ひねもすのたりのたり 朝ドラ・ちょこ三昧

 
━ 15分のお楽しみ ━
 

『都の風』(118)

2008-02-21 18:46:30 | ★’07(本’86) 37『都の風』
脚本:重森孝子
音楽:中村滋延
語り:藤田弓子

   出 演

悠    加納みゆき:京都の繊維問屋「竹田屋」の三女。
雄一郎 村上弘明 :悠の夫。「吉野屋」の息子。毎朝新聞の記者に復帰したが入院中
葵    松原千明 :竹田家の長女
        (バツイチ後、看護婦・ジャズシンガー・代議士の後援会と転職し、新劇女優)
雅子  山本博美 :女学校時代からの悠の親友

      アクタープロ
      キャストプラン

お初  野川由美子:「水仙」の女将。かつて「おたふく」の女将で悠を預かっていた


・‥…━━━★・‥…━━━★・‥…━━━★

悠は、昼間は雄一郎のそばで病院の人たちから頼まれた寝巻きをつくり
夜は水仙で洗い場の仕事をして薫のいないさびしさをまぎらわすために必死で働きました。


電話の前でうろうろする悠に、お初は言う
「悠、遠慮せんかてええがな。電話ぐらいなんぼかけたかて」
「いいえ。昨日もしたばっかりですし、あんまりかけたら母にしかられます」
「薫はおとなしい子やから向こうでもかわいがられてますやろ」
「最初の日だけはぐずぐず言うてたそうですけど、姉の子たちと一日中遊んで
 疲れてしまってよう眠ってしまったそうです」
「あっはは。一晩ぐらいなぁ、洗い場どうでもなるから京都行ってきてもかまへんで」
「いいえ、我慢します」
「へー、我慢もぎりぎりやって顔に書いてありまっせー」
「昼間はいいんですけど、夜寝るときがさびしいてあかんのです‥」
「親と子が反対ですがなー」
「せやしこのごろは、仕事いっぱい持って帰るんです。
 最近は寝巻きだけやのうて、古い着物で子ども服作ってくれとか、いろんなもん頼まれるんです」
「縫いもんの仕事もええけどな、夜はちゃん寝んことには、体こわしてしまいまっせ。な」
「丈夫なだけが取り得です」



夜、暗い部屋に一人で帰り電気を点ける悠‥

「はぁー」とため息をついて、お宮参りの写真を見る悠(お常がだっこして写っている)

「こんなことやったら薫の顔、スケッチしといたらよかった‥。
 スケッチブック、どこにしまったんやろ‥。 長いこと忘れてたなぁ」

悠は急に思い出して押入を探し出した

「ちょっと悠」 急に声をかけられて、ぎょっと振り向く悠

「いやっ!」
「何してんのあんた、鍵もかけんとー」
「葵ねえちゃーん」
「さみしいて泣いてたあかんしな、様子見てきてやってって、お母ちゃんが言わはったんや」
「んもう、ビックリした」
「びっくりしたんはコッチや。お茶淹れてあげる、どこ?」
「ん、こっち」

「ほんまにな、子どもをとられた母親が、おかしなってしまう芝居、あれはホンマやと思うわ」
「何を言うてんの、悠らしくもない!」
「薫は産まれてから、毎晩抱いて寝てたやろ? ねきにあの感触がないと寝てられへんのや」
「うちには一生わからへんことやな‥」
「まだまだ若いんやし、結婚して子ども産まはったらええんや。
 子どもは宝っていうけど、ホンマえ」
「それがな、できひんみたいなんや」
「‥ 今、好きな人、いはらへんのんか?」
「うちが1人でいられると思うか?」
「‥ また結婚しいひん言う人なんか?」
「ううん。劇団主宰してはる人でな、奥さん亡くしはってうちと結婚してもええ言うてくれてはんのや。
 子ども産んでほしいて‥。 
 やっと子どもが産める思うた、けどつきおうて一年にもなるけど、全然できひん」
「なぁ。ちゃんと結婚しよし。お父ちゃんもお母ちゃんも安心しはるえ」
「子どもが産んであげられへんかも知れんのに、結婚なんてできひん」
「そんなこと言わはる人なんか?」
「ううん‥ けどこのまんま子どもができひんかったら、
 子どものできる若い女の人と一緒になってしまはるかもわからん」
「お姉ちゃん。そんな先のことばっかり考えてはったら、何もできひんのと違うか?」
「あんたはなぁ、オトコの人に裏切られたことがあらへんから、そんなこと言うのや。
 うちはもうこりごりや。
 裏切られたなんて思うのは結局、裏切られた方が悪いんやけど‥
 自分の力でしっかり生きようとせんと、オトコの人に頼るさかいやーと思うんや‥」

夜汽車の音がする

「ふん。その通りやと思うわ」
「竹田葵、30を前にしてやっと妹に誉められたのであります」
「もう~~~お姉ちゃん」
「なぁ、悠。誉められたついで言うたら何やけどな、これ、縫ってくれへんか?」

葵は、生地を出した

「正月公演で『桜の園』やるんやけど、衣裳があらへんし、これで作ってほしいねん」
「そんな、衣裳は寝巻きと違うのえ?」
「あんた、絵も上手やし、うちの言うとおりに下書き書いてみて」
「ムリやって。第一、『桜の園』なんておしばい見たことないし」
「ああ‥。ながーいドレスややねんな。で腰がきゅーっと締まってて、胸が開いてんの。
 (胸のあたりに)刺繍があって、お袖がふわ~っとした洋服。
 なんとなくわかるやろ?」
「うん」

「あんた、スケッチブックどないしたん?」
「さっきも探してたんやけどな、どこにしまったかわからへんのや」
「どんなことがあっても絵だけは続けるって言うてはったんやないの」
「子どもができたら絵を描くどころやないもん」
「せやし女はあかんのや。子どもや生活のために自分の好きなこと諦めてしまうし‥」

葵は、ノートを取り出した

「はい、これにな、今うちが言うた通りの衣裳、書いてみよし」
「そんな急に言われても‥」
「うちはなぁ、あんたが好きなことが続けられるように、手助けしてんのやで?
 早く書き」
「なんやうまいことのせられてしもた」
「乗せられ、乗せられ。長ーーいドレス」

悠は絵を描き始めた



翌日の病院‥、雄一郎が写真集(?)を見ているところに悠が来る

「今日は遅いぞ」
「すんません」
「目がはれてる。また薫がいなくてさみしくって泣いてたんだろう」
「いいえ。昨日は泣きませんでした」
「よう眠ったようには見えないぞ」
「薫のこと思い出さんように徹夜で仕事してたんです」
「ばか。それぐらいだったら京都行ってくればいいのや」
「それが大変やったんです。葵ねえちゃんに舞台の衣裳つくれって脅迫されてしもて」
「ん?」

悠はノートを見せる

「こんなんつくれって言われて、一晩中かかってやっと仮縫いができたんです」
「ふーん。またスケッチすること思い出したんやな‥。いいことだ」
「え?」
「子どもがいてもどんな時でも自分の好きなことは続けなければいけない」
「ホンマにそう思はりますか?」
「ああ。上手下手は別だぞ」
「んもう!」
「葵ねえちゃんは洋服のデザイナーになれるぐらい上手や言うてくれはったのに」
「衣裳をつくってもらうためのお世辞じゃないのか?」
「せやろか‥。 けどうちはホンマに優しい旦那さん持ってよかった」
「お世辞のお返しはしなくていいよ」
「いいえ。本気です。
 結婚しても女が自分の好きなことを続けられるのは、主人の優しさがないとあかんいうこと
 ようわかりました。
 世の中の男の人がみんな雄一郎さんみたいに思うてくれてはったら
 女も子育てだけで一生終わらんで済むんですね」
「おいおい、ちょっとおだて過ぎだぞ?
 俺は、自分がやりたいことをやれなくなってそう思っただけだ。
 あのまま忙しく働いていたら、お前のことを考える余裕はなかったかも知れん」
「昔、奈良のお義母さんが、人間は忙しく働くだけではあかん言わはったことがようわかります。
 雄一郎さんの病気は、神様がくれはった休養や、そう思うたら病気もええもんですね」
「ヒトゴトやと思って、何や」
「すんません。けど悪いこともええように考えんと損です」
「お前のそばにいるとくよくよ考えるのがばからしくなってくる」

「さ、そろそろ着替えましょか。今日は医長さんの回診やし」
「ああ」

ノックの音にあせる悠

「えらいこっちゃ、もう先生来ましたえ」

しかし、入ってきたのは、女学校時代の親友の雅子だった!

「悠ぁ」
「いや~、雅子ぉ」
「昨日、奈良に行ったついでに吉野屋さん寄ったら、ご主人がご病気や聞いて‥。
 もうじっとしてられんようになって」
「よう来てくれはったなぁ。何年ぶりやろう」
「悠、中に入ってもらいなさい。ここは病院だよ」
「あ、すんません」
「さ‥」

「雄一郎さん、女学校の時の親友で、雅子さん」
「初めまして」
「智太郎君の妹さんですね」
「ええのえ。うちは主人には何もかも話してあるし、主人は智太郎さんには何べんもお会いしてます」
「そやったんですか‥。けど、兄はうちには何にも話してくれません」
「智太郎君、元気ですか?」
「‥はい‥ けど、まるで人がかわってしもて‥」
「何でも言うて」
「復員してきて、行方がわからんようになったと思うたら、外国に行ってたんです。
 外国に行けるいうだけで、貿易会社に入って‥、向こうから帰って来てあたしの家に来た時は
 もう別の人かと思いました。
 医者になることなんか忘れたみたいに、今はお金儲けが面白うてしょうがないみたいな言い方するんです
 けど、両親は複雑な気持ちらしいんです。
 兄は京都に両親のために家を買うたんやけど、田舎から出てこようともしません。
 あの気難しかった兄が何でそんな風になってしまったのか‥
 うちにはわからへん」

「戦争は人間をかえてしまう‥。しかし元気で仕事してらっしゃればそれはそれでいいじゃないですか」



中庭に出る悠と雅子


「兄のことについては、うち、何も文句言えへん。
 うちな、今、兄の世話になってんねん。
 兄は京都の家に、うちと主人の母と子どもと住まわしてくれて、その上、毎月生活費までもろてる。
 悪い思うねんけど、子どもも来年は学校やし‥
 うちも働くのに疲れてしもて。
 復員してきて、兄は悠に会うたんでしょ?」
「‥うん。」
「悠が兄のこと、どれだけ待ちつづけていたかを話そうとしたんやけど
 戦争で生きるか死ぬかの体験をして、もう悠のことなんか忘れてた って‥
 会う気持ちもないって言うたんえ。 やっぱりウソやったん‥。
 悠が結婚してたことが兄をあんな風にかえてしもたなんて思いたくないけど
 兄が生きてるやなんて、あの時、考えられへんかったもんな‥」
「‥」
「今の貿易会社では、兄は仕事の鬼みたいやって。
 自分がアパートで一人暮らしして、うちにも両親にも会おうとせえへん」


悠は、あの封筒に入ったお金のことを思い出す



悠は、お金をおいていったのは、智太郎だと確信していました




(つづく)

『ちりとてちん』(119)

2008-02-21 18:18:26 | ’07 77 『ちりとてちん』
作  :藤本有紀
音楽 :佐橋俊彦
テーマ曲ピアノ演奏:松下奈緒
演奏 フェイス・ミュージック

語り 上沼恵美子

  出 演

青木喜代美  貫地谷しほり
徒然亭草々  青木崇高 :喜代美の夫。落語家、徒然亭草若の二番弟子
和田清海   佐藤めぐみ:喜代美と同姓同名の同級生 エーコ。小浜に戻って来た
徒然亭小草若 茂山宗彦 :タレント落語家、徒然亭草若の実の息子、草若の三番弟子
野口友春   友井雄亮 :順子といわゆるでき婚。和田エーコ(清海)の兄
野口順子   宮嶋麻衣 :喜代美の同級生、友春と結婚し「魚屋食堂」を継ぐ(予定)
木曽山勇助  辻本祐樹 :草々に弟子入りした、徒然亭の新弟子
野口春平   斉藤勇人: 友春・順子の子(ふたご)
野口順平   斉藤隼人: 友春・順子の子(ふたご)
鞍馬太郎   竜 雷太 :天狗芸能の会長


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喜代美(貫地谷しほり)の前に現れたのは、以前とはうって変わった姿の清海(佐藤めぐみ)だった。「おめでとう。草々さんと結婚したんだってね」清海の言葉に喜代美は思わず謝ってしまうが、久々の再会に話は弾み、喜代美は初めて普通の友だちのように話ができたと思いこむ。夕方帰ってきた草々(青木崇高)に清海との再会を話す喜代美だが、内弟子の勇助(辻本祐樹)の姿が見えないことに気づく。






木曽山くん千里まで送った ってどこマデ行って来たのよ~ ^_^;




千里 ‥‥ 上沼恵美子さん かしら

あれ違ったっけ 万里だったっけ?