に会話文から入るという「作文」っぽい技法が見られるが)
自分の身に起こったことを時系列に従って、
延々と述べていくという文体。
これを生徒は「シンプルに身に染みて何回も泣ける」という。
amazonのレビューも随分評判が良いんだなあ。

古来、物語は口頭伝承されてきて、
明治期の近代文学の隆盛によって芸術としてほぼ完成を見たと認識しているが、
21世紀を迎えて再び物語は口頭伝承に戻るのだろうか。

その主たる原因はケータイというコミュニケーションツールではないか。
ケータイは「内容を吟味して相手に伝える」という、
伝達の様式を破壊してしまったように思う。

その一つの形がこういう作品なのかもなあ、って。

内容については「おかはいさうに」という感じ。
別に否定するつもりは毛頭無い。
頑張って生きてくれよ、とは思うが、
この本を出版することをこの子に勧めたであろう編集者は、
この子に再度印税という形でお金を与えることと、
本名?で本を出版させることのリスクをちゃんと考えてあげてるのかな?

「あおぞら」ってタイトルも結局触れられずじまいだったし。